2018年7月16日月曜日

あからさますぎる情報操作

 

・ワールドカップは日本の予想外の活躍で、真夜中にもかかわらず高い視聴率だった。ぼくは初戦のコロンビア戦だけはライブで見た。点を取られたら寝ようと思っていたのだが、開始早々のPKで一点取ったものだから、最後まで見てしまった。翌日のテレビは当然ながら大興奮で、朝から晩までその話題で盛り上がっていた。もっとも、その日の朝には大阪の高槻を震源にするマグニチュード6.1の地震があって、大阪北部や京都南部で大きな被害が出て、そのニュースも一日中、大きく報道された。ぼくは大山崎町に住んでいたことがあって、阪神淡路大震災を経験していたから、その時のことを思い出して、サッカーどころではない気になった。だから知人達にメールを出して、様子を確認したりもした。

・ところがその日の午前中に突然、加計孝太郎がが岡山で地元の報道各社だけに二時間前に予告して会見したのである。当然、東京や関西のメディアは間に合わなかったが、間に合ったところも地元の記者限定という制約で断られたようだ。二つの大きな出来事を狙ったどさくさ紛れの会見で、姑息としか言うほかないような行動だった。しかも会見は30分足らずで、疑惑を否定したり、記憶にないを連発して、質問にもまともに答えようとしなかったようだ。

・この会見が、地震はともかくワールドカップを狙ったものであることは明らかだろう。見え透いた情報操作だが、決勝トーナメントに出た日本がベルギーに負けた数日後の6日に、麻原をはじめオウム死刑囚7人の死刑が執行された。ぼくは見なかったが、朝からテレビが報じていて、一人一人の執行が行われたプロセスをライブで報じたようだ。死刑囚達の執行にはさまざまな批判があったが、執行を命じた法相は、そんなことには聞く耳持たずといった態度だった。

journal3-174.jpg・またところがだが、当日は、数日前から降り続いた雨が激しくなり、特に中国、四国、そして九州では、これまでに経験したことのない雨が降った。気象庁は前日の5日に「大雨特別警報」を1府10県に出して大きな災害になる危険を呼びかけたが、広島や岡山を中心にして、死者・行方不明者合わせて230名を超える大災害になってしまった。もっとも、「過去に経験がないほどの雨」が何度も聞かれたが、大雨による災害はここ数年、この時期にくり返されていることでもある。(表は西日本新聞から)

・このような被害があったにもかかわらず、5日の夜に「赤坂自民亭」という名の自民党懇親会が開かれて、首相や法相なども出席していたことがネットで問題になった。オウムの処刑の前夜であったこと、数日前から大雨の被害が出始めていたにもかかわらず、首相や法相を含めて議員達が飲み会をしていたことに批判が続出した。この宴会は秘密裏に行われたのではなく、幹事の議員がツイッターで、写真付きで、その盛り上がりを報告もしたのである。安倍政権は情報操作に誰より腐心することに大きな特徴があるが、他方で、その影響も考えずに暴言を吐いたり、ネットに書きこみをしたりすることが少なくない。

・またまたところがだが、この不祥事をテレビはもちろん、新聞も大きく取りあげなかった。こちらは政権に忖度した情報操作といわざるをえない。首相はさすがに外遊を中止したが、政府が災害対策本部を設置したのは、気象庁が「特別警報」を出してから66時間後の8日午前だったのにである。遅れた理由は、首相が外遊にこだわったせいだと言われている。しかし、批判が強くなかったためか、参議院の定数是正(改悪)は、被災地対策そっちのけで強行採決して、カジノ法案も続けて成立させるつもりのようである。

・こんなひどい政権なのに、支持率は回復しつづけているから、もうあきれるしかない。メディアも駄目だが国民も駄目。「驕る平家は久しからず」という格言が通用しない、おかしな世界になってしまっている。

2018年7月9日月曜日

ひどい政権をいつまで野放しにするのか

 

・もうとっくに辞めるべきなのに、まだしがみついている。どころか、更に三年先までやろうとして、それがすでに既定路線化しているという。もちろん安倍政権の話である。森友・加計問題の核心に安部夫妻がいることは火を見るより明らかである。スポーツで言えばアウト、チェンジ、そしてとっくにゲームセットになっている。にもかかわらず本人はアウトではないと弁明し、審判まで巻き込んで、ゲームを続けようとしている。彼には政治家としてどころか、一般人としての良心や倫理観、あるいは責任感がまったく欠如している。だから、何を言われても蛙の面にションベンなのだ。

・こんな状態になっても、与党からは批判の声すら聞こえてこない。大手メディアは相変わらず、首相と会食などしていて、本気になって退陣を迫ることもない。歴代の首相経験者や退職した自民党の長老が批判しても、政権には痩せ犬の遠吠えぐらいにしか聞こえないようだ。支持率が回復傾向にあるなどと聞くと、もう絶望的になってしまうが、諦めてしまっては、日本の状況はますますひどくなってしまう。

journal4-200.jpg・「働き方改革」が働く人ではなく、働かせる人の要請で登場した法案であることは明らかだ。過労死を減らすためではなく、安い労働力で企業の収益を上げることが狙いなのである。隣国の韓国では同時期に週12時間以上の残業を禁止する法案を成立させた。月100時間までは合法とした「働かせ方改革」との対照は明らかだろう。残業代なしの高度プロフェッショナルの1075万円についても、徐々に下げて400万円程度になれば、働く人の大半が当てはまってしまうと言われている。他方で、役員報酬が1億円を超えた企業が240社で538人になったようだ。あるいは役員と従業員との間に格差が10倍以上もある企業が100社を超えたという報告もある。右図のように、先進主要国で賃金が下がっているのは日本だけなのである。アベノミクスのインチキさは、このグラフを見れば明らかだろう。

・政府はまた、今国会中に「カジノ法案」を成立させるつもりだという。世論の反対が大多数にもかかわらず成立を強行するのは、アメリカの要請があるからだと言われている。貧しくなった暮らしがギャンブルによって更にひどくなる。日本人はすでにレジャー費の多くをパチンコに使うギャンブル大国なのである。減少傾向にあるとは言え、パチンコ産業は今でも20兆円を超えていて、70兆円と言われるレジャー全体の、3割ほどを占めているのである。過労死やギャンブル依存症をさらに増やすだけの法案はそれこそ亡国的だが、何故、強い抗議運動が起きないのだろうか。

・この国がこれからどんなになってしまうのか。少しでも考えればぞっとするほど恐ろしいことに囲まれていることがわかる。既存の原発の再稼働だけでなく、新設などといったとんでもない話も聞こえてきた。しかもやるのは東京電力だという。株価を安定させるために日銀や年金機構が株に費やしているお金は、すでにそれぞれ20兆円を超える額になっているようだ。下がらないためにさらに買うというギャンブルのような使い方がされている。その一番の目的が、安倍政権を支えることにあるのはいうまでもない。

・外交の安部などと言われるが、実際はトランプの言うなりで、北朝鮮の問題では蚊帳の外に置かれている。危機を煽り、拉致被害者の救出を訴えても、現実には、何の力も発揮できていないのである。サミットに行っても何の存在感もなかったのに、専用機に乗ってあちこち出かけては金をばらまいてくる。そんな愚行をくり返して、すでに総額50兆円に達すると言われている。これは日本の税収一年分に近い数字だが、一方で国の借金は1000兆円を超えているのである。

・借金を減らして財政を健全化することや、少子高齢化対策には将来を見通した根本的な変革が必要であるし、それを支える政治哲学が欠かせない。今の政治状況には、そんな危機意識がまったく感じられない。つけを将来に先送りして、目先の利己的な利害ばかりに執着する。若い人たちこそ、こんな政治に不安を持ち、怒るべきだと思うのだが、なぜ支持したりするのだろうか。

2018年7月2日月曜日

<続>ジャック・ロンドンを読んでいる

 

『白い牙』(新潮文庫)
『犬物語』(スイッチ・パブリッシング)
アーヴィング・ストーン『馬に乗った水夫』(ハヤカワ文庫)

jacklondon3.jpg・ジャック・ロンドンの代表作は、日本では『白い牙』だろう。オオカミが主人公で、人間との関わりが物語になっている。犬の血が混じった雌オオカミが子どもを生む。そのオオカミが人間につかまり、闘犬にされたり、そり犬にされたりする。しかし主人公はそのオオカミだから、物語はオオカミの視点で進行する。ここでは人間もまた、オオカミと同じ動物の一種に過ぎない。むしろ勇敢さや気高さを持ったオオカミに比べて、登場する人間の多くは、ずるがしこく冷血で、信用できない者たちばかりだ。舞台はアラスカという極寒の地で、そこに集まるのはゴールド・ラッシュに心を奪われた者たちばかりなのである。
・だからオオカミは決して人間に心を許さないが、例外的に信頼できる男が現れる。オオカミとしての野生の血と、少しだけまじった犬の血が、さまざまな人間に対する微妙な距離感をつくりだす。このオオカミはその意味で自我を持ち、自分の判断に従って、自分の生き方をきめる存在だ。人間よりもはるかに高潔で、しかも思慮深い。

jacklondon6.jpg・『犬物語』はいくつかの作品を集めたもので、『火を熾す』と同様、柴田元幸が選んで訳し直したものである。その中で中心になるのは「野生の呼び声」と名のついたロンドンの動物文学の代表作とを言えるものである。この作品に登場するのはオオカミではなく、生まれた時から人に飼われていた犬である。セントバーナードとシェパードの血を継ぐ主人公が盗まれ、ゴールドラッシュに湧くアラスカに送られる。犬はそこから、オオカミに接触することで、やがて野性に目覚めていくことになる。
・この作品でも主要なテーマは野生の血と飼い慣らされた血の間に生まれる葛藤とせめぎ合いということになる。訳者が指摘しているように、ロンドンにとってオオカミは理想の自我を体現する存在であり、犬は飼い慣らされたものである。その間で揺れ動く主人公は、まさに作者であるジャック・ロンドンの生き様そのものだったようである。

jacklondon7.jpg・『馬に乗った水夫』はアーヴィング・ストーンによるジャック・ロンドンの伝記である。それを読むと、野生や自由に対する憧れと、名声や金へのこだわりとの間で大きく揺れ動き、生き急いだロンドンの人生がよくわかる。幼い頃から家計を助けるために働き、学校には馴染めないが図書館で本をよむことには夢中なる。冒険を好み、船に乗って大海に出て、アラスカに行って犬ぞりに乗る。そんな経験を元に小説家になり、稼いだ金をまた冒険や大農場に使う。そして家族はもちろん、多くの人をもてなすためにも金を稼ぎ、散財する。あるいは資本主義社会が出来上がりつつあるアメリカ社会を批判して、社会主義にもとづく世界を打ち立てることにも力を尽くす。彼はまた20世紀の初めに、アメリカにマルクス主義を根づかせることに奔走した人でもあったようだ。
・ジャック・ロンドンは40歳の時に自殺をしている。動物文学やプロレタリア文学の祖とも言われるが、それ以外にも残した作品は多い。それはいくつもの冒険を実践し、アメリカ社会への批判の目を持ち続けたからこそ書けたものだが、この伝記を読むと、書くことが彼にとって必要な金を手に入れるためのやむにやまれぬ活動であったことがよくわかる。彼の作品はほかにもたくさん翻訳されていて、さらには、まだまだ訳されていないものが数多くあるようだ。さて、もっと読もうかどうしようか。しばらく間をおいてから決めようと思っている。

2018年6月25日月曜日

ロジャー・ウォーターズとスティング

 

waters2.jpg・ピンク・フロイドのライブをYouTubeで見て、同時にロジャー・ウォーターズのライブもたくさんあることに気づいた。両者は長いこと対立していて、ウォーターズは彼が脱退した後のピンク・フロイドを認めなかった。和解して一緒に行ったライブもあって、時系列に沿って楽しんだ。そんな時、たまたまロジャー・ウォーターズの「ザ・ウォール・ライブ」をWowowで見た。このライブは2010年から13年まで行われ、450万人を動員したと言われている。
・この作品はたんなるライブのドキュメントではない。ライブの間に自分の生い立ちから現在までの歴史をたどり、その時々の自分を思い返している。ただし主人公はピンク・フロイドという名のミュージシャンである。ロジャーズは父が第二次大戦で死んだことで、父親不在で大人になった。しかし彼の祖父もまた第一次大戦で戦死していたから、父親自身も父親なしで育った。「ウォール(壁)」には、そんな自身の歴史に追い被さった戦争や、現在の世界における紛争や張り巡らされた壁に対する批判が、強く主張されている。ステージの仕掛けの大がかりさとも相まって、圧倒されながら見た。

waters1.jpg・ロジャー・ウォーターズはまた昨年、"Is This the Life We Really Want"という名のアルバムを出している。「これが本当に欲しかった生(活)なのか」というタイトルが気になって買うことにした。中には同名の曲もあって、そこでは今の世界の不条理をストレートにあげつらって批判している。このアルバムを作るきっかけになったのは、トランプ大統領の就任だったようで、歌が始まる前にCNNを批判するトランプの演説が挿入されている。紛争、難民、殺戮、貧困、環境破壊、貪欲な億万長者、フェイク、そして人々の無関心。こんな現状に対する怒りで溢れたようなアルバムになっている。
・彼は日本のことは知らないだろう。しかし、薄汚い嘘にまみれた政治や、しょうもないスキャンダルにうつつを抜かすメディアに対して、同じように糾弾したくなった。ジャケットは検閲が入って黒く塗りつぶされているが、財務省が最初に出してきた文書そのままだ。「働かせ改悪」や「カジノ法案」が、本当に私達が欲したものなのか。残念ながら、今の日本には、こんなストレートに批判するミュージシャンはいない。

sting5.jpg・スティングの新作はレゲエだ。しかし一人ではなく、シャギーという名のレゲエ・ミュージシャンとのコラボレーションである。知らなかったが、シャギーはボブ・マーリー以後のレゲエを代表するスーパー・スターだという。アルバム・タイトルの44/876は、国際電話をかける時のイギリスとジャマイカの国番号だ。ちなみに日本は81である。もっとも二人はニューヨークに住んでいて、シャギーは10代に移住しているし、スティングは「ニューヨークのイングリッシュマン」である。
・レゲエはダンス・ミュージックという色彩が強いが、一方でボブ・マーリーがそうであったように、政治や社会に対する反抗や批判といった姿勢も貫かれている。このアルバムにも、子どもの頃憧れたアメリカとはずい分違ってしまった現状を批判する歌がある。あるいは貧困と犯罪、夜勤仕事などが物語として歌われている。しかし、また同時に、自由の女神の国、新しい文化が生まれ続けてきた国であることも歌っている。

・アメリカが希望と悪夢を合わせ持った両義的な国であることは、ロックが生まれた60年代からずっと変わらない特徴だった。しかし今は、夢ではなく悪夢をもたらす国のように思えてならない。米朝会談で日本が巻き込まれる戦争は回避されたが、トランプの気まぐれで、どうなるかわからない。レゲエを聴くと、ほんの少しだけほっとする。 

2018年6月18日月曜日

自転車、車、山歩き

 

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・昨年の12月に新車に乗り換えて、半年で12000kmを超えた。通勤がなくなったのによく走っている。四国遍路で3000km走ったのが大きいが、それ以外にも京都に二回行ったから、半分近くはそのためだということになる。京都に行ったのは99歳になる叔母の具合が悪くなったこと、その叔母の介護をしていた従兄弟が急な病気になったこと、そして叔母が亡くなったからだった。京都に住んでいた頃は、子供達にとってはおばあちゃんだったから、いろいろな思い出がある。気丈な人で100歳を過ぎても生きるのではと思っていただけに、残念だった。

forest150-2.jpg・その叔母が亡くなって、ゴールデン・ウィーク明けに焼香に行った時に、高野山に寄って四国遍路結願のお礼参りをした。奥の院に行く道には歴史上の人物や企業のお墓が並んでいて、金や力に近い空海を見た思いがして、霊験あらたかにはほど遠かった。対照的に途中でたまたま寄った室生寺は、女高野という別名があって、奥の院で納経したのだが、700の石段はきつかったし、山深い感じは高野山よりずっとよかった。高野山では宿坊に泊まったが、宿泊客のほとんどは外国人で、朝のお勤めや一緒の朝食に、なんか変?という感じがした。

forest150-3.jpg・自転車は5月になって、月の半分ほど走っている。立て続けにパンクをしたから、タイヤも交換した。そうすると、今迄より数分早く走れるようになって、河口湖も西湖も、今迄の最速タイムに近い時間で走れるようになった。もちろん、温かくなったことや風がなかったことも影響しているのだが、タイヤの違いもあるのだと思う。今まで、何かを交換して、走りが全然違うといったコメントはあまり信用しなかったが、確かにそんなこともあるな、と改めて思った。それにしてもロードバイクのタイヤ交換はなかなか難しい。これまでにも失敗して交換中にパンクをしてしまったこともあったが、今度も、チューブが噛んでいたのか、走っていてごつごつ感があって、一晩経ったら空気が抜けてしまっていた。

forest150-4.jpg・山歩きというほどではないが、パートナーと一緒にあちこち歩いてもいる。室生寺の700段は、そうとは知らずに一緒に登ったのだが、彼女には相当ハードだった。そのほかに、去年も登った西湖の紅葉台に行き、篭坂峠の矢筈山にも2度行った。山椒バラが目当てで、一回目はまだ蕾だったから二週間後にまた行ったのだが、今度は散りかけだった。矢筈山は富士山が目の前で、一回目の時には雲間から富士山が顔を出し、愛鷹山から駿河湾、そして伊豆半島まで一望できた。もっとも眼下の須走には自衛隊の富士学校と東富士演習場があって、大砲の音が絶えず聞こえてきた。ウグイスやホトトギス、あるいはカッコーの鳴き声が聞こえてくるのに、興ざめのドカーンだった。

forest150-5.jpg・八ヶ岳の白駒の池は八千穂高原から蓼科に抜けるメルヘン街道の麦草峠の近くにある。八ヶ岳連峰の中で一カ所だけ2000mを超える所まで車で行ける場所だ。八ヶ岳に登るにも便利だが、白駒の池周辺も最近では人気の所になっている。深い原生林にびっしり苔が生えていて、岩だらけの道を高見石まで登ると眼下に白駒の池があって、周囲360度のパノラマの世界が見渡せる。休日には大渋滞するほどだが、平日でも、駐車場から池までのコースは人で混雑していた。

・梅雨入りしてから天候が不順になった。去年は空梅雨だったから、自転車も山歩きもせっせとやったが、今年はどうか。7月の末から白神山地に行く予定にしている。それまでに梅雨明けしてくれるといいのだが、どうだろうか。

2018年6月11日月曜日

寄る年波

 

・仕事を辞めて、毎日が日曜日の暮らしになりました。体力が落ちぬよう、贅肉がつかぬよう、自転車に乗り、家のメインテナンスや庭仕事、そしてもちろん家事にも精出しています。あちこち出かけて長時間のドライブなども、まだまだ大丈夫と自信を持っています。しかし、寄る年波というほかはない、体の変調に悩まされ始めてもいます。

・毎年の健康診断で、聴力が落ちていることを指摘されたのは数年前でした。確かに、声の小さな学生の話が聞き取りにくいと感じ始めたのもその頃でした。その症状は確実に進んでいて、最近ではテレビのボリュームを一つ二つ上げたくなることが多くなりました。ところがパートナーの耳は良く聞こえるようですから、僕が上げれば彼女が下げるといったことになって、諍いの原因になっています。もちろん、まだ補聴器を必要にするほどではないのですが、聞こえにくくなっていくのは避けられないでしょう。

・耳については別の症状を最近経験しました。夜寝ていて寝返りをうった際に、ベッドが斜めに傾いていくような感覚に襲われました。慌てて反対の側に寝返ると、やっぱり同じようにベッドが傾いて、驚いて目を覚ましてしまいました。寝ていて頭を左右にふると、自分だけでなく、世界も傾いてしまう。さっそくネットで調べると、「頭位めまい症」で、高齢者に多い症状のようでした。耳の奥には耳石という頭部の傾きを感知するものがあるのですが、老化によって耳石の一部がはがれ落ちることがあるようです。

・「頭位めまい症」は、リンパ液で満たされた三半規管の中で、頭を動かした後でも、はがれた石がまだ動いておきる症状です。直すにははがれた石を取る必要があるのですが、頭を左右に振って寝返り運動をくり返せば、細かくなったり溶けたりしてなくなるとありました。さっそく試したところ症状は出なくなりました。気圧に対して敏感であるなど、三半規管は以前から丈夫ではないので、これからも気をつけなければならない箇所だと思いました。

・また、これも昨年あたりから自覚するようになったことですが、寒い日に自転車を走らせていて、手や足にかゆみを感じるようになりました。そのうちに歩いていても痒くなることがあって、赤い湿疹が出るようになりました。体のほてりがなくなれば、かゆみも湿疹も消えてしまいます。これもネットで調べると「温熱蕁麻疹」だとありました。体が温まった時に外気との温度差に皮膚が過敏に反応して起きるようです。風呂に入っても出る症状のようですが、これはまだ大丈夫です。

・抵抗力がなくなって敏感になっているといえば、山芋をおろした時にも、手が痒くなるようになりました。まったく大丈夫だったので、すぐ手を洗うこともしなかったのですが、すり下ろしながら頻繁に手を洗うようになりました。花粉症とも無縁だったのですが、最近目がしょぼしょぼするようにもなりました。我が家は森のなかにあって、杉や檜、あるいは松の花粉で、車が黄色くなるほどです。今迄はなんともなかったのですが、これからひどくなったら、ここには住めなくなってしまいます。

・最後に頻尿。膀胱にしっかりたまるということが減って、すぐに尿意をもよおすようになりました。家にいる時はどうということはないですが、外に出かけたら、いつでもトイレを探して、早めに済ますよう気をつけるようになりました。何しろ、ちょっともよおすと、すぐにがまんできない気になってしまうことがあるからです。放尿する時も、力が入らない感じになりましたし、残尿にはいつも気をつけなければなりません。

・このようなことが続いて、寄る年波には勝てないなあ、とつくづく実感しています。逆らって何とかという気持ちがないわけではないですが、それこそ年寄りの冷や水になるのが落ちでしょう。老化現象は一時的なものではなく、これからずっとつきあわなければいけないものですし、もっともっと、いろいろ出てくるものだと思います。その意味では、やっと出発点に立って歩き始めたと言えるかもしれません。

2018年6月4日月曜日

スポーツにまつわる不可解なこと

 

nitidai.jpg・日大アメフト部の騒ぎは森友・加計問題とそっくりだ。なのに日大ばかりが攻められている。しらを切り続ける安倍首相には、メディアは相変わらず遠慮をしているのに、日大には手厳しい。権力を持っている者が、恋々として地位にしがみついている。下の者はことの善し悪しを判断せず、唯々諾々とそれにしたがうのみ。両者は双子のように酷似している。ただ違うのは、タックルした学生の潔い会見だ。安部に仕える政治家や官僚からは、自己の良心に従って発言する者などは、出そうにない。アメフトの関東学連という第三者機関が監督やコーチを裁いたことも、森友問題を不起訴にした検察とは大違いだ。もちろん、メディアの弱い者いじめもいい加減にしろと言いたくなる。とは言え、日大が、学長よりは理事長が実権を握っていて、教員よりは職員や体育会の方が力が強いことを、改めて知らされた。こんな大学に勤めなくて良かったとつくづく思う。

honda1.jpg・スポーツにまつわるおかしな出来事は、ほかにもいくつもある。もうすぐサッカーのワールド・カップが始まるが、監督のハリル・ホジッチが更迭された。その理由は最近の敗戦ではなく、代表選手との間でコミュニケーション不足があったというものだった。選手の中には疑義を呈する者もいて、一体、誰との間にコミュニケーションが不足していたのかはっきりしないままの解任だった。監督批判をサッカー協会に直訴したのは、代表から外されがちだったベテランだったともいわれている。あるいは有名選手を外したのでは、代表試合の中継の視聴率が下がってしまうといった、メディアやスポンサーの圧力なども聞こえてきた。なるほど、名のあるベテランがそろって代表に選ばれて、成長著しい若手が外された。ブラジルでさんざんだったビッグ3だか4に今度もまた頼るのだから、これでは興ざめで、応援する気にもなれない。

ichiro1.jpg・イチロー選手が選手登録から外れて、今年はプレイできなくなった。ただし解雇ではなく生涯契約をして、来年以降は選手登録が出来るという。今年もチームに帯同して、練習には参加してロッカーも持てるが、ベンチには入れないようだ。イチローはこの契約に感謝しているが、今ひとつよくわからない。事実上の引退で、来年開幕戦を日本でやるから、その時の目玉にするつもりだとも言われている。レギュラーが故障してキャンプ中に契約したけれども、その選手が戻ってきて空きがなくなった。とは言っても、即解雇は出来ないから、それらしく格好だけつけた。そんなものではないかと思う。五十歳まで現役でという希望はどこにいったのだろうか。

iniesta.jpg・ヴィッセル神戸がバルセロナのイニエスタを獲得した。「すごい、楽しみだ」という声がメディアには溢れている。しかしこれもしっくりこない。年俸が32億円だというが、これは神戸の全選手の年俸を上回っている。しかも彼のバルセロナでの年俸は10億円だったというから、破格というほかはない。さらに、イニエスタはゲームメーカーであってストライカーではない。味方の選手を使って点を取らせることには秀でているが、それに対応できるメッシやスアレスのような選手が神戸にいるわけではない。宝の持ち腐れがいいところだろう。もっとも神戸の親会社は楽天だから、広告費と思えば高くないのかもしれない。何しろ楽天はバルセロナのユニフォームに「RAKUTEN」とつけるのに四年間で260億円も払っているのである。

tochinosin.jpg・最後は大相撲。貴乃花問題でうんざりするほどメディアを賑わしていたのに、弟子の暴力事件が発覚した途端に沈静化してしまった。横綱の引退まで引き起こしながら、あれは一体何だったのかと思う。土俵に女を上がらせないといった態度についても、その説明には釈然としないものがある。日本の国技、伝統、あるいは神事だからなどといった理由をあげるが、相撲は本来興業であって、見世物に近いものだった。スポーツとして近代化させるために、国や神や伝統を借りたのだから、今度は男女同権や性差をなくすという現代的な流れに対応するのが賢明だろうと思う。こんな不祥事が続いて、僕は大相撲を見なくなった。ただし前から好きだった栃ノ心が急に力をつけて大関になった。その一番だけはネットでチェックしている。

ohtani1.jpg・こんな不祥事や不可解な事が続発する昨今のスポーツだが、それだけに余計に大谷選手の活躍と彼の野球に対する姿勢が救いになる。開幕時の華やかな活躍に比べると落ちついてきているが、その実力は見ていても頼もしく思う。ニューヨークでは激しいブーイングを受け、さっぱり打てなかったし、登板も回避したが、メッキがはげたわけではないし、大事に使われていることが改めてわかった。浮かれたメディアに惑わされることなく、充実したシーズンを過ごして欲しいと思う。何しろ分業が当たり前になったメジャー・リーグに登場した、投げて、撃って、走れるオール・ラウンドでツー・ウェイのプレイヤーなのだから。