・とは言え、今はネットがマスメディアに拮抗するかのような力を発揮するようになった。7月29日に行われた「国会大包囲デモ」は主にツイッターやフェイスブックで告知されたが、集まった人は20万人を超えたと言われた。そのデモに僕も参加したが、猛暑にもかかわらず大勢の人が日比谷公園から東電や経産省前を歩き、国会周辺で「反原発」の声をあげた。その様子は壮観だったが、同時に警察の過剰警備には腹が立った。
・あるいはネット上では新たに作られる「原子力規制委員会」の人選に対する抗議も強く行われていて、国会議員を巻き込んで、人事の撤回に向けた動きを作り出している。実際、この人事は消費税法案の採決よりも重要だと思うのだが、テレビはもちろん、新聞にも、そのことを明確に書いた記事はあまり多くない。原発の是非について国民に聞くという政府の「意見聴取会」も、その思惑とは違って、「原発0%」が7割という結果が出た。これを尊重するなら「原子力規制委員会」のメンバーも選び直すのが当然だが、沈没寸前の野田内閣は、というより経産省は一体どう処理するつもりなのだろうか。
・地デジ用のアンテナを立てたおかげで、視聴できるチャンネルが4つ増えた。微弱電波だから天候によって見えたり見えなかったりするが、オリンピックを見るチャンネルが増えたことは間違いない。しかし、深夜や夜明け頃のライブまで見る気はないから録画放送中心だと、日本選手が活躍したものばかりになって、すぐに食傷気味になってしまった。NHKが今回から他の競技を複数、ネットで生中継するようになった。同時にいくつもの競技を配信できるのだから、テレビ放送する種目も中継してほしいと思った。
・アメリカでは放映権を獲得したNBCがネット配信をライブでしているようだ。テレビの方が録画中心になって視聴者から苦情が来ているといったニュースを耳にした。既存メディアとネットの関係は日々変わっている。ロンドン・オリンピックで何より印象的だったのはそのことだった。であれば、次のリオでのオリンピックはテレビなしで、ネットで楽しめるかもしれない。そう感じたが、既得権を何より大事と考える日本のマスメディアにそんな方向が打ち出せるだろうか。
・ともあれ、オリンピックという祭りが終わって、もっと現実に目を向ける時がやってきた。連日の猛暑なのに電気が不足しているといった話はまるでない。関電は火力発電所を休めているようだが、そのことを批判するメディアは皆無だ。原子力規制委員会のメンバーの人選もめちゃくちゃなのに、それを問題にする声はネットでしか見かけない。
・国が歩こうとしているのは、既得権や利権という目先の金感情(勘定)だけで照らされた道なのに、メディアは、それが現実的な方向であるかのような空気(世論)を作り出すことに終始している。政治への直接参加と、マスメディアに頼らない情報のやりとりの必要性をますます自覚するばかりである。
0 件のコメント:
コメントを投稿
unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。