2022年2月28日月曜日

MLBが始まらない!

 MLBは昨年12月にロックアウトをしたまま、未だに解除をしていない。選手会との交渉が暗礁に乗り上げたまま、解決の見通しが立たないからだ。MLBと選手会はいくつもの取り決めをしていて、それを5年おきに改訂する決まりになっている。それがうまく妥結できないのだが、こんな状況は1995年以来のようだ。ただしこの時は選手会によるストライキで、今回のMLB側のロックアウトとは違っていた。

野茂投手がドジャースと契約して、開幕が1ヶ月遅れてデビューをしたのがこの年だった。ファンの批判が強くて、観客減が大きかったが、それを食い止めたのはトルネード旋風を起こした野茂投手の活躍が大きかったと言われている。野茂はこの年、オールスターの先発投手になり、新人王を獲得した。最初は批判ばかりを浴びせていた日本のメディアも、大活躍に手のひらを返して、称賛の声をあげるようになった。

そこから27年経って、メジャーリーガーも通算で70名ほどになり、今年も多くの選手が開幕を待っている。しかしキャンプができないままであり、今年からメジャーをめざす鈴木誠也選手は、まだ所属球団が決まっていない。このままでは開幕が遅れ、試合数が減ってしまうと危惧されているが、何よりファンからの批判が大きいようである。

両者の隔たりは大きく二つある。一つは選手の年俸総額に対するもので、たくさん払う球団に課せられる贅沢税の制限額に関している。年俸を抑えたいMLBともっとあげろという選手会の対立だが、ファンの批判は、この金持ち同士のマネー・ゲームに集中している。何しろ一年で数十億円も稼ぐ選手が続出して、大谷選手は50億円にもなるのではと噂されているのである。

もう一つはマイナーからメジャーに上がった選手に課されている6年間縛る契約で、どんなに活躍しても、この間の年俸があまり上がらないという点である。大谷選手は今年5年目だが、年俸は6億円ほどで、フリーエージェントになるのは来期後である。同様の扱いを受けている選手にはゲレーロJr.やファン・ソトといった選手がいる。確かに成績に見合う報酬を得るまでにかかる時間が長いと思うが、そもそもスター選手の報酬が高すぎるし、球団が儲かっているのだとしたら、入場券などが高すぎるのである。

他方で、MLB はマイナーチームの削減を実施して、多くの選手を解雇している。マイナー選手の報酬や待遇を少し良くしたという面はあっても、現実には経費の削減を実施していて、マイナー球団の減少は、小さな町にある「おらがチーム」を奪っているのである。MLBはテレビの放映権収入が増えているのに、その資金をマイナー・リーグに使う気はないようだ。これでは砂上の楼閣になってしまうが、目先の利益に目がくらんでいるのだろうか。

僕は今年も大活躍するだろう大谷選手の動向が気になっている。おそらく早く始まってくれとウズウズ、イライラしていることだろうと思う。試合数が減れば勝利数もホームラン数も減ってしまう。オフに帰国してもテレビ番組にはほとんど出ず、トレーニングに明け暮れていたという。試合数が15試合以上減れば、彼がフリーエージェントになるのが一年遅れて、30歳になるから長期の高額契約が取れなくなるだろうと心配する記事がある。しかしそんなことは、彼にとってはどうでもいいことで、マネーゲームを面白がるメディアの発想でしかないのである。

2022年2月21日月曜日

本間龍『東京五輪の大罪』(ちくま新書)

 
ryu1.jpg 東京オリンピックにうんざりした思いがまだ残っているのに、今度は冬季の北京オリンピックである。NHKは国会中継を無視してまで、全競技を放映しているし、民放のアナウンサーは相も変わらずメダルばかりにこだわって絶叫している。スポーツが金もうけや政治や国威発揚の道具となっていることをこれほどあからさまに見せられると、オリンピックはもうやめるべきだと、声を大にして言いたくなる。

本間龍の『東京五輪の大罪』は、東京五輪が「電通の電通による電通のためのオリンピックだった」と結論づけている。何しろ電通は「招致活動からロゴ選定、スポンサー獲得」から始まってテレビCMなどの広報活動、聖火リレー、パブリックビューイング、さらに開閉会式に至るまで、すべてを取り仕切っていたのである。そしてその多くで不祥事が発覚して大きな問題になった。

ryu2.jpgそれを列挙してみると、まず招致活動における2億円の賄賂疑惑があり、五輪エンブレムの盗作問題があり、開会式をめぐるスキャンダルや放言などによる担当者の解任があった。おかしなことは電通関連以外でもいくつもあった。招致活動における安倍首相の、福島原発はアンダーコントロールや、夏の東京は温暖で、スポーツに適しているといった大嘘発言や、森喜朗の差別発言など、枚挙にいとまがないほどだったのである。

著者はこれまでにも一貫して東京五輪には反対して、『ブラックボランティア』(角川新書)では、酷暑の中で無給で食事も宿泊も自腹でというボランティアの募り方に異議を唱えてきた。そもそもボランティアは無給を意味するわけではないのだが、それを当然視する五輪の組織委員会の主要メンバーには、高額の報酬が払われていたのである。で、その酷暑対策のお粗末さに加え、コロナ対策も不十分のままに、五輪は強行された。

genpatu.jpg著者はまた『原発広告』(亜紀書房)の中で、福島原発事故以前に電力会社がテレビや新聞で原発の安全性を唱える広告を出してきたことを指摘しているが、五輪が全く同じ構図で、全国紙やテレビ局がスポンサーになって、五輪批判をほとんどしてこなかったことを糾弾している。不祥事や酷暑、さらにはコロナ禍と続いても、メディアが問題視しなかったのは、まさに政治と経済とメディアが一体化した「大政翼賛」の体制にほかならなかったというのである。

読んでいて改めて、五輪にまつわるいかがわしさにうんざりしてしまうが、組織委員会はきちっとした総括などする気はないようである。7000億円で既存の施設を使ったコンパクトな五輪にするといったのに、国立競技場を始め多くの施設を新設し、総額で3兆円とか4兆円になるといった結果をもたらしている。おそらくメディアも本気になって検証したりはしないだろう。日本人選手が活躍したからよかったんじゃないか、などといってうやむやにしてはいけないことなのにである。

2022年2月14日月曜日

国産品はどこへ行った?

・毎週買っていた熊本産アサリが、実は輸入品だったことがTBSの「報道特集」で放送されて、スーパーでの表記が中国産に変わった。小さくて食べにくいからと敬遠気味だったシジミに変えたが、これって本当に島根県産だろうかという疑問が湧いた。宍道湖だけで日本中に出回るシジミが取れるとは考えにくいからだ。そんなふうに考えると、あれもこれもと怪しくなるものが浮かんできた。 

・多少値段が高くても、できれば国産品がいい。そう思うのは、国産品に対する信頼感があるからだが、それが信用できないなら、何を基準に買い物をしたらいいのだろうか。アサリの産地偽装は、そんな疑問や不信感を募らせたニュースだった。それはともかく、食料品だけでなく他の商品でも、国産品が目立たなくなったなと思うことがしばしばある。

 ・冬の寒さをしのぐために、僕の家では薪ストーブと灯油のファンヒーターを一日中使っている。ストーブの上には大きな鍋を二つ置いて湯気を出し、その他に加湿器を2台つけっぱなしにしている。しかし今年の室内の乾燥があまりにひどいので、加湿器をもう1台追加することにした。そうすると、日立や東芝あるいは三菱といったメーカーのものはほとんどない。これがよさそうだと買ったのは中国製だった。 

・ 僕の家にある家電はほとんど国産メーカーのものだが、そう思って、アマゾンで調べると、もし壊れて新しく買い替えるとしても、大手の家電メーカーが作っていないものが多くなったことに気がついた。そう言えば、サンヨーはパナソニックに吸収されたし、シャープは台湾に身売りした。東芝は解体作業中だし、三菱や日立の業績もよくはないようだ。日本の経済成長を牽引した家電メーカーが総崩れだから、製品がないのも当然だと認識を新たにした。

 ・国産はよくて輸入品は粗悪だ。それが今でも一般的かもしれないが、実態はかなり違っている。スマホからはすでに撤退しているし、半導体も台湾のメーカーにお金を払って日本に工場をつくるようだ。先端技術から家電などの普及品まで、日本はすべてダメになってしまっている。これでは経済成長もしないわけだとまたまた納得をした。

 ・残るは自動車メーカーだが、これもEV開発に乗り遅れていて、斜陽産業になる危険性は十分にある。中国では廉価のEVが売れていて、すでに4割に達しているというニュースがあった。アメリカのテスラの時価総額がトヨタよりもはるかに高くなっているようだ。スバリストの僕は30年以上水平対向エンジンの車に乗ってきたが、次に乗り換える時にはやっぱりEVにしようと思っている。数年後にスバルが気に入ったEVを出しているのだろうか。そんなことまで考えてしまった。

 ・アサリから始まってあれこれ見渡した時に感じたのは、そんな日本の落日の様相だった。どう考えたって、もう経済成長する力はなくなっている。日本の底力などというテレビに騙されてはいけないのである。

2022年2月7日月曜日

厳冬とオミクロンの中

 

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秩父の三十槌の氷柱

forest181-2.jpg 12月から寒い日が続いている。薪がどんどん減って、とても春まで持ちそうもなくなった。ログハウスの周りに空きができてペンキを塗ったのだが、その後に、新たに割った薪を並べ、さらに年末に4立方メートルの原木を注文した。正月明けまでにそれを積み上げたところで、雪が少し降った。これで何とか来年の冬の準備はできた。それにしてもこの冬は寒いが雪は少ない。


forest181-3.jpg しかしこの冬はどうするか。昨年5月から乾している薪は、表面は乾燥していても、割って中を計ると湿気が30%以上もある。そこで思いついたのが、ストーブに載せて乾燥させるという方法だった。上に乗せれば当然焦げる。家中に香ばしい臭いが立ちこめる。時には水分が破裂してパーンといった音をたてたりもした。それで数時間経つときれいに燃えるようになった。これで何とか寒さはしのげそうだ。


forest181-4.jpg 母屋の化粧直しをしたら。工房がシャビーに見えるようになった。そこで続けて工房のペンキ塗りもやることにした。焦げ茶と緑の油性ペンキを買って、ほぼ全面を塗ることにした。2階の壁や玄関前の庇の上など、はしごで高く上がったり、足場が悪いところなど、こわい思いをしながら塗ったところも多かった。ついでに窓の汚れも落として、すっかり見違えるようになった。ペンキ代はログと合わせても数万円だが、職人さんに頼んだら、おそらく数十万円かかったはずである。その後デッキと玄関前のエントランスも塗ったが寒かった。


forest181-5.jpg こんな具合に、厳冬とオミクロン株感染の中で、家でせっせと働いている。寒くて自転車に乗ったのは数回だけだし、出かけるのは週一回の買い物だけだったが、たまには遠出もしたくなって、秩父の三十槌の氷柱と沼津の千本浜に出かけた。どちらも車での移動で人もまばらだったので感染の心配はなかったが、感染者数の増え方を見ると、しばらくは閉じこもるほうがいいと思っている。

テレビは相変わらず今日の感染者数はと言っているけれど、検査数については何も言わない。検査キットの不足もあって、感染者の実数は数十倍だと指摘する専門家もいる。1日10万人を超えたと大騒ぎしているが、実数は毎日百万人を超えるということになって、このままいけば、日本人の半数以上が感染するということになる。まさかと思うが、欧米の数を見れば、あり得ないことではない。くわばらくわばらである。