・耳が遠くなったと自覚してからずいぶん時間が経ちました。最初は大学での健康診断で指摘されたのですが、その時はもちろん自覚がありませんでした。しかし、仕事をやめる頃になると、ゼミで学生のことばが聞き取りにくくなりました。そもそも学生の声は小さいことが多いので、「もっと大きな声で!」と言っていたのですが、それが多くなりました。 ・次に気づいたのは、テレビの音量についてパートナーと言い争いをした時でした。聞きにくいからボリュームを上げるとうるさいと言われる。そんなことがあって、ボリュームを上げなくても聞きやすくなるスピーカーを買いました。確かに音が鮮明になりましたし、スピーカーを僕の方に向ければより効果的でした。ただし、パートナーが話すことがわからなくて、聞き返すことがあって、補聴器を使えと言われるようにもなりました。 ・退職してからは人との接触がかなり減りましたから、必要だとは思わなかったのですが、母の見舞いに行って、看護士さんのことばが聞きづらいと思いました。意識がほとんどないとは言え、看護士さんは母が聞いていることを前提にして小さな声で話しました。ですから時には、ほとんど聞き取れないこともありました。これが補聴器を使ってみようかと思うきっかけになりました。 ・補聴器はただ音を大きくする集音機とは違います。新聞やテレビで宣伝していて3万円程で買えるのは集音機ですから、雑音も大きく聞こえてしまいます。しかし補聴器は聞きたい音だけが大きくなるのです。そんな説明を聞きながら試していますが、確かにテレビの音や人の話だけがよく聞こえるようになったと感じます。右(→)のように、つけていることが目立たないほど小さなものですが、それだけにうっかり落としてしまわないように、気をつけなければなりません.何しろパソコンよりも高価なものなのです。メガネに入れ歯に補聴器。道具なしには見えない、噛めない、聞こえないという境遇になりました。来年には数えで喜寿になるのです。やれやれ………。 |