2010年9月27日月曜日

iphoneに竹製のケースはいかがですか?

 

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・僕は道具を買うと必ずケースも買うことにしている。愛用のブラックベリーも皮のケースに入れているが、iphone用の竹製のケースを見ていっぺんで気に入ってしまった。ただし、残念ながらバラックベリー用はないから、つけかえることはできない。

chaboo1.jpg・実は、このケースを作っているのは、僕の友人の息子さんたちだ。そのK君は日本生まれだが、父親の仕事の関係で幼い頃にアメリカに行き、ポートランドで育って、家具などを作る工房をはじめて自分の仕事を自分で見つけだしてきた。竹を素材にし、日本の卓袱台(ちゃぶだい)をモチーフにして作った家具のシリーズには"Chaboo"という名前がつけられている。

logo.png ・どういういきさつかは知らないが、K君が竹を素材にしたiphoneのケースを思いついてネットで販売しはじめると、あっという間に 3000を越える注文が舞い込んできたそうだ。友人たちに呼びかけて起業した会社が途端に忙しくなり、本格的な生産を始めたのである。会社名は「grove」で竹の葉をあしらったロゴも作った。弟のY君もサイトの構築に力を発揮して、兄弟でがんばっている。

・そんな彼らのところに1週間ほどお邪魔をした。3000のオーダーをさばくのに懸命で、僕も、最後のオイル塗りを手伝い、彼らの作業場を何度か訪ねたりもした。若い人ばかりの熱気のある場は楽しそうだったが、K君は作業の工程、製品のできばえ、そしてスタッフの仕事ぶりなどをチェックして、弟のY君と議論を重ねていた。起業をして、仕事が動き出した時に若い経営者がどんなことに悩み、気をつかい、さらなる野心を抱くか。そんな様子が間近にできて興味深い時を過ごすことができた。

・訪ねてからすでに一月以上が過ぎた。オーダーをさばいて発送することができたのだろうか。さらなるオーダーが順調に来ているのだろうか。スタッフとの関係はうまくいっているのだろうか。ガールフレンドを放りっぱなしにしてはいないだろうか。寝る間も惜しんで仕事に追われていたから、体も心配だ。と、まるで親が心配するように気になるが、きっとうまくやっているのだろうと思って、あえて聞かないことにしている。

・このケースはもちろん、インターネットで注文できて、アメリカから日本へ発送が可能だ。裏面には自分の好みのデザインが注文できるから、気に入った人は「grove」に出かけてみて欲しいと思う。

2010年9月20日月曜日

アナログ、デジタル、有線、無線

・テレビ画面の上下に、アナログ放送の終了を告げるテロップが常時流れるようになった。何とも邪魔くさいから、見えないように画面調整すると、今度は字幕が読めなくなってしまったりする。まったく迷惑な話で、ますます地上波を避けるようになった

・すでに何度も書いてきたが、我が家は難視聴地域にあって、アナログの電波も届きにくかった。それはデジタル化しても同じで、アンテナを立てても見えない可能性の方が高いという。総務省はすでに、難視聴地域用にBSのチャンネルを使った地デジ放送を開始しているが、地域の選定は遅々として進んでいないようだ。やることをやらないでおいて、国民にはさっさと対応するよう請求する。だから邪魔なテロップを見るたびに腹が立ってしまう。

・そもそも、この地デジ化の方法は、将来の多様な電波利用の可能性を考えて決められたものではない。デジタル化にあたって最も考慮されたのは、既存の放送局の既得権を守ることだったようだ。だから多額の費用がかかり、国民に負担も強いている反面で、インターネットやケータイ電話に周波数を割り当てるという、将来的な可能性にはあまり目が向けられることがなかった。国会でほとんど議論されずに決められ、新聞もテレビも既得権のために、ほとんど問題にしてこなかった。こういう姿勢は、何も電波行政に限ったことではないが、ボーダレスにグローバル化したネットの現状は、狭い世界の既得権など無意味にしてしまうほど進んでもいるのである。

・3週間アメリカとカナダを旅行している間に見られなくて気になったテレビ番組が二つあった。NHKの「龍馬伝」と「ゲゲゲの女房」(パートナーのみ)である。ポートランドの友人宅でそのことを言うと、日本のテレビはほとんどネットで見ることができるという返事で、喜ぶやら驚くやらしてしまった。で、出発後に放映した二つの番組を、しっかり見たのである。これはもちろん、アメリカだから可能だったというものではない。ブロードバンドでネットに接続してれば、日本でも、そして世界のどこにいても可能なサービスで、契約などしなくても接続することのできるサイトがいくつも存在するのである。ちなみに、「龍馬伝」には韓国語の字幕がついていた。

・我が家はまだISDNという化石のような回線を使ってネットに接続している。だからネットでテレビというわけにはいかないのだが、アメリカでの経験で、日本の地デジ化がいかに意味のないものであるかということが、はっきりわかった気がした。電波のデジタル化は、テレビやラジオ、電話やネットといった既存の区別を無意味化する。それぞれが融合した形で、どのように進化するかが、今後の方向なのだとすれば、テレビの地デジ化が、きわめて古くさい発想の元におこなわれたものであることがわかるはずである。何年もたたないうちにテレビの地デジが廃止されるといったことが起こったとしたら、その責任はいったい誰が取るのだろうか。

2010年9月13日月曜日

P.F.スローンって知っていますか?


P.F.Sloan "Sailover" "Here's Where I Belong: Best of the Dunhill Years"
Jimmy Webb "Just Across The River"

sloan2.jpg・P.F.スローンは高校生の頃に気に入ったミュージシャンの一人だった。とは言え、最初に彼の名前を知ったのは、バリー・マクガイヤーが歌った『明日なき世界』のソングライターとしてである。「破壊前夜」(Eve of Destruction)という原題の通り、ヴェトナム戦争や保有する核を競う米ソの冷戦などを強く批判した反戦歌で、アメリカでは1965年に大ヒットしている。その彼が歌った『孤独の世界』が翌年発表されて、僕はすっかり気に入って、『明日なき世界』とともに日本語に訳して歌ったりした覚えがある。その時はわからなかったが、この歌はアメリカではまったくだめで、日本だけでヒットしたようである。それも、66年ではなく、69年のようだ。気に入ってから3年もたってのヒットだったのだが、その辺の記憶は僕にはない。

・「孤独の世界」の原題は"From a Distance"である。直訳すれば「遠くから」とか「遠く離れて」となるのだろう。これがなぜ「孤独の世界」になるのか、訳して歌おうと思った僕を悩ませた問題だったように思う。学校の教科書にある英文には興味はないが、歌を訳すことには夢中だった僕にとって、この歌の出だしの'Have you ever heard a lonely church bell ring'が教科書に出てくる'Have you ever~'(〜したことがありますか)という文型と重なって、すぐに訳せたし、後々忘れなかったことなど、今ふり返ると、思い出すことは少なくない。

sloan1.jpg ・すり切れてしまったドーナツ盤のレコードしかもっていないから、もう何十年も聴かなかったのだが、Amazonでふと思い出して検索してみると、若い頃のレコードをCD化したものだけでなく、最近のものもあることを見つけて、さっそく購入した。ジャケットに写っている顔はそれなりに歳を取っている。歌う声もずいぶん違うから、聴いていて懐かしいというよりは新鮮な感じがした。『明日なき世界』などの古い曲ばかりでなく、新しい歌を今でも作っていることもわかって、気に入って何度も聴くようになった。

webb1.jpg ・アメリカから帰ってすぐに、FMの「バラカン・モーニング」を聞いていると、「P.F.スローン」という題名の曲がかかってびっくりした。歌っているのはジミー・ウェッブとジャクソン・ブラウンで、ウェッブのアルバム"Just Across The River"におさめられているという。さっそくAmazonで購入することにした。ジミー・ウェッブはシンガーよりはソングライターとして名高い人で、この歌では、70年代以降すっかり忘れられてしまったスローンがウェッブのヒーローであったことが明かされている。

・70年代以降のポピュラー音楽には、ニール・ヤングやジェームズ・テイラー、そしてジョニ・ミッチェルといった内省的な歌を歌うミュージシャンが数多く登場したが、そんな雰囲気を先取りしたP.F.スローンはなぜか消えてしまった。ウェッブが歌うそんな思いは一緒に歌っているジャクソン・ブラウンにも共通したものだったようだ。この歌の説明として、ウェッブがかつて住んでいた家がジョニー・リバースの家だったことが書かれている。ジョニー・リバースにはいくつもヒット曲があるが、その中にはウェッブの他にスローンが作ったものもある。意外な曲だが、"Seacret agent Man"(秘密諜報員のテーマ)というよりは『スパイ大作戦のテーマ』である。二人はジョニー・リバースを仲介にして重なり合うわけで、この意味でも、ウェッブにとってスローンが消えてしまったことが気になっていたのである。

・だからウェッブの歌は「ぼくはP.F.スローンを探していた/彼がどこに行ってしまったのか、誰も知らない」で始まっている。カムバックしたP.F.スローンがこれからどんな曲を作り、どんなアルバムを作るのか。そんな期待を感じさせる曲であることは間違いない。

2010年9月6日月曜日

旅の終わりに

 

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・旅の終わりはシアトルで、最後の日はワシントン・レイクを散歩して、夕食後に夕日を見にリッチモンド・ビーチまで出かけた。シアトルにはボーイングやマイクロソフト、それにアマゾンコムなどの大企業の本社がある。そのせいか湖畔を望む場所に大邸宅が並んでいるし、ヨットや水上飛行機の数がやたらに多い。それに、緑が多い。森の中に街があるという感じで、それはポートランドにも共通した特徴だった。アメリカで一番暮らしたいところというキャッチふれイズに偽りはない気がしたが、どちらの街にもホームレスや物乞いが目立った。貧富の格差がよくわかる街でもあった気がする。

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・シアトルとポートランドで気づいたことがもうひとつ。僕が愛用するスバルがやたらに目立ったことだ。雪が降って坂道の多いポートランドでは、確かに4駆のスバルは有効だろう。そう言えば、宿泊したティンバーライン・ロッジの広報車も新型のアウトバックだった。少なくともこの二つの街では、スバル車はトヨタやホンダに負けていない。アウトバックのモデルチェンジがアメリカ好みになったのも頷ける気がした。ちなみに、僕の車は旅行中三週間以上、成田空港近くの駐車場に置かれたままになっていて、24万キロ越えのご老体だからバッテリー上がりでもしているのではと心配したが、キイを入れると元気よく動き出した。

 


forest86-3.jpg・それにしても日本の夏は暑い、暑すぎる。そのことは飛行機から降りた瞬間に実感した。まるでサウナ風呂に入ったような感覚で、さわやかなシアトルの風が懐かしくなった。もっとも首都高速の大渋滞を我慢して河口湖に帰ったら22度で、ほっと一息。ただし、閉め切った家の中はカビの大繁殖で、掃除に数日間追われることになった。雑草も伸び放題で、庭の通り道がなくなってしまっているほどだった。薪を運ぶ進入路もごらんの通りで、今さらながらに植物の生命力にびっくりしてしまった。

forest86-4.jpg・インターネット環境の変化は海外旅行するたびに驚くことの一つである。5年前にイギリスとアイルランドに行った時には、ホテルでお金を払って接続したし、アイルランドではネットカフェを探すのに苦労するほどだった。それが翌年のスペイン旅行では、場所によってはワイヤレスで繋がるホテルもあってびっくりした。さらにその2年後のフランス旅行では、パリのホテルでロビーに行けばワイヤレスで繋がるのが当たり前になった。

 

forest86-5.jpg・で、今回のカナダ・アメリカ旅行ではWifiである。成田は限定的だったがサンフランシスコもシアトルもバンクーバーも、空港ではどこにいても繋がったし、それは鉄道の駅や図書館などの公共の場でも多かった。スタバは当然だが、カフェやレストランでも同様のサービスをしていたから、毎日ブログを更新したいパートナーにとっては大歓迎だった。もちろん、滞在した友人の多くもワイヤレスでどこでもネットが使えるようになっていたから、家にいるときよりも便利に使えた。

・何よりありがたかったのはスマートフォン(ブラックベリー)が使えたことだった。ケータイでは海外で使える手続きをして高額な使用料を払わなければならないが、Wifiが利用できればネットに接続することができる。このサービスがiPhoneをはじめとしたスマートフォンの爆発的な普及にあることは明らかだ。僕は日本ではほとんど街中に行かないし電車にも乗らないが、接続料のいらないWIFI環境は、どの程度に普及しているのだろうか。
・ともあれ、家に戻って、いまだにISDNで接続している我が家のネットの遅さに戸惑ってしまっている。ケーブルTVと契約して、ワイヤレスで家のどこでもつなげられるようにしようかと思い始めているが、パートナーがその気でないから実現できるかどうか。