珈琲をもう一杯
森の暇人のブログ
1998年2月27日金曜日
北山の春
大津市坂下
京都の大原から通称鯖街道を北上してトンネルをいくつか抜けると坂下という小さな集落がある。そこに住んでいる陶芸家の筒井さんを訪ねた。両側に山が迫る谷間で、いつもならまだ雪に覆われている時期なのに、今年はもう春の気配。安曇川の川辺にはネコヤナギが綿帽子をいっぱいつけていた。
彼の住む家の近くにある家はすべてが空き家。みんな京都市内に移り住んでしまったそうだ。以前は狭くてクルマのすれ違いも難しい道だったが、今ではトンネルができて様変わり。しかし、村人はかえって住み慣れた土地から離れ、工事のために蛍も魚もいなくなったそうである。とは言え、猿や鹿や狸が出没する里であることは変わらないようだ。彼はここに独りで住んでいる。
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