2023年6月26日月曜日

陶芸を始めました

 

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我が家にはパートナーが製作する陶芸の工房があります。ここに引っ越してきた時に新築しましたから、もう20年以上使われています。パートナーはここでせっせと作品を作り、個展を開き、陶芸教室をおこなってきましたが、僕は陶器の製作はもちろん、粘土に触ることも一度もなかったのです。なぜなのか。

j'sceramic2.jpg" 大工仕事や薪割りなど、他にやらなければならないこと、やりたいことがありましたし、仕事で東京に通勤して、授業の準備や校務、研究活動などもありました。ですから仕事を辞めたら始めるか、と思っていたのですが、それからすでに6年も経ちました。作りたいものが見つからないし、パートナーの領域にあまり踏み込みたくないといった気持ちがあったのかもしれません。

j'sceramic3.jpg" やりはじめたきっかけは、エスプレッソに入れるミルクを泡立てる陶器の口が壊れたことでした。くっつけて今でも使っていますが、自分で作ってみようかと思いはじめたのです。梅雨にはいり、自転車も山歩きもままならなくて、少し退屈だったということもありました。で、始めるぞ!と宣言したのです。

j'sceramic5.jpg" ろくろの手ほどきを受けて始めましたが、土は言うことを聞いてくれません。YouTubeで見ると、土殺しという、粘土をろくろの中心に置く作業をいとも簡単にやっているのですが、これがなかなか難しい。それでも何とか、小鉢とミルクを攪拌する器を作り、分厚いところを削って、それらしい形にしました。次は手びねりで灰皿とビールジョッキ。余った粘土で象を作りましたが、これは中を空洞にしなければ爆発してしまうと言われて、潰してしまいました。

j'sceramic4.jpg" 作ったものは乾かし、素焼きをし、釉薬をつけて本焼きとなります。さてどんなものに仕上がるか。それにしても、ろくろの作業がうまくできないのは心残りです。ですから、これからも泥遊びに精出そうと思っています。70歳の手習いですが、飽きずにいつまで続けることができるでしょうか。それにしても泥遊びの後は当然、汚れます。この後片づけがなかなか面倒で、やるたびにパートナーに叱られています。そんなにきれいにしなくてもと思いますが、ここは彼女の聖域ですから、文句を言わずに、跡を濁さずと心掛けています。


2023年6月19日月曜日

奇妙な読書経験

 

庭田茂吉『日常の中の哲学』(萌書房)
黒川創『彼女のことを知っている』(新潮社)

niwata1.jpg 『日常の哲学』は友人の庭田茂吉が書いたものである。彼は哲学者でメルロ・ポンティの現象学などを専門にしている。僕にはよくわからない分野だが、彼とは学生の頃から勉強会などもしていて、一緒に話すことは楽しかった。ただし話の中身は、身の上話や下世話なものであることが多かった。極めて話し上手で、こんなことをテーマに本を書いたら売れるのに、とよく思った。最近はめったに会わないから、そんな話が懐かしく感じられるのだが、「日常」ということばが題名についた本を見つけて、読んでみようという気になった。

読みはじめたら、まるで話を聞いているような感じになった。映画やテレビ番組、あるいは新聞記事から取られた宇宙人に盗まれた街や対顔恐怖症、イセエビにアオリイカが話題になり、またカフカや鶴見俊輔、そして田中小実昌などが取り上げられる。話は時に何度も繰り返され、別の話題に飛び、深く哲学する。あー、たしかに、彼の話はこんな感じだったと懐かしくなった。

特に面白かったのは、新聞記事に載ったてんぷらの話だ。さつまいも(90円)、クジラ(100円)、大エビ(200円)………と並べられているところにおばちゃんの笑顔がある。その写真に美しさを感じ、心の底からしびれたというのである。で、その話を頼まれた講演会の話題にしたのだが、話の落ちが作れなくて大失敗をしたという落ちがついていた。うん、彼ならやりそうなことだと、笑ってしまった。

kurokawa2.jpg 黒川創の『彼女のことを知っている』は小説である。物書きを仕事にする中年の男が、映画のシナリオを頼まれた話から始まる。しかしその仕事がはかどらないうちに、話は、京都の喫茶店でアルバイトをした自分の少年時代のことになる。僕はその喫茶店の常連だったから、その部分は実話として読むことになった。70年代初めにできた自由を模索する若者たちがたむろする空間で、僕の知らない内部事情なども興味深かった。ところが、この本はあくまで小説なのである。読んでいて、その辺がごっちゃになって奇妙な感覚に襲われた。

主人公には高校を卒業して大学に行く娘がいて、その人生の大きな転機に一人でキャンプをしたいという。父は娘一人ではと心配して、近くで見守ることにするが、娘とセックスのことについて、自分の経験をもとに話をする。それがまた、京都での話になるから、虚実の区別がわからなくなる。実際彼には娘がいるのだろうか。そんなことを考えながら読んだ。

カトリーヌ・ドヌーブの全作品をまとめて本にするという仕事の部分も、やたら具体的すぎて不思議な感じがした。もちろん、小説の上での話だから、こんな本は出版されていない。しかし、映画のシナリオの話と同様、これは実際に取り組んで実現しなかったことではないのか。著述で得る収入は不定期だったろうから生活が苦しかったのではないか。そんな余計な心配をしながら読むことになった。

2023年6月12日月曜日

季節変化が早すぎる

 

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それにしても季節の変化が早い。5月の末には東海地方が梅雨入りしたと思ったら、6月早々の台風である。河口湖周辺も線状降水帯に襲われて、ものすごい雨が降った。スマホには緊急避難の呼びかけ音がけたたましくなって、驚かされた。我が家は土砂崩れや浸水の被害のないところだが、松の太い枝が屋根に落ちた。他にも枝があちこち散乱して、片づけの仕事がまた増えた。

forest192-2.jpg 例年なら6月中旬に花が咲く山椒バラが山中湖周辺では散りかけているという。で、慌てて篭坂峠に出かけた。スコリアの道は大水でえぐられ、枝が散乱していたが、山椒バラは満開だった。残念ながら富士山を背景にして撮ることにしている木はまだ蕾が多くて、数日後ならと思ったが、パートナーがそれらしく合成した。


forest192-5.jpg 去年初めて花が3つ咲いた我が家の山椒バラは、今年はもっと増えるだろうと思ったのに2つだけだった。思うようには行かないものだが、いつもの花はあちこちに咲いている。蕗もたくさんとって、茹でて冷凍にしたし、ミョウガも早々芽を出してきた。雑草も成長が早いから、近いうちに草刈りもしなければならない。

 



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それにしても、湖畔に押しかけてくる観光客は多い。自転車で出かけると、レンタルのママチャリに乗った人が目立つが、そのほとんどは白人だ。富士ヒルクライムがあった日の前日には湖畔を走るロードバイクが列をなしていた。今年で19回目で、いつもなら雨や霧が多いのだが、今年は台風一過で青空のもとだった。参加人数が12000人を超えたそうで、さぞかし混んだことだろうと思う。僕もいつかは5合目まで行きたいものだと思っていたが、もう無理だろうと諦めている。湖畔を1周した後の疲れが年々増してきて、西湖には行く気にならなくなっているからだ。とは言え、運動不足にならないよう、晴れていれば出かけるつもりでいる。

2023年6月5日月曜日

なぜ政権支持率が上がるのか

岸田内閣の支持率が上がって不支持を上回ったという。およそ信じられないことだが、さもありなんとも思う。G7のサミットでは広島の原爆資料館を案内する岸田首相や、ウクライナからやってきたゼレンスキー大統領が大きく報道されて、会議が成功裡に終わったかのように世論操作されたからだ。サミットに反対する人たちの抗議行動があって、それが機動隊によって暴力的に抑えられたのに、メディアではほとんどふれられなかった。海外のメディアに報じられたことがネットで話題になったが、新聞もテレビもまったくの無視だった。

国内の緊急的な問題があって出席できないかもと言われていたバイデン米大統領は,今回も米軍基地から日本に入った。岩国基地から広島へである。日本を独立した国と思っていないからこそできる行為だが、この点についてもほとんど批判は聞こえてこなかった。もうそれが当たり前になったかのような振る舞いだが、屈辱的なことに違いはないのである。

サミットで自信を持った岸田首相については、首相補佐官にしているバカ息子が大学の友達を官邸に呼んで、大臣就任式に使う赤絨毯の階段でふざけて遊んだ様子が文春に暴露された。さすがに息子は更迭されたが、それでもたいした批判は起こらないから、首相自身は知らん顔を貫いている。自ら親族を呼んで忘年会をしたのにである。ぼんくらが傲慢になったら,これほど恐ろしいことはないだろう。

マイナンバー・カードについても不祥事が相次いでいる。行政機関や企業によるマイナンバーの紛失や漏えい、住民票の誤発行、あるいは悪用等々である。そのカードと健康保険証が一体化されて,医療機関ではすでにカードでの提出が行われていて、来年には健康保険証がなくなるという。任意のカードになぜ一体化できるのか。正当化できないことなのにごり押しして平然としているのはどうしてなのだろうか。そのカードに所有している金融機関の口座をすべて紐付けするといったニュースもやってきた。国民の財産すべてを国が管理するというのだから、独裁国家以外の何ものでもない。そんなひどい法案が国会で強行採決された。

ふざけた制度の改悪はほかにもある。介護保険制度について要介護1と2をはずして3だけにするようだ、しかも1割負担を2割にするという。それは富裕層限定だというが、その基準が年収280万円以上だというから呆れてしまう。制度があってもほとんどの人が使えないようにして、家庭で何とかしろというのである。言うまでもないが,メディアはそのことも批判どころかほとんど報じもしない。

収入は増えないのに物価は上がる。軍事費だけが倍増して、健康保険や介護保険といった社会制度が崩壊しはじめている。借金財政は破綻しかねない状況で、それを避けるために消費税をさらにあげようともしている。原発は60年を超えて、さらに使い続けるという。こんなひどい状況なのにどういうわけか株価はバブル期並に上がっている。もうめちゃくちゃだと思うが、選挙をすればやっぱり自民党が勝つようだ。