2007年6月17日日曜日

松本でアイリッシュ音楽を

 

The Chieftains

chieftains1.jpg・チーフタンズはアイルランドを代表するケルト音楽のバンドで、ぼくも何枚かアルバムをもっている。その6年ぶりの来日公演のスケジュールを見つけた。東京や大阪の他、各地で9回のコンサートが予定されていた。東京だけだったら、今回も、行きたいけど、ちょっと面倒、と思ったはずだ。しかし、中に「松本市民芸術館」という日程を見つけて、その気になってしまった。6月9日(土)6時半開演、 6500円で、東京より2000円も安い。
・ロックの有名どころなら、最近では大都市だけでしかやらない。しかし、それほど有名でなく、しかも若い人だけが相手というのでなければ、結構、地方でもやっている。あらためてそんなことに気がついた。たとえばチーフタンズは今回、東京で2回、大阪、福岡、広島で1回の他に、愛知の長久手町、岐阜の可児市、茨城の筑波などでもやっている。客が集まるのか疑問だが、これまでの来日でも、全国の地方都市でやってきているようだから、それなりの目算はあったのだろうと思う。

marumo.jpg・開演は6時半だから、朝家を出て、八ヶ岳や諏訪湖に立ちよって、のんびりドライブしながら夕方松本へ、と考えていた。しかし、朝起きると雨。天気予報は局地的な大雨や落雷に注意と言っている。チケットは当日でも買えたが、念のためにと前日に電話で予約をした。席の様子だとあまり売れていないようだ。行くのも一苦労、となるのではと心配をしたが、高速道路の様子を確認して昼過ぎにでかけた。幸い雨はたいしたことなく、4時前には到着して、傘をさして市内を散策した。この街を歩くのは久しぶりで、ずいぶん変わったと感じたが、学生の頃に入ったことがある民芸喫茶の「まるも」は、たぶんそのときとほとんど同じだった。ここで珈琲を一杯。

morrison3.jpg・チーフタンズの存在を知ったのはヴァン・モリソンの "Irish Heart Beat" を通してである。北アイルランドのベルファスト出身のヴァン・モリソンが1988年に出したアルバムで、トラディショナルにチーフタンズのバックというのが、それまでのアルバムとはずいぶん違う趣で、驚いたが新鮮な感じもしたのを覚えている。ただし、何度も聞きかえしているうちに、それはやっぱりモリソンのアルバムそのものになり、同時に、ケルト特有の楽器や節回しにも馴染むきっかけになった。
・ちなみにアイルランド紛争が沈静化しはじめたのは1997年以降だから、アイルランドのチーフタンズと北出身のモリソンが一緒になって、トラディショナルを歌っているというのは、強いインパクトを与えたのではなかったかと、今さらながらに思ってしまう。

chieftains2.jpg・コンサートにはメンバーが全員そろわなかった。2002年に死んでいる一人は別にして、二人が体調不良で、創設時のメンバーでリーダーのパディ・モローニのほかに、中途参加の2人だけ。その代わりに、補充メンバーと若い二つのバンドがサポートした。アイリッシュダンスを披露したし、日本人の林英哲の和太鼓や元ちとせの歌など盛りだくさんで、決して多くはない会場の観客たちを盛り上げた。
・チーフタンズはよく、アルバムの共演者の豪華さによって評価されることが多い。ライブでもそのことは意識されていて、スティングやローリング・ストーンズ、それにもちろん、ヴァン・モリソンの名前を挙げて、それぞれの曲を演奏し、歌った。盛りだくさんにちょっとうんざりしたけれども、モリソンと共演した "Oh, shenandoah" が聞こえたときには、わざわざ松本まで来た甲斐があったと思った。

chieftains3.jpg・チーフタンズのアルバムで一番好きなのは "Santiago"。タイトルはスペインの北西端にある巡礼の地の名前である。フランスからピレネー山脈を越えてイベリア半島を横断する。このアルバム自体もそういう行程にそって曲目を選んでいる。スペインとアイルランドというとフラメンコとケルトの合体のように連想しがちだが、けっしてそうではない。ケルト人は古くはヨーロッパ中にいて、現在でも、スペインにはケルト系の人たちが住むところがいくつもある。バグパイプに似たガイタという楽器も使われていて、アイリッシュとはひと味違う、変わった雰囲気が出たアルバムになっている。
・たぶん、このアルバムからも1曲演奏したと思う。しかし、残念ながら、サンチアーゴの雰囲気は味わえなかった。やっぱりメンバーや場所が大事。聞きながら、ダブリンで偶然出会ったコンサートでの感激を思いだしてしまった。しかし、東京ではなく松本で聞いたのは正解で、闇夜にうっすら浮かぶ山なみや夜景を見ながら、ipodでもう一回、余韻をじっくり楽しむことができた。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。