・この冬は久しぶりに、冬らしい冬だった。雪が何度も降り、最低気温が-10度になる日が数日続いた2月中旬にイギリス・フランスに出かけた。その時の河口湖は結氷して、家のまわりは一面まっ白だった。
・家の近くにワイン用のブドウ畑がある。まだ収穫の出来ない苗木ばかりだが、雪の積もった畑に毎日、フランス人が通ってきた。苗木を横に張った針金に一本ずつくくりつけている。フランスのボジョレーから来ているという。これから出かける国だから親近感を持ったが、僕が行くのはブドウが出来ないブルターニュ地方。彼は結局、旅から帰ってもまだつづけていて、一ヶ月以上毎日通って同じ作業をくりかえしていた。
・旅行に出る朝、バッテリーが上がって車のエンジンがかからない。もう一台から充電して何とか動けるようにしたが、何とも不安なスタートになった。4,5日動かさなかったし、寒い日が続いた。バッテリーもぼちぼち交換時期だった。
・ロンドンに着くと、そこは温暖の地で、翌朝は深い霧が立ちこめていた。「霧のロンドン」を散歩して、テムズ川沿いにある巨大な観覧車「ロンドン・アイ」に乗った。眼下のビッグベンも霧にかすんでいる。いかにもロンドンらしい風景だった。前回は夏だったのに服装はほとんど同じ。日本と違って気候の変化が少ないことを改めて実感した。
・天気はずっと曇り。それはフランスに移動しても変わらなかった。で、やっぱりそれほど寒くはなく、湿気がある。冬になると悩まされる乾燥肌の症状も消えて、体はすこぶる快調で、ロンドン同様、パリの街も歩きに歩いた。パリは人口が200万人ちょっとで、地理的にも大きな街ではない。東京なら山手線の内側程度で京都と同じぐらいかもしれない。だから数日歩いて、大体、地理感覚がわかった。
・サティは郊外のアルクイユからモンマルトルまで毎日歩いて通ったと言うが、その距離は片道12キロ。大変だが、自転車だったらどうということはない。ロンドンもそうだが、もう少し長く滞在して、自転車で走りまわりたくなる街だ。
・帰ってきたら、日本も春になっていた。あたりの雪はとけ、朝には霧が立ちこめるようになった。最高気温も10度を超え、零下にならない日も出はじめた。そうすると、空の青さが薄まり、景色がぼやけてくる。黄砂がやってくると、天気がいいのに目の前にあるはずの富士山が隠れてしまったりもする。
・半月留守にしている間に、季節ががらっと変わった。旅行に出たせいもあるが、今年の季節変化ははっきりしてわかりやすい。とは言え、また突然寒くなって雪、なんてことが必ずある。テレビのニュースを見ていたら、世界の天気予報でロンドンは雪と言っていた。僕がいたときがたまたま暖かかったのかもしれない。
・ネットで調べると、ロンドンもパリも最低気温は零下になって、最高でも10度を越えないようだ。日本人が季節変化に敏感なわけだと、改めて納得した。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。