2022年9月26日月曜日

Lady Gaga "A Star Is Born"

 

star1.jpg"レディ・ガガはマドンナの二番煎じだろうぐらいにしか思っていなかった。だから彼女のCDは一枚も持っていない。もちろんかなり過激な政治的発言をして話題になったことは知っていたが、それもまた、マドンナと一緒と思っていた。

そんな程度の関心だったが、Amazonでたまたま見つけた『アリー/スター誕生』という題名の映画を見た。もちろんガガが主演であることも知らずにだったし、誰が監督で誰が出ているかも確認しないで見始めた。面白くなければ途中でやめる。そんなつもりだったが、最後まで見て、サウンドトラックまで買ってしまった。

star2.jpg"『スター誕生』はすでに三作作られていてこれが四度目のリメイク版である。僕はこの三作目を見たはずだが、内容についてはあまり覚えていない。主演したのはクリス・クリストファーソンとバーバラ・ストライサンドで、今調べるとアカデミーの歌曲賞を取ったようだ。クリスファーソンはカントリーのミュージシャンだが、この時期には多くの映画に出ていて、そのほとんどを見ている。たとえば、ボブ・ディランと共演した『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(1973)、三島由紀夫の原作を映画化した『午後の曳航』(1976)、『アリスの恋』(1974)、そして『コンボイ』(1978)などである。もちろん、いい歌もあって、ジャニス・ジョプリンが歌ってヒットした「ミー・アンド・ボビー・マギー」が代表作になっている。

ガガが主演する四作目もカントリーの人気ミュージシャンに見いだされてスターになるという話である。共演したブラッドリー・クーパーは、ステージでのパフォーマンスも彼がやり、監督も務めている。知らない俳優だと思ったが、後で調べると、Amazonで見た『世界にひとつのプレイブック』(2012)でアカデミー主演男優賞にノミネートされているし、『アメリカン・スナイパー』(2014)とこの『スター誕生』でもノミネートされている。あるいは『ジョーカー』(2019)では製作者になっている人である。

で、肝心の映画についてだが、酒とドラッグに溺れたカントリーのスターだったジャクソン・メインが、たまたま入った酒場で歌うアリーに興味を持つところから始まる。その自作の歌にほれ込んで、自分のステージで一緒に歌わせたりして、彼女を人気者にし、恋に落ちて結婚もする。しかし、自分を上回る人気者になることで、また酒やドラッグに溺れるようになり、最後には自殺をしてしまう。アリーはグラミー賞を取るのだが、そこで歌うのは彼に対する愛と惜別の歌である。

いい歌が多かったからサウンドトラック盤を買ったが、あらためてガガの声量に感心した。ただ、彼女の他のアルバムについてはすぐ買おうという気にはなっていない。

2022年9月19日月曜日

島田雅彦『パンとサーカス』(講談社)

 

simada1.jpg島田雅彦の『パンとサーカス』は、2020年7月から21年8月まで東京新聞朝刊に連載された作品で、550頁にもなる大作である。彼は政治批判の発言も多く、この作品も自民党が支配し続ける日本の政治機構を壊して世直しすることがテーマになっている。2年前から1年前にかけての政治状況が色濃く反映された内容で、連載小説であることがよくわかったが、それだけに、安倍の死後に露呈している現状とは何か違うという感想を持った。

物語では二人の青年と、その一人の腹違いの妹が主人公になっている。三人は現実の日本に不満を持っていて、アメリカ留学をしてCIAに就職し、日本の政治中枢に入り込んだ一人を中心にして、政権の転覆を狙って行動するという話である。

日本は戦後ずっとアメリカに支配されたままで、今の政権も忠犬そのままにアメリカの言うなりである。沖縄の基地は返還されないどころか、軟弱地盤がわかった辺野古に無理やり新しい基地を造ろうとしているし、地位協定も何があっても改訂しようとする気もない。おまけにアメリカの兵器を言われるままに爆買いして、防衛費を増額させようとしている。

三人は協力して、首相を支える人物を暗殺し、ドローンを使って議事堂や米軍基地を襲撃する。それで政権は倒れ、日米関係にも大きな変化が訪れる。そんな内容で、日本とアメリカはもちろん、中国や韓国との表と裏の関係、暗躍するスパイや黒幕になる老人の存在など、話は複雑に入り組んでいて、エンターテイメント小説といった趣もある。読んでいて飽きさせない内容だった。

登場人物も首相は明らかに安倍だし、その周辺でこびへつらって暗躍する政治家や官僚も、誰かがわかるような設定だった。そのダメさ加減とは対照的に、アメリカの力は強固なもので、それをどうやって出し抜き計画を実行するかが、この物語の核心だった。それだけに、7月に起きた安倍銃撃と彼の死後に露呈されている、政治家と旧統一教会関係の根の深さとそれによる政治の混乱を見ると、小説との対照が際立つばかりだった。

何のことはない安倍が死んで、それまで隠していた悪事の蓋が外れてこぼれだし、旧統一教会の実態と自民党議員との関係があからさまにされているし、五輪の贈収賄の摘発に検察が血眼になっている。国葬などといったとんちんかんなことをやろうとしている岸田政権はいつまで持つかといった状態だし、自民党自体もぶざまな醜態を晒すだけである。この時期にエリザベス女王が亡くなったというのも、安倍の国葬の陳腐化を強めるだけだろう。

統一教会のために不幸な目に合わされた青年が、手製の銃で首相を狙撃したという一つの行為が、今の日本の状況を作りだしている。まさに事実は小説より奇なりで、新聞での連載が1年遅かったら、作者は結末をどうしたのだろうと、意地悪な質問をしたくなった。小説では新しい政権ができるのだが、現実の野党、とりわけ立憲民主党の存在感のなさもまた、小説とは異なっている。日本は再生などはできそうもないし、アメリカとの関係も変わりそうもない。

最後にもう一つ。僕にはこの小説の題名である『パンとサーカス』の意味が未だに分からない。これも作者に聞いて見たいこととして残った。

2022年9月12日月曜日

雨ばかりの夏だった

 

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それにしても雨ばかりの夏だった。じめじめして家の中がカビ臭い。去年は屋根の張り替えで、資材置き場にしたために取れなかったミョウガが、今年は少しだけ収穫できた。根が張りすぎたために一昨年、荒っぽく間引きもしたから、ミョウガが出てくるのは広がった周辺だけだった。ザルいっぱい取れた頃が懐かしいが、復活してくれるのだろうか。

forest186-2.jpg9ヶ月ぶりに孫がやってきた。7月に家族全員がコロナに感染したという。陰性になったから安全だと言われたが、ちょっと心配だった。近づかないようにと思っても、そういうわけにもいかない。おんぶに肩車などもやり、一緒にピザを焼き、前日に作ったシュークリームも食べた。当然だが、しばらく会わないと大きくなるし、言葉づかいも変わってくる。もっと頻繁に会えたらいいのだが、コロナが収まるまでは難しいだろう。で、数時間で帰ったが、その後1週間は、症状が出ないかと心配だった。

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雨ばかりでふやけたせいか。腐りかけの階段が壊れてしまった。新しく作り直したのだが、デッキにうまくはまらないし、踏み板が斜めになっているし、幅も一緒ではない。同じように切って、打ちつけたはずなのにと何度かやり直した。まだ気になるところはあるが、穴だらけになってしまうからと諦めることにした。引っ越してから3回目だから10年ぐらいは持ったのだろうと思う。

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ちょっと前から屋根の梁あたりで蜂がにぎやかに飛び交うようになった。二階の窓から網戸越しに懐中電灯で照らすと、蜂が何匹も近づいてきた。慌てて窓を閉めると数匹、網戸と窓の間に入り込んだ。翌日には死んでいたので、パートナーがカメラで撮って、ネットでどんな蜂なのか質問をした。そうするとチャイロスズメバチで、攻撃性が強く強力な毒を持っていると回答があった。ただ、他の蜂の巣を乗っ取ると書いてあったが、巣が梁のまわりでだんだん大きくなっているから作っているようにも見える。いずれにしても、そっとしておいて、冬になったら落とそうと思っている。

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少しはどこかに行こうと、霧ケ峰の八島ヶ原湿原に出かけた。久しぶりの好天で、湿原を一回りした。平日だったが野草や野鳥目当ての大勢の人がいて、マスクをしての散策になった。帰りは白樺湖から八ケ岳を経由して、ドライブを楽しんだ、閉じこもっていたから、ちょっとすっきりした気分になった。

2022年9月5日月曜日

最近見た映画

 

journal3-210-1.jpg"どこにも出かけないから映画をよく見ている。もちろん、映画館ではなくAmazonでだ。自分が歳取ったせいもあるが、長年見てきた俳優が同じように高齢化していることもある。で、老人ホームをテーマにした作品を何本か見た。ダイアン・キートンはウッディ・アレンの作品に出ていた頃からのファンだが、『チア・アップ』は老人ホームに入ってチアリーディング・チームを作るという話である。余命のかぎられた癌を宣告されて、最後はホームで過ごそうと思ったところから話は始まる。いくつもの難局を乗り越えて、大会に出場して大喝采を得た後で死ぬという話だが、彼女のチャーミングさは健在だった。




journal3-210-3.jpg" 『43年後のアイ・ラブ・ユー』は、演劇評論家の主人公が、昔恋人だった舞台女優がアルツハイマーになって老人ホームに入ったというニュースを見て、自分も同じホームに入るという設定である。もちろん、病気を装ってだが、彼の家族はそれを鵜呑みにしてしまう。彼の目的は、女優の病状を何とか回復させようとすることで、いろいろ昔話を持ちかけるが、彼女にはまったく届かない。しかし、そんな目的を理解した孫娘の協力で、女優がかつて演じた芝居を老人ホームで上演して、彼女の記憶を呼び覚ますことに成功するのである。





journal3-210-2.jpg"『チア・アップ』で共演していた女優が主演する映画をAmazonが勧めていたので『Stage Mother』を続けて見た。ゲイの息子が薬物依存で死んだという連絡を受けとるところから始まる。葬式に参列するためにテキサスからサンフランシスコに出かけるが、ゲイばかりの異様さに、途中で退出してしまう。しかし、息子が主役で出ていたゲイ・バーの仲間たちと親しくなり、観光客を対象にしたショー・ホールとして再建させて成功するのである。そのジャッキー・ウィーヴァーはオーストラリア出身で、『世界にひとつのプレイブック』でアカデミー助演女優賞を得ている。この映画もAmazonで見ていたのだが、まったく印象に残っていなかった。

こんなふうにAmazonでの映画鑑賞が半ば習慣化している。最近見て面白いと思ったのは他にもたくさんある。聾唖の家族の中で一人だけ耳が聞こえて歌もうまい娘が、いくつもの難局を乗り越えて音楽大学に進学する『コーダ・あいのうた』、デブでいじめられっ子だった少年が、やはり歌の才能を生かしてオペラ歌手になるという『ワン、チャンス』、イギリスで捕虜になったナチスの兵士が、サッカーのゴールキーパとして「マンチェスター・シティ」に入り、やがて国民的英雄となる実話に基づいた『キーパー』、自分の不注意で家が火事になり子どもを死なせた主人公の再生物語である『マンチェスター・バイ・ザ・シー』、年老いた美術商が最後に、名前がなくて価値の定まらなかった肖像画を描いた画家を突き止めるという『ラスト・ディール』などである。

映画三昧と言いたいところだが、出かけることができないかわりに仕方なくといったところでもある。ジョニ・デップがユージン・スミス役になった『MINAMATA ミナマタ』も見たが、これは次回のコラムで書くつもりだ。


2022年8月29日月曜日

安倍の蓋が取れて出た汚物

 

安倍元首相がいなくなって自民党が大混乱に陥っている。岸田首相は打開策として内閣改造をしたが、いつもなら上がる支持率が逆に急落してしまった。それもこれも、安倍によって隠されてきた汚物がどっと噴き出してしまっているからだ。中でも特に醜悪なのは旧統一教会との関係である。内閣改造は旧統一教会と関係ある議員を外したはずなのに、新しい閣僚にもまた多くの関係者がいて、かえって逆効果になったのである。

しかしそれにしても、自民党と旧統一教会の関係の根深さには驚かされる。この教会の信者は公称では50万人を超えているが、選挙での組織票では10万票程度だと言われている。それほど多くはないが、当落線上にいる議員に集中的に集めれば、当選が可能になる数ではある。今回の参議院選挙では比例では井上義之、東京地方区では生稲晃子に集めて二人とも当選したと言われている。で、それを指示したのが安倍だったというのである。

このような手法については、安倍が最初に首相になった時にも使われたようだ。小泉純一郎が5年務めた後の首相の座をめぐって戦われた自民党総裁選挙で、当時は本命でなかった安倍が勝ったのは、自民党員による票が大きかったと言われている。党員になるためには年額4000円を納めるだけで、それを2年続ければ選挙資格が得られるから、安倍は統一教会の信者を多数党員にして総裁選に臨んだというのである。だとすれば、統一教会との関係はすでに15年以上にもなる。しかし第一次政権は短命だったから、「世界平和統一家庭連合」に名称変更が認められたのは、第二次安倍内閣発足後の2015年になった。

安倍が倒れて蓋が外れた影響は、検察にも及んでいる。オリンピックの組織委理事だった高橋治之が、スポンサー契約をめぐって衣服メーカーAOKIとの間にあった贈収賄容疑で逮捕された。しかしこれは入り口に過ぎず、オリンピック招致でアフリカに提供された賄賂や、さらには神宮再開発計画などについて検察は自民党の現職議員、それも大臣や首相経験者にも捜査の手を向けはじめているといった情報もある。オリンピック招致に積極的に動いた安倍や石原元東京都知事はすでに故人だが、まだ元気な人たちは戦々恐々の思いだろう。

嘘を平気でついた安倍はまた、国の統計数字をも改竄していたようである。国土交通省は2013年度から20年度にかけて34.5兆円統計不正を行っていたことが報じられた。アベノミクスによるGDPの拡大を政策に揚げた手前、それが実現したかのように見せかけようとした疑いが持たれている。これはもちろん安倍本人がというのではなく、官僚の忖度によるものである。果たして同じことが他の省庁ではなかったのか。疑念は尽きることがない。

記録や書類の改竄はすでに森友加計桜問題でも明らかである。都合の悪いことは隠せ、直せ、騙せ、知らんぷりをしろといったやり方や態度が、安倍政権下では日常化していたと言わざるを得ない。旧統一教会と政治家の関係もまたその一つだが、これから一体何が出てくるのか。安倍が溜め、蓋をして隠していたことが次々明るみに出ているのに、岸田首相はまだ国葬をやるつもりでいる。手遅れにならないうちに中止の宣言をしないと、政権が倒れる事態になるのは目に見えている。

2022年8月22日月曜日

Eric Clapton "The Lady in Balcony"

 

clapton2.jpg"エリック・クラプトンは今年77歳になった。日本で言えば喜寿の歳だ。デビューは1960年代初めだから、音楽活動はすでに60年を超えている。で、新しいアルバムを出した。"The Lady in Balcony"は、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで予定されていたコンサートがコロナで中止になり、その代わりにライブハウスで行った小さなコンサートを収録したものである。

だから新しい曲はなく、使われている楽器の多くはエレキではなくアコースティックギターである。ライブ盤といっても聴衆がいないから、曲の合間に拍手も掛け声もない。本来なら大きなホールでやるはずだったものが、コロナで出来なかったということをメッセージとして残しておきたかったのだろうか。

クラプトンはエレキ・ギターの名手として知られていて、その奏法にはスロー・ハンドという名前が付けられている。指の動きはゆっくりしているように見えるのに、生きた音が繰り出される様子を形容したものだと言われている。何しろその格好良さで日本にも多くのファンがいて、来日すればいつでも武道館が一杯になるほどだった。

エレキ・ギターの名手としては他に、ジミー・ペイジやジェフ・ベックなどが挙げられるが、いずれもヤードバーズのギタリストだった。面白いのは三人ともヤードバーズを抜けて新しいバンドを作ってから有名になっていることだ。クラプトンはクリーム、ペイジはレッド・ツェッペリン、そしてベックはジェフ・ベック・グループである。そんなことを書いていると、60年代から70年代にかけて聴いていたブリティッシュ音楽が思い起こされて懐かしくなる。

ただし、クラプトンについて思い出すシーンは、彼が主役ではなく脇役として登場するコンサートばかりである。たとえばジョージ・ハリスンが呼びかけ人になったバングラディシュの食糧危機支援のコンサートやザ・バンドの解散記念コンサートのザ・ラスト・ワルツなどである。彼はそこでギターとバック・コーラスばかりだったが、主役に負けない存在感があった。

僕がクラプトンをよく聴くようになったのは、生ギターを主にしたアンプラグドというシリーズの中で発表した「ティアーズ・イン・ヘブン」以降である。その後の「フロム・ザ・クレイドル」 (1994)、「ピルグリム」 (1998)などを聴いてから、それ以前の「アナザー・チケット」 (1981)や「ビハインド・ザ・サン 」(1985)、「オーガスト 」(1986)、そして「ジャーニーマン 」(1989)なども聴くようになった。

"The Lady in Balcony"は、そんな彼が歌い演奏してきた曲で構成されている。昔とあまり変わらない声で、それほどギターを目立たせずに静かに淡々と歌っている。参加ミュージシャンと車座になっているところとあわせて、すぐそばで聴いているような気持ちになった。

2022年8月15日月曜日

国葬なんてとんでもない

 

安倍元首相が亡くなってすぐに、岸田首相が国葬にすると言いました。耳を疑うことばでしたが、今のところ行われる予定のようです。戦後の国葬は吉田茂以来ですが、安倍晋三に一体どんな功績があったと言うのでしょうか。功などはなくて罪、それも大罪ばかりだったと言えるでしょう。そのことを確認するために、この場で書いたものを挙げてみました。(ブログで安倍アベと検索すれば、すべてを読むことが出来ます。)
・厳冬の時代へ(2014/1/2) ・NHKはAHK(2014/2/3) ・自滅解散に追い込まねば(2014/12/8) ・こんな選挙は無効にすべきだ!(2014/12/15)
・メディアの翼賛体制構築を批判する声(2015/2/16) ・メディアの自由度(2015/4/6) ・「ダブル・スピーク」乱発と無関心(2015/5/18)
・空恐ろしい「アベ」の時代(2015/5/25) ・無責任体制の極み(2015/8/17) ・世論操作の露骨さ(2015/12/7) ・2015という年(2015/12/28)
・2016という年(2016/2/8) ・中立公正とは政府に従うこと(2016/2/15) ・桝添イジメで隠されたもの(2016/6/20) ・NHKは大罪(2017/5/29) ・卑劣な解散に怒りを(2017/9/25) ・立憲民主党に(2017/10/30)
・政権が倒れない不思議(2018/3/12) ・最後まで嘘の安倍政権(2020/9/14) ・テレビは政権の広報機関になった(2020/10/5) ・拝啓菅総理大臣様 (2021/9/6)
・安倍元首相の死で見えてきた闇 (2022/7/18) ・ニュースはネットで(2022/7/25)
安倍の功績として言われるのはアベノミクスと外交ですが、日本の経済がこの10年にどれほど落ち込んだかは、円安と賃金安、GDPの低下、それに日銀の政策破綻で明らかです。彼は国会で100回以上の嘘をつきましたが、その間におきた森友加計や桜問題などで政治を大混乱させました。国会の軽視や官僚の堕落、そしてメディアへの圧力など、あげたらきりがないほどです。

頻繁な外遊でばらまいたお金は途方もない額になっています。防衛費の倍増の多くは、アメリカの言いなりで約束した武器の購入費に当てられます。その武器の多くは実際に役に立つのかどうか、わからないものが多いのです。プーチンとも何度も会いましたが、北方領土は結局帰ることがない状態になってしまいました。台湾有事は日本有事などと発言して、中国の脅威を煽っていましたが、中国や韓国との関係を悪化させたのも、彼の外交政策が原因でした。

「今だけ金だけ自分だけ」といった風潮を招き、浸透させたのも彼の言動によるところが多かったでしょう。結局は地位や金がモノを言う。社会や他人がどうなろうと自分さえよければそれでいい。これこそ安倍政治が招いた風潮で、そんな態度が政治や経済、そして社会のトップにいる人たちに共有され、それに忖度する下の人たちに蔓延してしまっているのです。

ですから、彼が凶弾に倒れたのは自業自得だと言えるかもしれません。銃を自作してまで殺そうと思った山上容疑者の思いは、その成長過程で味わった苦悩で十分に理解できるものでした。その後に発覚した安倍と旧統一教会の関係、多数の自民党議員との癒着と、それに対する言い逃れを聞いていると、日本の政治も落ちたものだとあきれるばかりです。岸田首相は慌てて内閣改造をやりました。統一教会に関連する議員を排除するといいましたが、新しい閣僚の中にもごろごろいます。

世論調査では国葬に対する支持は半数を割って反対より少ない状況です。おそらく支持の数はもっと減ることでしょう。それでも国葬を強行すれば、それは日本という国自体の葬儀になるでしょう。旧統一教会が韓国で集会を開き、安倍の追悼をやりました。各国から要人も出席し、トランプのメッセージもあったようです。もうこれで十分ではないかと思いました。