2013年8月12日月曜日

山歩きと自転車

・地デジ用の高感度アンテナをつけてから地デジが4局だけ見えるようになった。4月にブラウン管から液晶のテレビに変えてから、画面も大きくなって、少しだけテレビを見る時間が増えた。と言っても、仕事のない日の昼と夜の食事時ぐらいなのだが、楽しみにしてみる番組が二つ。どちらもNHKのBSプレミアで、一つは「日本百名山」、もう一つは「日本縦断こころ旅」である。

・僕自身は百名山と呼ばれる山に特に興味があるわけではない。実際、百名山に入る山で登ったことがあるのは数えるほどしかない。有名な山は登山者が多くて歩きにくいし、出かけるのにも時間がかかる、それに、山小屋に泊まらなければならない場合が多いからだ。何より山はどんなところでも、それなりの特徴があって、それは歩いてみて初めて気づくことが多いからだ。

・だから番組を見ていて興味を覚えるのは、山ごとに違うガイドが歩き慣れた山道を案内する、その話や歩き方にそれぞれ特徴があることだ。もちろん年齢も違うし、男だけでなく女もいる。しかし共通しているのは、何度も登っている山に深い愛着を持っているのが感じられることだろう。だから見ているとどこでも、登ってみたい気になる。

・けれどもまた思うのは、頂上に至る山道の様子は、僕が登ってきたあまり有名ではない山でもよく見かけることが多いということだ。ブナ林やお花畑、野鳥のさえずりや鹿や猿といった動物の気配、あるいはコースにはガレ場もあるし、ロープや鎖で登るところや吊り橋が架かっている所もある。何より、有名な山はそれ自体に登るよりは、その近くに登って眺めた方がずっといい場合が少なくないのだ。その一番は富士山だろう。

・僕も富士山には一度登ったが、また行きたいとは思わない。ただし、富士山の周囲の山には、もうほとんど登っていて、また行きたいと思うところも少なくない。今年の富士山は恐ろしいほどの人混みで、あんな状態の所に登りたいと思う気持ちがわからない。その意味で、番組が富士山を取り上げていないのは懸命だと思っている。

・「日本縦断こころ旅」は火野正平が自転車で日本中を走り回るもので、これまですでに3年間で5回行われている。彼は僕と同い年だから、けっして楽な企画ではないと思う。実際、坂道をこぐときに聞こえてくる息づかいには、同情と言うよりは、一緒になってあえいでいるような気になってつらくなってしまうことがある。この春から夏にかけては鹿児島をスタートして、最後は長野から山梨だった。

・自転車での登りは、山歩きよりもはるかにつらい。それはだらだらとした坂道でもそうで、ちょっと急坂になれば、もう心拍数が上がって息も絶え絶えになってしまう。若い時と違って60歳を過ぎれば、走り込んでいても、平気という体力がつくわけではない。長野と山梨を走った7月の放送では、毎日のように坂道を登っていて、僕も車に乗って通ったことがある道だったりしたから、余計に同情してしまった。

・この番組がゴールに選んだのは、山中湖の近くの二十曲峠で、そこで、そこから眺める富士山のすばらしさを書いた手紙を読むことだった。富士山は登るよりは近くから眺めた方がはるかにいい。ぼくは6月にこの二十曲峠から石割山に登ったばかりだったから、この終わり方はなかなかいいと思った。ただし、彼が登った忍野村から二十曲峠までの急坂を車で通って知っているだけに、この道を本当に登ったのだとしたら、この3年で火野正平の体力が強靱になったことは確かで、そのことには驚きを覚えたし、また敬意を表したいとも思った。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。