・今年は冬がなかったといってもいい。例年なら白く被われて凍りつく森が、ずっと茶色のままだった。スリップを注意しながら車を運転することもほとんどなかったし、通勤時の雪を心配することもなかった。楽といえば楽だがちょっと拍子抜け。
・灯油の値段も数年前の価格に戻って安心したが、薪が豊富にあるので、4ヶ月以上、火を絶やさず燃やし続けた。だから灯油の消費量は例年の半分ほどですんだ。使い続ければ煤がたまる。当然、薪ストーブのメンテナンスは例年以上で、煙突の出口にたまったタールの除去で急傾斜の屋根に何度も登った。
・ストーブにはコンバーターがついていて、酸素の供給をしぼって還元状態でじっくり燃やすことができる。ところがそれにすると煙が漏れてくるので、コンバーターをつけ替えることにした。商品をネットで検索すると4〜5年で交換と書いてある。もう9年も使っていたから、劣化するのは当然で、はずすとものすごい量の灰がつまっていた。で、新品に交換すると嘘のように温度が上がった。ストーブの上に置いたヤカンがすぐに走り出すように沸騰する。おかげで、加湿器も静かに運転することが多くなった。
・そのストーブも、すでに使わなくなって1週間以上経つ。煙突をはずして、煤落としもした。例年ならゴールデンウィークまで使うのに、ここのところの気温は連日20度を越えている。まだ寒くなって火をつける日もあるのだろうが、一応、お役目ごめんにした。
・植物の出足も早くて、蕗のとう、片栗、そして富士桜と続いた。東京の桜が散ってもまだ、こちらはつぼみだったはずなのに、あっという間に満開になって、数日で散ってしまった。東京の桜が長かったし、咲き始めたあと寒くなって満開までに2週間ももった去年に比べると、何ともあっけない感じがした。山の新緑も当然早い。「萌え」というのはこのことを言う。命の再生。新鮮で崇高な気持ちになる。
・葉が茂ってBSアンテナの邪魔をしていた栗の木を切った。一人では大変で、院生のK君が来た時に手伝ってもらった。大木に育ってしまったから、倒す方向を決める必要がある。ロープをつけてコントロールしようとしたが、狙いとは違って、結局、木は傾いている方に倒れてしまった。ひやっとしたが、運良く、物置を避けてくれた。やれやれ………。
・薪を使わなくなったので、来年に備えて場所の移動をはじめた。ほぼ乾いた木を日の当たらない場所に移し、生木を南側に並べる。南側の壁をあけるのに3日かかった。空けた場所に積む生木は、これから少しずつ、東京から車で運ぶ。造園業で働く知人が、仕事で伐採した木を切って割って並べて置いてくれる。21万キロを超えたレガシーに、今年もがんばってもらわなければならない。