2005年5月24日火曜日

iPodを買った

 ・たいして欲しいと思わなかったがipodを買った。理由は写真を保存する機能がついたこと、ボイス・レコーダーをつければ録音機にもなることだった。今年は国内研究で出かけることも多くなる。デジタルカメラと録音機は携行したい。さあ、どこへ行って、誰に会い、何をしようか。そのためにはまず、1年間を有効に過ごすためのツールを揃えなければならない、というわけだった。


・とはいえ、大学を全休というわけではない。大学院に学生がいるから週に2日は大学に行く。ついでに学部のゼミもやるから、コマ数は二つ半の軽減でしかない。しかし、会議に出ないのは気楽だし、委員やその他の学務を免除されているから、気分はすごく楽になった。だからこの際、忙しくてできなかったビデオやCDの整理もすることにした。で、これも今まで興味がなかったDVDレコーダーを買った。蓄積したビデオは数百本ある。映画、音楽、そしてテレビのドキュメント、あるいはカメラで撮りだめたもの等々。それをDVDに移しかえはじめている。


・ipodはもちろん、音楽を大量に保存し、主としてイヤホンで聴く道具である。しかし、今のところ、イヤホンで聴く機会はあまりない。だから、研究室でラジカセにつないで流している。院や学部の演習をやるときのバック・ミュージックである。今年は講義はないが、「音楽文化論」でちょっと聞かせるのにも便利だろう。


・iipodは60Gですべて音楽で一杯にすると15000曲はいるという。試しに所有しているCDをはじから入れていった。結構時間がかかるし、Powerbookのハードディスクの残量が10Gを切ってしまったから、8000曲でいったん中止して、今度はいらない曲を消去することにした。しかし、これは聴いて確認しながらの作業だから、やたら手間暇がかかる。


・そうやって蓄積した曲を「シャッフル」(ipodの選曲任せ)で聴いていると、覚えのない曲がずいぶん聞こえてきて、新鮮な思いを何度も味わった。ジャンルの違う曲が脈絡なくかかるから、時折「ちょっと待ってくれ」と言ってパスすることもあるが、今のところは、埋もれていた曲を発見することの方が多い。だいたいもっているCDの大半は、もう何年も聴かなかったものがほとんどで、そんなことにも改めて気づく機会になった。


・ところが、ミュージシャンごとに入れていくと、もってないアルバムがあることにも気づいてしまった。なければ、当然ほしくなる。しかも、ないとはいってもCDの話で、レコードではもっていたりする。たとえば、ビートルズやボブ・ディラン、あるいは関西フォークといった60年代から70年代のもので、レコードからipodに入れられないかと考えたが、あきらめて買うことにした。先日亡くなった高田渡のアルバムも5枚ほど買ったし、ディランやビートルズも4,5枚ずつ。とんだ散在である。


・今、音楽はネットでダウンロードして購入するというスタイルに変わりつつある。Appleのサイトでは1曲が1ドル、アルバムなら10ドルで買える。各社が競争して値下げするようだから、CDより安い値段で手にはいることになるだろう。CD、ケース、ジャケット、歌詞カード等々が不要だというなら、音楽の購入形態はがらっと変わってしまうことになる。果たしてそうなるかどうか。


・LPレコードは60年代後半のロック音楽の台頭で普及した。1曲ではなくアルバムとして作品づくりをするようになったからだ。同時にジャケットにも工夫が凝らされるようになり、ポップ・アートの表現の場にもなった。CDに変わってつまらなくなったのは、そのジャケットが小さく貧弱になったことだったが、今はその小さなジャケットの消滅を嘆く人たちがいる。あるいはLP風の紙ジャケットが人気だともいう。そういえば、LPレコードもジャケットで根強い人気があるようだ。著作権と違法コピーやダウンロードの問題とあわせて、音楽の周辺は変化がめまぐるしい。


・もっとも、ipodで聴くようになった曲はもっぱらクラシックなロックやフォーク、あるいはカントリーで、あらためてそのよさを再確認したりしている。僕にとっては、ミュージシャンや曲は時代と切り離して聴くことはできないが、シャッフルが当たり前になると、若い人には聴く曲の時間差や時代背景は、ほとんど無意味なものになるのかもしれない。確実に、音楽の聴き方が変わるだろう。 

日時:2005年5月24日

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