2020年7月13日月曜日

レジ袋とストロー

 

・レジ袋が有料化されるというニュースに驚いた。もうとっくに有料化されているじゃないかと思ったからだが、経済産業省の通達で、制度化されたということだった。今まではスーパーなどで自主的にやっていたのだと、改めて認識した。しかし、レジ袋を有料化するという動きには、既に20年以上の歴史がある。レジ袋一つで、何でこんなに時間がかかるのかと思うが、実は、僕はずっとレジ袋の有料化には疑問を呈して批判してきた。

・その理由は、2007年に書いた「レジ袋は必要です」に尽きる。プラスチック・ゴミの中でレジ袋が占める割合は極めて低い(2%)のに、相変わらずレジ袋しか槍玉に上がらないという点についてである。もっとも数年前からストローが加わって、使うのをやめたカフェやレストランが出てもいる。しかし、レジ袋とストローだけでプラスチック・ゴミがなくなるわけではないから、どっちにしても典型的な「スケープゴート」であることは変わらない。

・とは言え、プラスチック・ゴミが環境に与えている害を軽視しているわけではない。むしろ逆で、もっと徹底的に規制すべきだと思っている。道を歩いていて、あるいは車に乗っていて目立つのはポイ捨てされたペットボトルや空き缶だし、スーパーの買い物でゴミになるのは、肉や魚を入れたトレイだし、生鮮食品から乾物まであらゆるものに使われているビニールの袋等々である。わが家ではクズカゴにレジ袋を入れて使っている。3日も経てばゴミでいっぱいになるが、そのほとんどは石油由来のプラスチックやビニールである。

・もちろん、ここ20年ほどの間に、ゴミの選別が進んで、再利用出来るものも多くなった。新聞、雑誌、段ボール、そして発泡スチールなどは処理業者のところに持っていくことにしているし、スーパーにはペットボトル、アルミ缶、スチール缶、瓶、牛乳パック、そして発泡スチールのトレイなどを選別して受け入れる箱が用意されている。しかし、再利用出来ずにゴミ袋に入れるものはまだまだ多い。収集されたゴミは焼却場で焼かれるから、二酸化炭素その他の物質を大気に排出する。

・経済産業省のホームページにはレジ袋の有料化について「普段何げなくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとする」と書いてある。今さら何を言っているのかと思うし、消費者の責任に転嫁しているから腹が立つ。プラスチックの容器を使って製造・販売する製造業者や販売業者には、何の規制もないままなのである。

・レジ袋の変わりにトートバックを使いましょう。こんな呼びかけを受け入れて、わが家でも数年前からトートバックを使い始めた。しかし、生ものや冷凍ものをいれたりするから汚れることが多い。定期的に洗ったりもするし、何年か使って捨てたりもしているが、コロナ禍で、ウィルスを運びかねないことが指摘されたりもしている。その意味では極めてタイミングの悪い制度だと思う。その点を考慮して、終息するまで延期するといった柔軟さがないのが、日本のお役所仕事の悪弊だというほかはない。

・コロナ禍といえば、外食が規制されて店はテイク・アウトで販売するようになった。当然、プラスチックの容器や包装ラップが大量に使われて、それがゴミとして捨てられているはずだが、そのことを指摘する声は皆無だと言っていい。使わなければ店はやっていけないし、食べたいものが食べられなくなってしまうかもしれないが、それはご都合主義と言うものである。せめて容器をすべて紙製にするといった対応ぐらいはすべきだと思った。

・プラスチックがゴミとしてどれだけ環境に悪影響を及ぼしているか。そのことに真摯に向き合えば、レジ袋やストローで何とかなる問題ではないことはすぐにわかるはずである。「スケープゴート」にしているのは、やる気がないことの証明にしかならないのである。世界からの批判に推されて石炭火力発電は縮小させると言うが、原発は使うと言う。どちらも政策に、根本的にどうするかという理念がない証でしかないのである。

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