2004年9月14日火曜日

ガビチョウと薫製

 

forest36-1.jpeg・今年の夏はにぎやかだった。といっても観光客や別荘の住人のことではない。早朝から鳴く鳥のことだ。僕はてっきりセンダイムシクイだとばかり思っていた。「ショーチューいっぱいグイー」と鳴くから、「朝から、この酔っぱらいが」と応えていたのだが、どうも泣き方がちがう。しかも、これまで聞いたことがない。そんなふうに思っていたら、たまたま近くに見慣れない鳥が現れた。さっそくビデオに収めて、野鳥図鑑で調べたが、それらしいのは載っていない。
・世界思想社の中川さんにこの写真を送って尋ねると、「メジロ?」という返事。図鑑でみつかる似た鳥はたしかにメジロしかないが、目の形がだいぶちがう。黒目も白目もかなり大きいし、白い部分が後ろに流れている。隈取りをしたような派手な目だ。身体全体の色もちがう。第一、日本の野鳥らしくない。
forest36-2.jpeg・そこで友人のバード・ウォッチャーに聞いてみた。もう20年以上のキャリアをもっているからさすがだが、得意そうな文面で「ガビチョウと思われます」という返事がきた。「?」聞いたことがない。彼によれば外来種で東京の高尾山でよく見かけるという。さっそく、ネットで検索してみた。
・そうしたら、たしかにそのとおり。特徴がまったくおなじだ。中国やインドに生息して、日本にはペットとして持ちこまれたが、それが野生化したようだ。最初は高尾山や多摩地区で観察されたが、最近では、広く東日本や九州でもみつかるという。参考までに、ガビチョウを紹介したサイトを載せておこう。鳴き声の聞けるサイトはここだ。
・サイトの説明には「篭ぬけ鳥」ということばがあった。逃げ出して野生化したということだろうか。かなり広い範囲で見かけるのだから、生命力の強い鳥なのだと思う。たしかに鳴き声はエネルギッシュだ。最初はほほえましさを楽しんでいたが、だんだんうるさくなって、外来種と知ってからは不快に感じるようにもなった。ずいぶん勝手な話だが、「ガビチョウって、ガングロのヤマンバギャルみたいな顔してますね」などという描写に妙に納得すると、その奇妙な風貌自体も、なにやらうさんくさく思えるようになってきた。
・意識して見聞きするせいか、最近では群をなしているところを見かけたりする。渡り鳥ではないから、ずっとここにいるのだろう。そうすると、ほかの野鳥が近づかなくなるのではないか。ぼくのなかでは、もうすっかり害鳥あつかいである。

forest36-3.jpeg・この夏の話題をもう一つ。薫製作りにチャレンジしている。といってもまだはじめたばかりで、それらしいものを作れていない。買ってきた生鮭をただいれて煙をまぶせばいいぐらいに思っていたのだが、チップがなかなかいぶらないし、味も薫製らしくない。そこでやっぱりネットで検索。そうするとあるはあるは、世の中には凝り性の人は多い。で、読んでいるうちに納得。これは典型的な「スローフード」で、まず下ごしらえに数日かけなければならないのだ。塩、こしょうに各種のハーブを調合してつけ込んで、その後に乾燥させる。夏場は冷蔵庫内で一晩。煙にあてるのも1回とはかぎらない。すこし堅めのしっかりとしたスモークサーモンにしようと思ったら、何日にも分けて燻さなければならないようだ
forest36-4.jpeg・豚のバラ肉をつかってベーコン、冬に近くなったら新巻鮭を1本買おう、その前にサンマの薫製はどうだろうか、などと想像力ばかりが先走りする。しかし、これは腰を落ち着けて、ゆっくりとした気持でやらなければ………。もっとも、短時間で一気に燻して表面だけを薫製にして、中は半生といったやり方もあるようだ。
・薫製機(スモーカー)は市販のものだが、これはセゾン・カードのポイントで手に入れた。高速道路の料金をETC払いにしたから、ポイントは黙っていてもたまる。チップは桜や胡桃の木だというからじぶんでつくることも可能だ。しかし、とりあえずはホームセンターで数袋購入した。これからしばらくの楽しみができた。

forest36-5.jpeg・楽しみといえば、ミョウガ。今年は暑かったからたくさんできて、多い日にはザルに一杯ということもあった。スーパーでは一つ百円ほどで売っているからこれは貴重品なのだが、薬味やテンプラ、あるいはサラダにと、毎食のように食べて堪能した。実はミョウガがどんなふうにしてできるのかといったことも、ここで初めて知ったのである。
・今はもう採れないが、ぼちぼち栗の季節になってきた。これも今年は豊作で、木にはいがぐりがたくさんできている。これはザルというより大篭に何杯も収穫できるだろう。栗ご飯にスモークサーモン、梅酢に漬けこんだミョウガ。食欲の秋が何とも待ち遠しい。
・もっとも夏休みのあいだに腹の脂肪がいっそう気になりだして、湖一周のサイクリングにも数回出かけた。それでなにか効果があったかはわからないが、食べたいものを食べる口実にはなるだろう。

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