2014年10月13日月曜日

東京オリンピックと新幹線

・東京オリンピックと新幹線開通から50年でテレビも新聞もその特集を組んでいる。すべてを見たり読んだりしているわけではないが、その中身は、懐かしさばかりのようだ。当然、イベントも行われていて、次の20年のオリンピックを盛り上げる機会にしようという狙いもある。決まったことだから、それはそれでいいことだ、なんてとても思えない。オリンピックなんてやってる場合じゃないだろうと今でも考えているからだ。

・オリンピックのおかげで公共工事が増え、ゼネコンは大喜びだろうと思う。人手が足りなくて困っているという話もよく耳にする。そうすると当然、3.11の被災地の復興工事が滞るわけで、予算を使い切れていないというニュースも見かけた。地方再生が聞いて呆れる状況なのである。

・いったい、64年の主会場になった国立競技場はどうなるのだろうか。ばかでかい新国立競技場は神宮外苑を一変させてしまうほどの大工事である。反対の声が大きいのに、それにまともに応えずに解体工事を始めようとした。ところが、談合疑惑が起こり、業者に告発されたりしている。東京オリンピック50周年をふり返り、20年のオリンピックに向けて特集を組むというのなら、なぜ、メディアは、新国立競技場の問題や「日本スポーツ振興センター(JSC)」のうさんくささを問題にしないのだろうか。

・同様のことは新幹線の50周年にも言える。日本が豊かな社会になることを実感できる機会だったという話を取り上げて、次はリニアモーターカーでもう一度、豊かさを目指そうと言わんばかりの論調だ。それが全くの幻想でしかないことは、50年前と今の日本の状況を考えたらわかるはずで、人口の急激な増加と急激な減少を見たってありえないことなのである。

・リニアモーターカーは500kmの速度を出して東京名古屋間を40分で結ぶのだという。そんな必要がいったいどこにあるのかという話は、以前に書いたことがある。南アルプスをぶち抜いてトンネルを作ること、7割以上がトンネルになること、原発数基分の電力が必要になること、地方再生どころか、ますます東京一極集中を加速させるだけだということ、新幹線が赤字路線に転化してしまうこと、乗客や沿線住民への電磁波被害が置き去りにされていること等々、上げたら切りがないほどである。ところが、そんなことを大きく取り上げるメディアはまた、ほとんどない。

・御嶽山が突然噴火して大勢の登山者が犠牲になった。富士山周辺の自治体も、慌てて対応策を考える会を発足させたりしている。泥縄も最たるものだが、ほとぼりが冷めれば自然休会してしまうのだろうと思う。そんな場当たり的な発想をくり返しても何の役にも立たないのに、である。川内原発再稼働について、原子力規制委員会の委員長や官房長官が、マグマではなく水蒸気だから、川内原発には直接関係しないと言った。火山学の専門家でもないのになぜ、即座に、こんな意見を言えるのだろうか。

・それにしても、テレビも新聞も、御嶽山で犠牲になった人たちのプライベートな話を良くもまあ、次から次へと取り上げて、お涙ちょうだいの物語をつくるものだとあきれてしまった。そんなものは読みたくもないし見たくもない、と思うのは僕だけなのだろうか。亡くなった人がどういう人かではなく、なぜ死んでしまったのか、なぜ防げなかったのかということについて、本気になって取り組む必要性を強調しないと、悲劇の消費に終わって、しばらくたてばまた、忘れてしまうだけなのだろうと思う。

・オリンピックと中央新幹線でさらなる豊かな社会を実現しようというのは、けっして夢ではなく、悪夢そのものだと思う。日本はこれから間違いなく、人口が減り続け、経済もしぼみ続けるだろう。アベノミクスはそれに逆らって、経済成長や人口の増加、そのための女性の活用(躍)、地方再生などをスローガンに上げている。これらがどれほどインチキなものか。もちろん、この点を正面から批判するメディアはほとんどない。

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