『サンセット・パーク』新潮社
『インヴィジブル』新潮社
『ミスター・ヴァーティゴ』新潮社
『ティンブクトゥ』新潮
・ポール・オースターの新作が翻訳されたのをアマゾンで見つけた。そうすると買わなかった作品がもう一冊あった。『サンセット・パーク』は2010年に出ているから、翻訳はだいぶ遅れている。もう一冊の『インヴィジブル』も2009年に出版されて、翻訳は2018年だ。その間に『冬の日誌』(2012)や『内面からの報告書』(2013)が先に翻訳されて、後回しになったようだ。翻訳者は柴田元幸で、彼はほかにも翻訳しているから、出たらすぐに訳すわけにはいかないのだろうと思った。 ・ただし、その流れとは別に、父親や義母、そして実母が登場して、それぞれ、第一人称で自らの現状や、息子への思いを語っている。いわば、若者を軸にした相互の関係がテーマになっていて、僕は父親の立場で読んでいることに気づかされたりもした。時代設定も書かれた時とほぼ同じで、リーマンショック後のアメリカが映し出されている。 ・訳者の後書きに、この小説が『ムーン・パレス』に共通していると書かれていた。もう内容を忘れてしまったので読み直すと、驚いたことに、僕はほとんど思い出すこともなく、初めてのような感じで読んだ。で、オースターを読み直そうと思って、次に『偶然の音楽』を読んだが、やっぱり、思い出すことはほとんどなかった。このコラムでも書評しているのに、よくもまあ、すっかり忘れてしまったもんだと、我ながら呆れてしまった。 ・オースターには珍しいおとぎ話で、悪ガキから全うな大人に成長する物語という意味で「ピノキオ」にも似た趣があって、そのことは彼自身も自覚しているようだ。ただし、子どもにはちょっと難しいかもしれない。 ・そんなわけで、もうしばらくオースターの作品を読み続けようと思っている。もっとも読むのはいつも、寝る前のベッドの中で、気がついたら2時間も経っていた、なんてことも度々だ。だから早めにベッドに入るようになった。 |