・何ともひどい選挙だったと思う。大義名分がないというのは選挙を仕掛けた安倍首相に対するものだが、だったらこの政権に「ノー」をつきつけるチャンスになったはずなのに、ほとんど批判するような風も吹かなかった。何しろ投票率が50%をちょっと超えた程度だったのだから、安倍首相にとっては思うつぼというものだろう。
・この選挙は日本の将来を大きく左右する。もちろん悪い方向に向かって歩を進めるはずだから、若い人たちほど、その影響を受けるのは間違いない。「集団的自衛権」は戦争のできる国になることを目指したものだし、「秘密保護法」は上からの管理や監視を強化した息苦しい国に変えるだろうし、「アベノミクス」の行き着く先は経済破綻への道だろう。もちろん「原発再稼働」や「年金の破綻」「TPP」など、ほかにも日本の未来を左右する重要な問題はたくさんある。
・こんな大事な選挙なのに、棄権した人が一番多いのは20代だったようだ。若い世代を中心にした政治不信、というよりは政治嫌悪だと言った人もいたが、身近な大学生達を見ていると、無関心と言った方がいいのではないかと思った。自分にはあまり関係ないからと言うのだが、そこには自分のためにはあまり関心を持たない方がいいといった計算が働いているようにも感じられた。
・就職をして無難な人生を歩むためには、政治に関心など持たない方がいい。彼や彼女たちはそんな空気を感じ取っているのである。けれども、そんな空気は、若い人たちの間だけではなく、他の世代の中にも淀んでいるし、何よりメディアの中にこそ顕著にある。しかもそれをいいことに自民党は、選挙の公示前にテレビ局に圧力をかけたりもした。
・その選挙報道は中立公正になどといった脅しがきいたのか、期間中のテレビ放送では前回に比べて選挙を取り上げることが半減したようである。そのくせネットではYoutubeなどを見るたびに安倍の広告が登場したりして、資金の有無が露骨に見えたりもした。やってることがとにかく汚いとしか言いようがなかったのである。
・そもそも今度の選挙はいくつもの理由で違憲だと言われている。国会で内閣不信任の決議がなされたとき以外に、首相の裁量で解散ができるという規定が憲法に書かれているわけではないし、一票の格差が違憲状態だとする判決が出ているにもかかわらず、今回も2倍を超えた選挙になっているのである。この裁判については必ず訴訟が起こるはずで、もし「違憲状態」ではなく「違憲」という判決が出れば、選挙は無効になって議員は辞職してやりなおすことになるのである。
・もちろん、三権分立のはずの司法に、そんな判決を出す勇気があるとは思えないから、今度もまた「違憲状態」などというよくわからない裁定を下すのと思う。これではもうはっきり言って独裁政治のはじまりだと思う。暗澹たる思いに囚われてしまっているが、たった一つだけ光明が見えた。それは沖縄の全選挙区で自民が負けたことである。沖縄が蟻の一穴になって、安倍政権が崩壊することを願うのみである。