2009年9月14日月曜日

テレビの凋落

・民放テレビ局の業績が悪化しているようだ。直接的には不景気で広告収入が減ったことが原因となっている。どの局も似たようなバラエティで時間を埋めていれば、飽きられるのも当然だし、もっと大きな理由はほかにあるはずだ。そのことがわからないとすれば、惨敗した自民党と同じで、権力に安住して民意が離れてしまっていることに気づかないとしか言いようがない。

・テレビにとって一番の強敵はインターネットで、その力関係が逆転しはじめているのは明らかだ。新聞はすでに大きな影響を受けていて、ネットを前提にした上で、新聞が生きのこる道を真剣に考えはじめている。これも今さらというほど遅い対応で、新聞もテレビも自民党のおごりや怠慢ぶりを批判できる立場にはないはずなのである。

・新聞は印刷されて各戸に配達されてきた。その仕組みが収縮していくことは明らかだが、それに代わってどういう形で生きのころうとしているのだろうか。テレビはNHKと民放数社が全国をカバーして、たがいに視聴率を競ってきた。衛星放送(BS,CS)やケーブルテレビは、日本ではあくまで数局の地上波を補完する位置づけでしかない。地上波がデジタルだけになった後にできる空きチャンネルも既存の局が支配すれば、衛星放送並の位置づけでチャンネルが増えるだけのことでしかない。

・インターネットは回線で世界中をつなげたものだ。しかし、地デジであいた電波領域をつかって無線のブロードバンドも可能だと言う。アメリカではGoogleがそういった理由を主張してアメリカ政府に要求していいるそうだ。そうなれば、プロバイダーと契約してインターネットに入る必要もなくなるのだろうか。あるいはNTTやKDDなど電話の会社が支配権を巡って争うことになるのだろうか。

・ボブ・ディランが第二次大戦後にラジオから流れた曲を集めて、衛星ラジオで何度もレクチャーをした。その番組や、そこで紹介された歌が続々CD化されている。もちろん、その中身もおもしろいが、人工衛星を使ってラジオやテレビの放送が可能で、しかも巨大なネットワークではなく、小さな独立局が個性豊かな番組作りをしていることに興味を持った。新しい可能性ができた時に、それを手にしたり、つかったりする権利は、アメリカでは誰にでも平等に開かれているのが原則だ。ところが日本では、電波は国が完全に管理していて、市販されている発信器をつかったごく小規模の放送でさえ、つい最近まで認められてこなかった。これでは新しい動きは起こりようがないのである。

・受信料の不払いで業績を悪化させていたNHKの収入が回復傾向にあるようだ。お金を払ってもらうためにはいい番組作りをという姿勢が評価されたのかもしれない。確かに、民放とは比較にならないほど見応えのある番組が少なくない。地上波2局にBSを3局もっているから個々の民放と比較しても仕方がないが、全部まとめてもNHKの方が上と言えるような気がする。少なくとも我が家では、テレビを見ている時間の8割以上はNHKだ。

・テレビの視聴時間に減少傾向が見られたのは2004〜5年と言われている。毎年10分ずつ減りつづけているという統計もあるが、その大半は民放のようだ。気づいたら、誰も見てくれなくなったといったことが遅からずやってくる。そんな危機意識が画面からはまったく感じられないから、いい気なものだと思ってしまう。

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