・沖縄知事選でデニー玉城氏が勝った。久しぶりの朗報で、8万票という大差がついたのは驚きだった。それにしても自公の選挙の仕方は猛烈で、しかもえげつないほど汚いものだった。建設などの業界を締めつけて投票を強制させる。根拠のないデマを流す。最大の争点である辺野古は隠しておいて、知事には権限のない携帯料金の値下げを訴える。官房長官や人気者の小泉進次郎をはじめとして、自公の国会議員を大勢送り込む等々………。にもかかわらずの大差の負けだから、政権や与党のショックはさぞかし大きかっただろうと思う。
・前回の知事選も含めて沖縄県民は二度続いて辺野古基地の建設に「ノー」を突きつけた。その意思表示はきわめて重いものだと思う。安部首相は「残念だ」とか「真摯に受け止める」とは言ったけれども、辺野古については何も話さなかった。民意を無視する不遜な態度だが、ニューヨーク・タイムズは、民意に応えて沖縄の米軍基地を縮小すべきだと主張した。日本の新聞には、これほど明確に意見を出したところはなかったようだ。
・安部が三期目の首相になった。あと3年続くのかと思うと暗澹たる思いだが、沖縄での敗北や、自民党総裁選挙での党員票の少なさなどから、終わりの始まりだという声も聞こえてきた。改造内閣も全員が日本会議の会員で、主要ポストは変えずに、大臣待機組を抜擢というお粗末なものだった。女は片山さつき一人で、甘利や下村といった汚職問題で逃げ回っていた連中が党の要職に就いた。世論なんか気にしないといった態度があからさまで、その驕りようは救いがないほどである。改造内閣の支持率が下がるのも当たり前のことである。
・四国の伊方原発の再稼働について、広島高裁が去年の12月に出した仮処分決定を取り消して、再稼働を認めた。仮処分の理由だった阿蘇カルデラの破局的噴火は社会通念上想定する必要がないという理由だった。いつ起こるかわからない噴火などは気にする必要はないとする判断で、地震や噴火がいつでも、いつどこで起こるかわからないものであることを無視したひどい判決だった。熊本の地震も、今年あった大阪や北海道の地震も、予知情報では、ほとんど起こらないはずのものだったのにである。
・その北海道では、地震によって全道が一時停電した。電源の中心を担っていた巨大な発電所が地震によって壊れたためだったが、原発が稼働していれば全電源喪失にはならなかっただろうという意見が多く出た。しかし、動いていなかったからこそ、原発に支障が出なかったと言えるわけだし、もし震源が原発にもっと近い所だったら福島の再現になりかねなかったかもしれないのである。太陽光や風力を使った分散型の電源システムに舵を切っていれば、という反省にしなければならない事故だったはずである。
・山梨県では来年1月に知事選挙が行われる。現職の後藤知事は前回自公と民主の推薦を受けて当選したが、次の選挙では自公は推薦しない方向で動いている。何をやったのか、やらなかったのかわからない地味な知事だから、違う人が出てもいいとは思うのだが、現知事は続けたいようだし、自民はもっと自民色の強い候補を立てたいと考えているようだ。ただし、山梨県連は長いこと分裂状態が続いていて、今回もまたもめている。
・ただその中で、選挙公約として富士山にケーブルカーを作ることを目玉にして立候補を狙っている人がいる。この計画はずい分昔から出されているもので、目新しくはないが、反対運動も強くて実現してこなかったものだ。そもそも活火山である富士山にケーブルカーを作るなどという発想は3.11や御嶽山の噴火、そして最近の地震や東南海地震の危険性が叫ばれる状況の中で、その事を無視したひどいものである。
・富士山周辺は世界遺産になってから観光客が激増している。富士登山客もすでに限界に達するほどになっている。その上ケーブルカーができれば、富士山にはもっと多くの観光客がやってくることになる。自然環境の破壊はもちろん、もし噴火が起これば、その観光客をどうやって避難させるか。そんなことをまったく考えない、利益や選挙ばかりを考えた計画だと思う。何しろ東南海地震が起こる確率は30年以内に70%だというのである。地震が起これば富士山も噴火するというのは、江戸時代に起きた宝永噴火が証明済みである。
・目先のこと、自分のことばかり考えて、将来のこと、社会のことには目をつぶる。都合の悪いことは隠したり、嘘でごまかしたりする。何から何まで、こんな傾向で溢れている。その元凶が現政権であることは言うまでもない。早くつぶれて欲しいとつくづく思う。