2014年11月24日月曜日

紅葉とストーブ

 



forest120-6.jpg・毎年恒例になったストーブの火入れ(式?)は、今年は10月の中旬だった。最初は暗くなってから朝までで、温度も低めで過ごしたが11月に入ってからは一日中燃やしっぱなしにしている。最低気温が0度近くまで下がるようになってからは、ストーブの温度を250度以上に上げて、2次燃焼に切り替えるようになった。
・燃やし始めたら、翌年の薪を作る作業も始まる。その原木が今週やってきた。まずは4㎥で、雪の降る前にもう4㎥を注文するから、その前にチェーンソーで5等分に切って玉切りして、斧で割らなければならない。雪が積もるのが遅ければ、それも同じように薪にしてしまうのだが、雪が積もれば雪解け後ということになる。さて、今度の冬の寒さはどうなのか。厳冬ならば、さらに原木を注文と言うことにもなりかねない。

forest120-2.jpg・ストーブを焚き始めると、我が家の中は暖かくなる。最低気温が10度を切ると紅葉が本格的になるが、小さな石油ストーブで暖めるその時期が、一番寒さを感じる時間になる。もったいないから我慢をして11月になってからとしていたが、数年前から10月の後半から焚き始めるようになった。冷たい布団では夜中に何度もトイレに起きてしまうようになったから、やせ我慢はやめにしたのである。
・薪ストーブの季節になると、我が家の食事はストーブの上で作った煮物やスープ、そして鍋が多くなる。何日もかけてコトコト煮詰めたカレーやシチューは、この季節の最高のごちそうになる。自慢するわけではないが、遠くに出かけるとき以外は、近くで外食などまったくしなくなってしまった。

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・我が家の庭のカエデが今年は真っ赤に色づいた。最初は緑から黄色になり、それが少しずつ赤に変わって、すべて落ちた。庭は枯れ葉の絨毯で、歩くとふわふわして音がさくさくと聞こえてくる。枯れ葉はそのままにしておくと、やがては土に帰っていく。
・河口湖町の紅葉祭もやっと終わりになる。毎年観光客が増えて、道路は混雑する。おかげでこの時期のサイクリングは、西湖ばかりになる。高低差80mの急坂を登るのが、今年は特にきつく感じた。タイムも速くなるどころか遅くなるばかり。西湖の周回道路は人も車もまばらだが、山の紅葉は河口湖以上に素晴らしかった。ハアハアしながら、足を止めて見回すと、空と湖面の青と山の緑や黄や赤が目に入って、しばらく見とれてしまった。

2014年11月17日月曜日

ブラウン、U2、そしてディラン

Jackson Browne "Standing in the Breach"
U2 "Songs of Innocence"
Bob Dylan "The Basement Tapes"

standinginthebreach.jpg・ジャクソン・ブラウンが6年ぶりにアルバムを出した。タイトルは"Standing in the Breach"(難局にあたる)でジャケットの写真はハイチ地震の際に撮られたもののようだ。そのアルバムタイトルになった「難局にあたる」は次のような歌詞で始まっている。

この地球が揺れて、土台が崩れたとしても
私たちは集まって、もとに戻すだろう
生きている人たちを助けようと駆けつけるし
難局にあたって一緒になって世界を作り直すだろう

・社会に目を向けて、メッセージとして歌を作る姿勢は相変わらず健在だ。”If I Could Be Anywhere"(どこにでもいることができるとしても)は、永遠に続くものはないと言っても、プラスティックはずっとあって、目をつぶったって消えはしない、と歌って環境汚染を訴えているし、"Which Side?(どっちの側か)は「ウォール街を占拠せよ」の抗議運動を支援するために作られた歌である。

・ジャクソン・ブラウンはいつでも、悲惨なことや不当なことから目を逸らさないが、彼の歌には必ず光がさしている。「厳冬に生きる人がいれば、常夏に生きる人もいる。幸運に恵まれた人と、それとは無縁な人。しかし、壁を作る人がいても、ドアを開ける人もいる」("Walls And Door")というように。そんな姿勢は彼の歌い方にも現れている。「壁と扉」はジョン・レノンの「壁と橋」を思い出させる題名だが、社会学の巨人であるジンメルにも「橋と扉」というエッセイがあって、言わんとするところはよく似ている。人はもともと結合しているものを分離したがるくせに、分離しているものは結合したがる奇妙な生きものだ、という点である。

songsofinnocence.jpg ・U2の"Songs of Innocence"(無垢の歌)はiTunesに公開されてAppleのデバイスに自動的にダウロードされて問題になったアルバムだ。ぼくのiPadには残念ながら入らなかったからAmazonで買うことにした。やはりこれも6年ぶりの新作で、U2にとっては満を持しての発表だったのだと思う。だからこそ、iTunesで多くの人に聴いて欲しいと考えたのかもしれない。けれども、これまで彼等のアルバムのすべてを聴いてきた者としては、一番印象が薄いと言わざるを得ない。確かにU2らしいサウンドにはなっているが、それだけに昔の焼き直しといったふうにしか聴けなかった。
・実際、彼等はどうだったのだろうか。自信があったからiTunesで無料で聴けるようにしたのか、あるいは自信がなかったからなのか。僕は後者だったのではないかと思う。ボノには音楽以外のことでエネルギーや時間を費やさなければならないことが多すぎるのかもしれない。

thebasementtapes.jpg ・最後はディランの"The Basement Tapes"で、ブートレグ・シリーズの11作目になるものだ。バイクの事故で休養していた1967年に、ザ・バンドのメンバーとウッドストックの別荘の地下室で録音をしたデモテープで、1975年に同名のタイトルで公式に発売されてもいる。僕が買ったのは6枚組のコンプリート版で、すべてを聴くと6時間半にもなるものだ。しかも同じ曲がいくつも入っていて、熱心なファンでもなければ聴き続けられない内容になっている。とは言え、僕はやっぱり何度も聴きたくなった。

・ロックフェスの原点として伝説化している「ウッドストック」は隠遁しているディランを引っ張り出すためにウッドストックでやったと言われている。ディランは出なくて多くの人をがっかりさせたが、その間に、実験的な新しい試みをして、なおかつしばらくの間、公にされなかった曲が並んでいる。僕はもちろん、資料のつもりでこの高額なアルバムを買ったが、それ以上の価値があるとも思った。

2014年11月10日月曜日

オバマの不人気はなぜ?

・アメリカの中間選挙で民主党が負けて上下両院で共和党が多数を占めた。その理由はオバマ大統領の不人気にあったようだ。確かに最近の政策には失敗も多いし、首をかしげたくなるものもある。しかし、ブッシュの時代よりは良くなっている面も多いはずで、そこを評価しないのはなぜなのか、疑問を感じた。

・オバマ大統領は「イスラム国」なる勢力が強くなって、その対応に苦慮している。弱腰だという批判をかわすために、「プレデター」という名の無人攻撃機を使っているのだが、誤爆や民間人を巻きこむことが多いと非難されている。遠く離れたところから、まるでゲームをするかのようにミサイルを撃ち込む。しかも、標的にする根拠が、怪しい奴が集まっているとか、4駆に乗って銃を持っているとといった漠然とした場合もあるようだ。

・ずいぶんひどいことをしていると思う。しかし、それを使うのは、アメリカ兵をイラクから引き揚げるという方針を実行したからで、それを覆して再び派兵をおこなうことを避けるためである。つまり、オバマはブッシュ前大統領が9.11に対する報復としておこなった無謀なイラク戦争の後始末をさせられているわけで、現在のようなひどい状況になった責任はブッシュこそがとるべきもののはずなのである。

・今、アメリカ経済はけっして悪くない。これはブッシュの時代に起きた「リーマンショック」の後始末をおこなってきたオバマの成果だと評価されてもいいはずである。なのに評価されないのはなぜだろうか。もちろん、景気の回復の恩恵を受けているのがわずか1%の富裕層に限られるという現実があって、若い人たちの批判が強いのは事実だろう。しかし、これも、ブッシュ政権が残した制度のためだし、それを変えたくても共和党や経済界の抵抗が強いという側面もある。

・オバマ大統領が掲げた政策で実現したものに「医療保険制度改革」(オバマケア)がある。日本では当たり前の健康保険制度をアメリカに定めようとしたもので、貧しい人でも病院で治療を受けられることができるようにしたものだが、この制度についてもまた、共和党の猛烈な反対があった。民間の保険会社と契約している人にとって何のメリットもないし、保険に入れない人は自己責任だという考え方や、国の予算はできるだけ少なくする「小さな政府」が党のスローガンだという理由が挙げられている。

・オバマは大統領選挙の中途で彗星のように現れて、「チェンジ」というスローガンであっという間に民主党の大統領候補になって、選挙でも圧勝した。しかも直後には「核廃絶」を唱えたことを理由にノーベル平和賞も受けた。環境保全や自然エネルギーの開発を謳った「グリーン・ニューディール」も時流に乗って、好意的に受け取られた。だから、不人気の理由は、それだけ大きな期待を寄せられたのに、たいした成果が上がらなかったという失望感にあるのかもしれない。特に、オバマに期待をした若い人たちには、強いのだと思う。

・オバマ大統領の任期はまだ2年ある。しかしアメリカでは次の大統領についての話題がすでに熱く語られはじめている。今度は女性初の大統領の登場をクリントンに期待する声が大きいようだ。年齢的にちょっと心配だが、女性大統領の登場はいいことだと思う。と言うよりはオバマの前にやるべきだったと今さらながらに感じている。

・共和党支配の議会とのねじれによって、オバマ大統領はまだ2年も任期があるのに、レームダックになったと言われてしまっている。何をやろうにも議会の反対にあって何もできないことが予測できるからだ。しかし、だからこそ、今までやろうとしてできなかったことを次々政策に掲げて、議会と対決するという姿勢に転ずることもできるのではないかと思う。

・これから数十年たってオバマがアメリカの歴史の中でどのように評価されるか。僕はブッシュとは雲泥の差で「名大統領」として評価されのではないかと思っている。とは言え、大統領について選挙のたびに夢を作り出して熱狂しては、数年後に落胆するくり返しをまたやろうとしていることには、多少のうらやましさもあるが、半ば呆れている。

2014年11月3日月曜日

 

老人力とは言うけれど

・赤津川源平が死んで、彼がポピュラーにした「老人力」ということばがまた、話題になりました。そう言えば、そんなことばがあったな、と思うと同時に、心身の老化を自覚することが多くなったこともあって、以前とは違う意味でいろいろ考えてしまいました。

・「老人力」は老化による衰えを読み替えて、積極的な意味を持たせようとしたことばです。これを耳にしたときには「なるほどそういう解釈の仕方もあるか」と思いましたが、いざ心身の衰えを自覚しはじめると、なかなか積極的な読み替えはできない自分に気づかされてしまいます。衰えはやっぱり不都合なこととして、自分に不意に襲ってきた災難のように感じられてしまうからです。

・わかっているはずの名前や地名が出てこない。ことばの引き出しにガタがきたのか、それともどこかにうっかりしまい忘れてしまったのか。思い出そうとしても全然出てこないのに、しばらくすると、何でもなかったように口をついて出る。笑って済ませる程度でなくなってきていますから、ちょっと不安を感じるようにもなってきましたた。

・もっと心配なのは体の方です。耳が遠くなったという自覚もありますし、目の疲れもひどくなりました。仕事を終えて夜、車で帰宅するときに、前を走る車の尾灯が二重に見えたりします。パソコンにタブレット、そしてスマートフォンなどを毎日長時間見つめているせいか、文字がぼけて見えたりすることも多くなりました。小さい字が読みにくくなって、本を読む時間も減りましたし、原書を読むことが億劫になりました。

・もっと困っているのは、トイレの近さです。特に最近体調を崩して熱を出したときには、数日間、一時間と持たないことが続いて難儀しました。慌ててトイレに駆け込んでも、ちょろちょろとしか出ないのですから、もう情けないやら呆れるやら。さっそくネットで漢方薬を買いましたが、効き目があるのかどうか、よくわかりません。熱を出した原因が何だったかよくわかりませんし、その後は、元通りにではないにしても、トイレに行く回数はそれほど多くはなくなったからです。

・テレビはBSを見ることが多いのですが、老化を防ぐ薬のたぐいのCMが多いのに、改めて気づかされています。無関心だったのが、そうではなくなった、こちらの変化のせいだと思います。同世代のタレントが「一度試したら手放せない」などと言って勧めています。「アホくさ」と思っていましたが、自覚があるとちょっと気になってしまう。そんな自分の変化にも老いを感じてしまいます。

・人の弱みにつけ込む手口は「オレオレ詐欺」が顕著です。何でと思うほど引っかかる人が多いようで、狙われているのは大半が老人です。しかし、テレビのCMや新聞雑誌の広告、それにネットのバナーなど、世の中にはそんなものが満ちあふれていますから、ついつい手を出してしまう人も多いのだろうと思います。欺されるはずがないではなく、気をつけようと考えるようになりました。

・つい半世紀前までは、人生50年と言われていましたが、今では平均寿命が80を超えました。最後まで五体満足というわけにはいきませんから、医者や薬に頼るということは避けられないでしょう。そこのところをどうやってうまくやりくりするか。そんなことを自分の身近な問題として考えざるを得ない時期になったことを自覚する、今日この頃です。