・地デジは言うに及ばず、BSがおもしろくなくなったことは、前回のこの欄で書いた。今度はCSお前もか、と言いたくなるニュースを目にした。「朝日ニュースター」が来年の3月で朝日新聞からテレビ朝日に譲渡され、事実上消滅するというのである。僕がこの番組を見るようになったのは大震災と原発事故後で、きっかけはYoutubeだった。「愛川欽也パックインジャーナル」や「ニュースの深層」などがマスメディアと異なる報道や発言をしていることを知ってCSと契約した。衛星放送では唯一骨のある番組作りをしているチャンネルだと思っていたから、残念と言うよりは、腹立たしい思いがした。
・原発事故後の新聞やテレビの報道は信用できない。こんな気持ちを実感したのは、光が通じてYoutubeやUstreamにマスコミとはまったく違う報道や発言をする人や番組の存在を知ったからだった。そのことについては、4月25日にこのコラムにアップした文に次のように書いた。
YoutubeやUstreamでは、原発に対してずっと批判的な立場で研究をしてきた人や、原発の設計者たちが登場して、今回の事故の重大さや危険を訴える番組が次々と流された。聞いていてぞっとすることも少なくなかったが、「直ちに健康に被害を与えるレベルではない」といった曖昧なことばの方が、かえって不安を募らせること、最悪の事態はこうだと知らされことで、現実を見つめる姿勢や考え方をはっきり自覚する必要性を迫られた気がした。
・独自な番組を作っているUstreamやニコニコ動画とはちがって、Youtubeには既存のメディアが放送した内容がアップされることが多い。その原発事故関連の番組を見ていて気づいたのは「朝日ニュースター」からのものが多いということだった。で、CS放送を契約して見ることにしたのである。毎週土曜日に生放送される「愛川欽也パックインジャーナル」が欠かさず見る番組になった。
・「パックインジャーナル」の名、は愛川欽也が昔TBSラジオの深夜放送でやっていた「パックインミュージック」に由来する。1967年放送開始で僕もよく聞いていた番組で、当時の若者の反乱に与して、昼とは異なるメディアの世界を作りだしていた。ウィキペディアで調べると、当時のパーソナリティには愛川欽也のほかにフォークシンガーが名を連ねている。「パックイン」の名の通り、この番組を見て、僕は当時のラジオ番組に共通する雰囲気を感じた。もちろん40年も前のことだから、愛川欣也は若手の俳優で、今ではおしゃべりなおじいちゃんになっている。
・「パックインジャーナル」は愛川欣也を中心にし、ほぼレギュラーの評論家やフリーのジャーナリストとの間で、毎週時事的な問題を批判的に論じあっている。鋭く確かな原発批判をする小出裕章さんをいち早く電話で登場させたりして、原発事故について、ほぼ毎週のように話題にしてきた。マスコミがそろって菅批判をしているときも、ここだけは、その根拠の希薄さを指摘して、むしろ菅擁護をしてきた。僕の考え方と近い発言が多くて、番組を見ながら共感することも多かった。
・そんな番組を放送するCSチャンネルが来年の3月でなくなるかもしれないという。なぜ朝日新聞が手放すのか。TV朝日は現在すでに持っているCSチャンネルとどう使い分けるつもりなのか。そして何より、現在の番組をどの程度存続させるつもりなのか。今のところ何も発表されていない。ただし、スタッフは全員が退職するようだから、仮にいくつかの番組が続いたとしても、その番組方針に変更があることは間違いない。
・「朝日ニュースター」は現在570万世帯と視聴契約を結んでいる。けっして少なくないと思うが、朝日が手放すのは経営上の問題なのだろうか、政治的な圧力がかかったせいだとすれば、それは番組制作者自身が明らかにすべきだろう。いずれにしても、つまらないチャンネルばかりがどんどん増えるテレビには愛想が尽きているが、ネットで見るものも、制作はテレビ局である場合が多いから、テレビは見なくてもいいとばかりは言えない問題だと思う。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。