2006年1月10日火曜日

正月のテレビのお粗末さ

 

・もう毎年のことだから、書いても意味はないかもしれないけれども、年末から正月にかけてのテレビ番組のお粗末さにはあきれてしまった。それでも視聴率がかなり高かったりするから、結構楽しんでいる人が多いということなのだろうか。
・なぜ、大晦日に格闘技を見るんだろうか。それもデブデブの元横綱と奇妙な日本語を話して人気のあるナイジェリア人のタレントなどという組み合わせはもちろん茶番だが、元オリンピック代表の柔道選手同士の対決だって、そんなに大騒ぎするほどのことではないだろうと思う。こうやって、あおって人気者にするから、プロレスラーが次々国会議員になったりするんじゃないか。「ファイアー」と「挨拶しろ」としかいえない議員なんて税金泥棒以外の何者でもないはずなのに、次は「ハッスル」議員の誕生なんてことになりかねない。
・もっとも、大晦日に歌謡曲を聴く風習だって、考えてみればもう何の根拠もないだろう。「歌は世に連れ、世は歌に連れ」と言われていた時代には、その年のヒット曲を聴いて一年を振り返るといった意味があったのかもしれない。しかし、最近では何百万枚売れても聴いたこともない歌がたくさんある。そんなのを一緒くたにして長時間の番組をつくったって、おもしろがってみる人がいるとは思えない、と感じるのだが、NHKは受信料不払い率を減らすためか、国民的行事だと印象づけるためにしつこく事前のPRをしていた。その甲斐があったのか視聴率は前年より上がったようだが、見ていた人は本当に満足していたのだろうか。
・三が日をふくめて、ぼくは地上波の番組はほとんど見ていない。だから、これは、番組を視聴しての批判ではなく、新聞の番組欄を眺めての感想にすぎない。バラエティの特番が多いのは毎年だが、それにしても、同じタレントが同じような趣向で時間をつぶすといったものばかりで、ちょっとひどすぎるのではないかと思った。去年はフジテレビとTBSが乗っ取り騒動で話題になった。そのたびにテレビ局の経営者はテレビの公共性やジャーナリズム性を理由に、儲け志向のネット業者の参入を拒絶した。しかし、作っている番組を見ると、本当にそうだろうかと首をかしげてしまう。視聴率とそれに連動するCM収入のことしか考えていないのではないか。であれば、どこに買収されたって、中身に変化はないのではないだろうか。
・ただし、救いもある。ぼくはBSの番組をいくつか見たが、再放送のものに見応えのあるものがずいぶんあった。NHKや民法も時間と予算を使ってかなり多くのドキュメントや海外取材の番組を作っている。ところが、それはBSでしか放送しないというものが結構ある。視聴者の数は地上波に比べたら桁違いに少ないはずで、それなのにこれだけのお金や時間を投資できることが不思議な感じがする。意地悪な見方をすれば、その場限りの馬鹿騒ぎだけんお地上波の番組にはBSとは桁違いの予算を使っているということなのかもしれない。そう考えると、そのくだらなさにますます腹が立ってくる。視聴率、つまり視聴者数は力ということなのだろうか。
・地上波デジタル放送が都市部ではかなり普及しているようだ。ネットでのテレビ放送も現実化しそうな様子である。テレビのハードの方は多チャンネル化と多様な番組放送という方向にどんどん進んでいる。なのに相変わらず10,20,30%という視聴率を巡る競争して、そのために画一的で、時間つぶし的な番組ばかり作るという姿勢には、ハードとソフトの関係をまったく考えていないのではないかと言いたくなってしまう。番組が多様化しないのは、視聴者がそれを望まないからだという理由がつけられるかもしれないが、実際には、他に見るものがないから仕方なく見ている人が多いのではないだろうか。

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