2000年4月20日木曜日

プロバイダについてなど

 

  • 引っ越しをして山梨県の河口湖町に移り住んだ。小さな町だから、今まで使っていたプロバイダの接続ポイントが近くにない。距離的に一番近いところでも東京の八王子か静岡。これでは、電話代がかかりすぎるし、もちろん、テレホーダイも使えない。で、プロバイダを変えることにした。一番の条件は市内通話料でつなげられるところ。選択はいくつかあった。地元の小さなプロバイダ、県単位の中規模のもの、全国規模でプロバイダが近くにあるもの。ホームページをチェックしたり、友人知人に聞いたりしていくつかにしぼってみたが、たまたま雑誌で、接続ポイントが近くにあって、しかも料金が安いところを見つけた。1カ月980円で時間は無制限。これはいいと思って、さっそく契約をした。
  • ところが、使ってみてびっくり。恐ろしく遅い。メールと僕のホームページのチェックもろくに出来ない。遅いどころか「接続できません」といった表示がしょっちょう出てしまう。イライラ、ムカムカ......。実はプロバイダ探しは僕ではなく、僕のパートナーがやった。だから、文句の行き先は当然彼女に向けられた。引っ越して最初の夫婦喧嘩。当然、プロバイダへの腹立ちは何倍にも増幅することになった。「低料金で快適な速さ」などと宣伝していることが不当な誇大広告であることは明らかだから、異議申し立てをして解約。払ったお金は全額返してもらう。それが出来なければ、しかるべきところに訴えたらいい。そんな話しをして、彼女がメールで交渉することになった。何しろ1年分を全額全納したのである。朝早起きで明け方インターネットを利用する彼女にはちょっと遅いかな、といった程度で、我慢できないほどではない。しかし、昼間でも遅いスピードにいらいらする僕にとっては、とてもではないが1年間も我慢することはできない。
  • プロバイダから来たメールの返事は「お怒りごもっとも」というもので、使用した期間を無料にして全額お返ししますという内容だった。許容能力の小ささを隠して低料金で大勢の加入者を集めたことを認めたのである。対応次第ではプロバイダの名前を公表して、このHPやその他で問題にしてやろうなどと思ったが、あまりに素直にこちらの言い分を受け入れたので、それは思いとどまることにした。しかし、こういう経験をしている人は多いと思うから、やっぱり話題にする必要はある。
  • プロバイダは電話回線を経由してインターネットに繋ぐ仕事をしている。だからその能力は、一つは接続ポイントの電話回線の数、そしてもう一つは接続ポイントからインターネットまでの回線のスピードと太さによって決められる。プロバイダはスピードを64kとか56kとかいって宣伝するが、電話の数が少なければ、また回線が細ければ、スムーズに接続できてサクサクとインターネットを楽しむことはできない。たとえば、小さな接続ポイントで設置した電話回線が1本の場合にはそこに一度に何十人もが同時にアクセスすることは出来ない。またインターネットへの回線が58kとかそれ以下の場合もあるから、10人が同時に使えば5.8k、100人ならば580バイトに落ちてしまう。一つの接続ポイントはふつういくつもの中継基地を経由するから、あちこちから集めたものを一本にしてインターネットへといった場合が少なくない。そうすると、数千、あるいは数万、ひょっとしたら数十万人が同時にアクセスなどといった事態も日常的に起こってしまう。だからたとえそこに数メガの回線を使っていても、一人一人には数十バイトやそれ以下しか割り当てられないし、さらには接続不能といった状態にもなってしまうことになる。
  • インターネットは基本的には世界中にある無数のネットワークとその間を繋ぐ回線によってできあがっている。だからインターネットを使うというのはその個々のネットワークやネットワーク間の回線を無料で借用することなのである。ところが、そこに入るための入口だけのために電話やプロバイダにお金がかかる。逆に言えばNTTとプロバイダは、インターネットの構築や維持管理には無関係なくせに、いわば他人の家に入る軒先だけの使用料を儲けの種にしているのである。僕は使いはじめた頃から、この商売の不当さは料金の高さということもあって大きな問題だと思ってきた。
  • インターネット・ビジネスということばが話題になり、その将来性が語られ、関連する業種の株価が異常な高値になっている。しかし、そのインフラストラクチャーの現状は、まだまだお粗末なものである。僕は結局、プロバイダをかえた。しかし、メールはずっと以前から契約していたプロバイダを解約せず、TCP/IP経由で使い続けることにした。これならメールのアドレスをかえずに済む。入口だけのために二重に契約したわけで、腑に落ちない気がするし、スピードが飛躍的に改善されたわけでもないから、イライラが解消されたわけでもない。朝起きてメールチェックをして、しょうもないジャンク・メールがいくつも入ってきたりすると一日中不愉快になってしまう。インターネットを金儲けの手段としか思わない風潮は困ったものだが、だからといって使うことをやめるわけにもいかない。本当にささやかだが、そんな文句はやっぱり、もっと大勢の人が声を出して訴えるべきで、おとなしくあきらめたりおかしなところに気がつかないままでいてはいけないのだと思う。
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    unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。