2022年11月14日月曜日

Jackson Browne, "Downhill from Everywhere"

 
jacksonbrowne3.jpg" この名前で取り上げるのは2回目だ。ジャクソン・ブラウンがコロナに感染して、アルバム制作が中断したために、2曲だけのシングル盤が先に出たためだった。アルバムだと思って購入してがっかりしたが、その後アルバムが出て、やっぱり買うことにした。すでにメインの曲は紹介しているから、また取り上げるのは止めようと思っていたが、来年三月に日本で公演をやると言うニュースを見て、やっぱり書くことにした。

アルバム・タイトルの「Downhill from Everywhere"」については前回、次のように紹介した。「海に流れ込む、プラスチックその他の人間が捨てたゴミを歌ったものである。ゴミは学校から、病院から、ショッピングモールから等々、あらゆるところから流れ下る。歌詞の大半はその「~から」を列挙したものになっている。引力に従って行き着く先である海を、私たちはどこまで自分のこととして考えているのだろうか。私たちが生きていくのに、海がいかに大切かということを。プラスチックは海に流れ下ることで細かく粉砕される。それを魚が食べて、また人間に返ってくる。この歌はドキュメンタリーの"The Story of Plastic"でも使われている。」

その他の曲も強いメッセージが込められているものばかりだ。トランプ前大統領の移民政策に抗議した"The Dreamer"、地震に襲われたハイチ復興支援として作られた"Love is Love"、人種差別を抗議し、公平であることの大切さを訴える"Untill Justice is Real"、エイズ病棟をドキュメントした映画『5B』に提供された”A Human Touch"などだ。ジャケットには巨大なタンカーが写っているが、これは原油流出事故後にバングラデシュに移送されて解体されたものだという。

他方で、彼本来のものである自省的な歌もある。シングルカットされた"A Little Soon To Say"については、前回次のように紹介した。「今の状況に対する自分の戸惑いを歌っている。地平線の向こうが見えない、明かりに照らされた道の向こうが見たいんだけど、とつぶやき、すぐに決断しなければならないのに、情報があまりに少なすぎる、とつづく。今の病を乗り越える道を照らしたいし、できると思いたいが、そう言うにはまだ早すぎる。」

人工心臓を手術して無敵だと歌う"My Cleveland Heart"と、心が裂けるようだと歌う"Minutes to Downtown"など、自分の揺れ動く心を描く姿勢も健在だ。で最後はバルセロナ讃歌の"Song for Barcelona"。ここでも自分の魂に火をつける街と歌う反面で、愛する世界が見つけられなくなってしまうと揺れている。

ジャクソン・ブラウンのコンサートには2015年に出かけた。その時の様子は「ジャクソン・ブラウンのコンサート」に書いている。また聴きたいと思うのだが、コロナ禍で人混みは避けているから諦めている。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。