2014年7月21日月曜日

CM出演は金目でしょう

・テレビを見る時間が減ると、CMの多さが余計に気になるようになった。特にBSでは、健康や美容のための食品や薬品の宣伝が多い。で、そのたびに思うのは、驚きの表情で効果を話す人たちの真意についてだ。いったい、この人達は、どこまで責任を持って、発言をしているのだろうか。ついつい、そう言いたくなってしまうのである。同じCMがくり返し流されるとだんだん腹が立ってきて、チャンネルを変えてしまうが、それだけでなく、CMに登場している人に対する不信感や嫌悪感が湧いてきてしまう。そして、いったいこの人達は、何のために、こんなCMに出ているんだろうと、考えてしまう。もっとも理由ははっきりしている。要するに「金目」、これしかないのである。

・M大学のSさんは教育学者らしいが、毎朝のテレビ番組で司会をしているようだし、サントリーのCMで青魚と胡麻の成分の入ったサプリメントについて「考える仕事が多いから欠かせません」と推奨している。ひょっとしたら、いい仕事をしてきた人かもしれないが、このCMを見るたびに、「何やってんだ」と言いたくなってしまう。

・メジャー・リーグで活躍するI選手は、年俸が下がったとは言え、今でも数億円は稼ぐし、かつては毎年20億円ももらっていた。すでに一生かかっても使い切れないほどの蓄えができたと思うのだが,同時に何本ものCMに出ていて、最近では演技もするようになった。彼のファンなら、CMにつられて飲んだり、食べたり、買ったりするのかもしれないが、僕は野球選手としての卓越さを汚すだけのように思う。メジャーの選手には、その収入のかなりの部分を慈善活動に使う人が少なくないのだが、彼については、そんな話もあまり聞かない。

・東京オリンピックの誘致活動で「おもてなし」を流行語にしたTさんは、最近ではヱビスビールのCMに出ている。僕はヱビスビールファンだから、このCMに対しても腹が立ってしまう。理由は、3.11直後まで東京電力のオール電化を宣伝するCMに出ていたからだ。彼女の本職が何のなかよくわからない。報道番組の司会などもやったことがあるから、ジャーナリストを自認しているのかもしれない。だったら、CM出演にはそれなりの考えを持つべきだし、責任もあると思うのだが、それに関する発言は一切聞こえてこない。知らん顔して今度は東京オリンピック誘致で一役買うという節操のなさに呆れているから、ヱビスビールまでまずく感じてしまうのである。

・こんなふうにあげつらっていくと、CMに出る人に対する苦言は際限なく出てきてしまう。不良のロッカーだったYさんは、世の中の不条理を批判することなど全くなくて、ビールや缶コーヒーから自動車や化粧品など、ありとあらゆるCMに登場する。本職のゴルフが海外ではまったく通用しないI選手は、最近あまりCMに出ないが、英会話だけはスピードラーニングでマスターしたようで、BSでは頻繁に登場する。金を稼ぐのが何が悪いと言われてしまえばそれまでだが、有名性や人気を利用しているだけに、その社会的責任も自覚するべきで、日本人にはCMに出る人にも、それを見たり聞いたり読んだりする人にも、希薄だと思う。

・石原環境相の「最後は金目でしょう」発言が失言として非難された。この人に関しては父親共々「アホ」としか言いようがないが、失言が本音であることもまた、隠しようのないことである。僕はそんな、利己主義的で拝金主義的な今の日本の風潮に対して、うんざりすると同時に、絶望の気持ちにとらわれている。どこかに少しでもいいから希望は見えないのだろうか。その拝金主義の本家であるアメリカでも、映画スターやスポーツ選手はテレビCMに出ることを控える傾向にあると言われている。ましてやロック・ミュージシャンなどは聞いたこともない。そんな節度や自負心が、アメリカの映画やスポーツや音楽の魅力を支えている。その意味でも、昨今の日本人の拝金(金目)主義はひどいと思う。

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