2024年2月5日月曜日

国政を改革する法律は国会議員には作れない

 

自民党の安倍派を中心にしたパーティ収入のキックバックの問題は、大山鳴動ネズミ一匹で、収束してしまった。数名の議員と会計責任者の逮捕でしかなかったのだが、自民党は刷新改革と称して、派閥の解消でやり過ごそうとしている。しかし問題は自民党の改革ではなく、議員の不正行為については議員自身に罪を負わせる連座制を法律に定めることにある。もっともパーティで得た収入を裏金にしたのは脱税だから、やる気になれば検察は有力議員の逮捕に踏み込めたはずだが、それをしなかったのは、政権に忖度をしたといわれても仕方がないだろう。

日本の国政は衆議院と参議院の二院政で、定数はそれぞれ480人と242人である。この数は決して多くはない。と言うよりはOECDの中ではアメリカに次いで少なく、100万人あたり3.7人である。ちなみに韓国は6.2人、イギリス、イタリアは10.4人で、北欧諸国は30人台で、一番多いのはアイスランドの210人である。しかし、私利私欲に走る国会議員ばかりが目立つから、議員が多すぎると感じてしまう。

国会は立法機関で、さまざまな法律を決めることを主な仕事にしている。しかし、安倍政権以降、行政機関である内閣が「閣議決定」を連発して国会軽視の姿勢を取りつづけている。実際安倍首相は「私は立法府の長」と言い放ったのである。衆議院も参議院も自公の安定多数だから、国会の採決に任せたって政権の意向通りになるのだが、国会での議論もすっ飛ばしてしまえという傲慢な姿勢が、10年以上もつづいているのである。これでは国会議員は無用の長物になってしまっている。

ろくに仕事をしていないのに、歳費は高く、活動費などももらい、議員一人あたりの収入は4000万円を超えるようだ。もちろん、新幹線のグリーンや飛行機もただである。この額はシンガポール、ナイジェリアに次いで世界第3位で、アメリカの2倍、イギリスの3倍である。このお金にはもちろん、税金が使われているが、政党にはそのほかに「政党助成金」が交付されていて、総額は300億円を越えている。他方で、国民の平均収入はバブル崩壊以降停滞しつづけていて、OECD34カ国の中で20位以下に落ちているから、議員の収入の多さが一層際立つのである。

にもかかわらず、自民党の議員はパーティと称して企業献金を集め、それを明記せずに隠し金を蓄えてきた。さまざまな面で、日本が今難しい状況におかれていて、それを解決するために働かなければいけないのに、やっているのは「今だけ金だけ自分だけ」なのである。今肝心なのは、議員の収入を国民の年収に合わせて下げることと、政治資金規正法を厳格にすることだろう。それを国会で決めるのは、泥棒が泥棒を取り締まる法律を作ることになるわけだから、第三者機関を作って決めて、ざる法にならないよう監視する以外にないだろう。それを認めさせるのは世論の高まりだが、メディアの論調は頼りない。

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