2010年12月30日木曜日

目次 2010年

12月

30日:目次

27日:森についての本

20日:Merry X'mas!!

13日:My best of best

6日:続・最近買ったCD

11月

29日:秋の山歩き

22日:晩秋の憂鬱

15日:ウィリアム・ソウルゼンバーグ『捕食者なき世界』

8日:ミラクル! SFジャイアンツ!!

1日:ユーラシア大陸をバイクで横断

10月

25日:最近買ったCD

18日:秋が遅い

11日:イザベル・アジェンデ『精霊たちの家』

4日:そうかな?って思うことばかり

9月

27日:iphoneに竹製のケースはいかがですか?

20日:アナログ、デジタル、有線、無線

13日:P.F.スローンって知っていますか?

6日:旅の終わりに

8月

30日:スタッズ・ターケル『自伝

27日:ポートランド、Mt.フッド

20日:久しぶりのサンフランシスコ

13日:モントリオール便り

6日:森の生き物たち

7月

26日:鶴見俊輔『思い出袋

19日:喫煙は病気ですか?

12日:初夏の山歩き

5日:花粉症とケルト神話

6月

28日:動物園という名の地獄

21日:トンネルはできたけれど

14日:ジャズ喫茶と米軍基地

7日:拝啓、国民の皆様

5月

31日:宝永山と小富士

24日:高速料金の迷走

17日:地デジという無駄

10日:新しいチェーンソー

3日:アフリカの音楽が伝えること

4月

26日:仲村祥一さんを偲ぶ会

19日:ジャガイモとアイルランド

12日:メディアの信頼度

5日:トニー・ガトリフの映画

3月

29日:K's工房個展案内

22日:新刊案内『コミュニケーション・スタディーズ』

15日:グラミーを見て買ったCD

8日:木村洋二さんを偲ぶ

1日:ロマとユダヤ

2月

22日:パイプの煙

15日:悪者を探せ

8日:次の冬に備えて

1日:DVDとYouTube

1月

25日:今年の卒論

18日:『ウッドストックがやってくる』

11日:グローバル化と閉じた社会

4日:謹賀新年

2010年12月27日月曜日

森についての本

 

只木良也『新版森と人間の文化史』NHKBooks
石城謙吉『森林と人間』岩波新書
佐々木幹郎『田舎の日曜日』みすず書房

・森らしき場所に住んで10年以上になる。別荘地で隣地に家が建っていないから、松林が残っていたのだが、最近、格安の値段で買った人が、一区画の木をばっさりと切ってしまった。空き地の向こうに御坂山塊の山並みが見えるようになって、妙に明るく、見通しのよい景色になった。そんな変貌にかなり戸惑っている自分がいる。
・とは言え、その松林を気に入っていたわけではない。ひょろひょろと伸びた幹の見栄えはけっしてよくなかったし、強風に大きく揺れると、今にも倒れそうで怖い気もしていた。伐採して広葉樹にした方がもっときれいな森になるのに。そんなふうに感じても、他人の土地だからどうしようもないと思ってきたのである。
・今年も付近の山をせっせと歩いた。手入れの行き届いたみずならやブナの森もあったが、立ち枯れの幹が林立していたり、伐採して放置されたままの木がごろごろとして、山の森は元気でないという印章の方が強かった。で、森や木の本をちょっと読んでみようかという気になった。

woods1.jpg ・日本人にとって一番なじみのある木は松だろう。白砂青松というように海岸線にはお馴染みだし、山にも赤松や唐松が密生した森は少なくない。けれども、『新版森と人間の文化史』によれば、そんな風景は、飛鳥時代以降に見られるようになったようだ。つまり、雨が多く暖かい日本の気象条件では常緑の広葉樹、ちょっと寒いところでは落葉広葉樹が茂っていたのだが、それを乱伐し、土地を痩せさせたために、松が勢力を伸ばしてきたというのである。痩せた土地に適応力のある松は防風林や防砂林として植樹され、それがなじみの風景になったというのが実態らしい。
・森は古くから、人間の手によって守られ、変貌し、また枯れ果ててきた。この本を読むと、そんな歴史と日本人の森や木に対する関わり方の変容がよくわかる。里山は薪を取り、枯れ葉や枯れ草を集める場として維持されてきた森だ。それは一種の収奪で、森は痩せるが、それ故にこそ生き延びる木々もある。放置された森は富栄養化するが、だからといって自然にまかせて、豊かな森になるわけではない。

woods2.jpg ・森は保護するだけの場所ではなく、生産の場であり、そこで楽しむ場でもある。しかし、そのバランスをうまく保つためには、長期的なビジョンに基づいた地道な努力が必要になる。『森林と人間』は北海道の苫小牧にある北大演習林の再生の物語だ。大学所有の演習林は研究のための場だから、収益をあげることや人びとが森で遊び、動植物に触れる場である必要はない。だから、木が商品として大事にされることはないし、周囲の人からも近寄りがたい場所と思われる存在でしかない。
・苫小牧にある北大演習林を市民が憩う場にし、成長した木を順繰りに伐採して売り、植生を工夫し、森を豊かにする。池や湿原をつくると鳥や魚、そして昆虫などが増え、子どもたちのにぎやかな声が響くようになった。そして、本来の目的である研究活動も活性化したという。しかも、そういった改良のほとんどは、職員や教員、そして学生たちのボランティアでおこなわれたのである。北海道に行ったのは、もう20年も前のことで、苫小牧は素通りだったが、今度言ったら是非、出かけてみたいと思った。

woods3.jpg ・森の太い木を見ると、高所恐怖症気味の僕でも登って見たい気になる。だから庭にツリー・ハウスを作れたらいいな、という思いをずっと持ちつづけている。『田舎の日曜日』は浅間山近くでのツリー・ハウス作成の話である。著者の佐々木幹郎は詩人だから、その描写の巧みさに引きこまれて想像力をかき立てられてしまった。よし、僕も、と言いたいところだが、彼の山小屋には別荘として時折行くだけにもかかわらず、土地の人たちが大人も子どももよく集まってくるし、東京から出かけてくる人たちも多いようだ。だから、ツリー・ハウスは、大勢の人たちによって作られている。
・田舎の人はよそ者には冷たいくせに、有名人となると、手のひらを返したように優しくなるし、親しくもなりたがる。そんな苦言をはきたくなるが、それはもちろん、積極的に関わろうとしない、僕自身のせいでもある。ツリー・ハウスは大勢で作って、大勢で楽しんでこそ意味がある。そんなことも感じさせられた。

2010年12月20日月曜日

Merry X'mas!!

 

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2010年の締めくくりです 今年は夏に、カナダとアメリカに出かけました アメリカは5年ぶり、カナダは19年ぶりの訪問でした 久しぶりに会う古い友人も、それなりに歳をとっている 我が身と比べて納得することが多かったです

研究室に集まる若手と一緒に
『コミュニケーション・スタディーズ』〈世界思想社〉をつくりました
担当している「コミュニケーション論」のテキストです
自主的に学ぼうとしない学生に
少しでも勉強する意欲を持たせたい
そんな気持ちでつくりました

昨年から、付近の山歩きをはじめ
今年も、春と秋にせっせと歩きました
富士山〈宝永山、小富士)
西沢渓谷、大菩薩峠、横尾山、日向山
十二ヶ岳
大平山、黒岳、鶯宿峠、釈迦ヶ岳
そして最後は三つ峠でした

親しかった木村洋二さん
仲村祥一さんが昨年、相次いで亡くなって
それぞれ、偲ぶ会が開かれました

もう少し一般的なことにもふれる必要があるのかもしれません
たとえば、「拝啓、国民の皆様」
「メディアの信頼度」
「高速料金の迷走」
「そうかな?って思うことばかり」
と、いくつか書きました
けれども
政治も経済も社会も、そして文化とメディアについても
うんざりすることばかりで
ふり返る気にもならない感じです

とは言え
今年も無事過ごすことができたことに感謝して


Merry X'mas and Happy New Year!!


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2010年12月13日月曜日

BS, My best of best

 ・NHKがBSのデジタル化10年を記念して、「ベスト・オブ・ベスト」というタイトルで、連日長時間、再放送をしている。見た記憶がある番組がかなりあって、もう一度見ているもの、これから見ようと思っているものが少なくない。で、そんな番組を見ながら、このサイトで紹介したBSの番組をふり返ることにした

・ぼくがBSを見始めたのはいつからだろうか。確かではないが、何より一番楽しみにしたのは、野茂が出るメジャーリーグの生中継だったから 1995年頃だろうと思う。見ていたテレビが壊れて、1998年にBSのハイビジョンが見えるテレビに買い換えた。ちょうどサッカーのワールドカップがフランス大会をやっていて、ワイド画面と映像の鮮明さに驚いた記憶がある。いずれにしても、BSの魅力は海外から中継される「スポーツ番組」にあったし、もうひとつはWowowと契約して映画をみることにあった。

・BSハイビジョンはNHKを中心に民放各局が実験的な放送をするチャンネルだった。それを各局が別々に放送をはじめたのが2000年で、この12月でちょうど10周年になる。ドキュメントなどのBSオリジナルの番組におもしろいものが出始めたのはいつ頃からか。この欄で最初に紹介したのは、僕と同年齢で46歳で死んだスポーツ・ライターの山際淳司についてのものだった。「夫・山際淳司から妻へ」というタイトルでBS2で1999年に放送されている。この番組についての僕の文章には「奥さんである澪子さんの話を中心に山際淳司と彼の死後に彼女や息子さんが経験したことの意味を考えたドキュメント」と書いてある。

・その後、取りあげた番組を並べてみると、以下のようになった。
・「花はどこへ行った」(2000,BShi)<
・「はるかなる音楽の道」(2002,BShi)
・「Isamu Noguchi」(2002,BS朝日)
・「アメイジング・グレイス』はどこから来たのか?」(2002,BShi)
・「「世紀を刻んだ歌 人生よありがとう」」(2003,BShi)
・「セディク・バルマク『アフガン・零年』 」(2004,BShi)
・「月尾嘉男がカヤックでホーン岬に行った」(2004,BShi)
・「スマイル〜ビーチ・ボーイズ 幻のアルバム完成」(2005,BShi)
・「Bob Dylan "No direction home"」(2005,BShi)
・「ターシャの庭 」(2007,BShi)
・「エリックとエリクソン〜ハイチ・ストリートチルドレンの10年〜」(2007,BShi)
・「ジャニス・ジョプリン 恋人たちの座談会"」(2008,BShi)
・「伝説の喫茶店(カフェ)物語」(2008,BShi)
・イラク戦争とは何だったのか?(2009,BS)
・「時の旅人 忌野清志郎が問うオーティスの魂より」(2009,BS)
・ベルリンの壁(2009,BS)
・癌細胞の不思議(2009,BS)
・「戸井十月、ユーラシア大陸3万キロの旅」(2010,BShi)

・もちろん、このほかにも見ていておもしろいと思った番組はいくつもあった。NHKは「ベスト オブ ベスト」を12月の大晦日までやるようだ。例えば、朝から夜まで一日中世界を訪ね歩く旅行記を次々放送したりする日もある。番組表を一覧すると、同植物の観察記録、スポーツや音楽、そして戦争や紛争、革命、あるいは環境破壊といった問題に、丁寧に取り組んできたことがよくわかる。民放テレビの駄目さ加減にあきれて、このサイトでも、繰りかえし批判をしてきたが、一方で、見応えのある番組を多くつくってきたことがよくわかる。BSがなければ、僕はほとんどテレビを見なかっただろうと、今さらながらに思う。

・最後に、この後、必ず見ようと思っている番組をあげておこう。
・「シリーズ 青春が終わった日 バブル鎮魂歌(レクイエム) ダンスフロアに消えた青春」
・「アフリカの魂 〜闘う歌手 ユッスー・ンドゥール」
・「世界・わが心の旅「ベルリン 生と死の堆(たい)積」旅人 小田実」
・「パレスチナ響きあう声 〜E.W.サイードの“提言”から〜」

2010年12月6日月曜日

続・最近買ったCD


Bruce Springsteen"The Promise"
Sinead O'Connor"Theology"
Leonard Cohen"Songs From The Road "
Mose Allison "Allison Wonderland: Anthology "
Van Morrison, Mose Allison "Tell Me Something"

springsteen3.jpg・ディランほどではないが、スプリングスティーンのアルバムもすでにたくさん持っている。でも出たらついつい買ってしまう。そんな気でよく確かめもせず注文して、最初に聴いて、その声の若さにびっくりしたのだが、"The Promises"は昔の未発表曲ばかりを集めた2枚組のアルバムで、収録された曲の多くは1975年から8年にかけてのもののようだ。もちろん、中には聴いたことのある曲もいくつかある。パティ・スミスが歌っている'Because The Night'が二人の共作だったとは初耳で、一緒に曲を作るほど親しい関係だったのかと、認識を新たにした。聞きくらべるとアレンジがよく似ているし、演奏時間もほとんど同じだった。

theology.jpg ・シニード・オコーナーの"Theology"も2枚組だが、ダブリンとロンドンの二カ所の録音で、それぞれ一曲をのぞいてまったく同じ曲が収録されている。ただし、どの曲もアレンジはまったく違っていて、ダブリンはアコースティック、ロンドンはバンドをバックにしている。僕にはやっぱり、ダブリン盤のほうがいい。題名(神学)から、宗教色が強そうに思えるがどうだろう。

私はあなたのために何か美しいものをつくりたい
そしてあなたからも
あなたに見せるために
あの人たちは哀れな人たちの傷に包帯を巻いている
平和などないときに、意味もなく「平和」という
'Something Beautiful'

cohen1.jpg ・レナード・コーエンもベテランのミュージシャンだ。僕は一枚も持っていなかったが、ライブ盤で評判もよかったから一枚買ってみた。彼はミュージシャンである前に詩人で小説家でもある。ビート詩に関わり、カナダのボブ・ディランとも呼ばれて、ディラン自身とも親交があった。歌も当然、文学的で、社会批評の精神にも溢れている。そんな彼のアルバムを一枚も買わなかったのは、彼の声が好きではなかったからだ。で、改めて聴いたのだが、やっぱり受けつけそうもない。彼の歌は他のミュージシャンにたくさん歌われている。今度は、そんな歌を集めたアルバムでも探してみようかと思う。

allison2.jpg ・前回紹介したモーゼ・アリソンの若い頃からのベスト・アルバムを購入した。鼻歌のように歌うのは若い頃から一貫しているが、ジャケットの顔と同様にさすがに声は若い。聴きながら、コンサートホールではなく、小さなクラブで、ビールなどを飲みながら、すぐそばでピアノを弾いて歌う様子を思い浮かべた。しかし、50年代から60年代にかけてのイギリスのサブカルチャーを代表する「モッズ」になぜ、どこが気に入られたのかは、よくわからない。残念ながら、このアルバムにはThe Whoがカバーした'Young man blues’は入っていないから、もう少し、彼のアルバムも探してみようかという気になっている。

morrison8.jpg ・もっとも、ヴァン・モリソンとモーゼ・アリソンが共作した"Tell me something"は、二人の良さがうまく出たアルバムになっている。レコーディングは一日で済んでいて、それぞれの曲も一回か二回のセッションで収録されたようだ。全曲がモーゼのオリジナルで、ヴァン・モリソンが望んでつくったアルバムのようだ。彼がジャズの要素を取り入れるようになったのが、モーゼ・アリソンの影響であることがよくわかる。

・それにしてもCDが安くなった。今回紹介したアルバムの多くは二枚組で、いずれも1000円台の値段だった。しかも、いくつかは、 amazon経由でイギリスやドイツから発送され、10日もかからずに届いている。欲しいものは世界中から検索できる。だからついつい買ってしまう。いいことだけどやり過ぎないように。最近の買い方にちょっと反省気味である。