2014年6月16日月曜日

この国の行き先

・梅雨に入ったら、毎日のように雨が降っている。それも豪雨で、高速道路が通行止めになるほどだ。2月の豪雪といい、昨夏の猛暑といい、天候はもう異常が平常になったかのようである。今年の夏はエルニーヨが出て冷夏の心配があるという。そしてこれらの多くは、自然というよりは人工的にもたらされた現象だと推測されている。

・雨が続けば滅入って憂鬱になる。世の中の情勢が、そんな気分をさらに増進させる。元凶の多くは安倍だ。「集団的自衛権」の強行、原発の再稼働と原子力規制委員会のメンバー交代、残業代ゼロ制度、法人税の減税と消費税の増税、年金のギャンブル的な運用、学校教育法の改悪、グロテスクな新国立競技場、リニア新幹線の工事着工計画などなど枚挙にいとまがないほどだ。

・しかも、こんなひどい状況について、メディアは弱腰で見て見ぬふりをしたり、積極的な旗振り役になったりしている。NHKの会長批判がなぜ、NHKの内部から起こらないのだろうか。朝日新聞が暴露した「吉田調書」について、なぜ他の新聞社や放送局は無視を決め込んでいるのだろうか。そして何よりわからないのは、内閣支持率が相変わらず高いことだ。この国がとんでもない方向に大きく舵切りをはじめていることに、なぜ多くの人が無関心なのだろうか。

・内閣支持率が高い一番の理由は株価の高さと円安だといわれている。けれども、株価が上がって儲かっている人はごく一部の人だし、円安の恩恵を受けているのは輸出産業だけのはずで、多くの人には何の恩恵もないのである。それどころか、消費税の増税と相まって物価が上がっているから、そのことに対して、もっと大きな反発の声があがってもいいはずなのである。最近のニュースで驚いたのはトヨタ自動車が6期ぶりに法人税を納めたことだった。世界一の自動車メーカーがずっと税金を納めなかったという税制に疑問を感じたが、安倍はさらに、法人税の減税を唱えている。

・1%の富める者と99%の貧しき者たち。そんな社会が日本でも現実のものになりつつある。その富める者たちが考えているのは、ただ一つ、目先の儲けだけだ。その先が見えない、見ようとしない姿勢には、この国の行き先について、大きな不安を感じざるを得ない。そんな現状を見ていて思うのは、民主党政権が当たり前のように言われるほど、だめだったのだろうかという疑問だ。

・鳩山は沖縄の普天間基地について、できれば国外、最低でも沖縄の外にと言って失脚した。しかし、その発言によって沖縄の人たちは、普天間基地の辺野古移設に強硬に反対をはじめたのだ。あるいは、菅は3.11による福島第一原発事故の対応を巡って、さまざまな批判を浴びた。けれども、浜岡を止め、原発の再稼働にハードルを設けたのだし、事故直後の原発に乗り込んだことが、逃げ腰の東電を留まらせて、事故をさらに甚大なものにすることをくい止める役割を果たしたという人もいる。

・その民主党は今ぼろぼろで、選挙をしても自民党に対抗できる力はない。その他の野党も、右往左往して野合をくり返すばかりだ。大飯原発再稼働の差し止め判決が出ても、国会周辺でデモがくり返されても、現政権は無視を決め込んでいる。この国は、これからどこに行こうとしているのか。60数年生きてきて、これほど不安に感じた時代は未だかつてなかったと思う。

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