1999年11月9日火曜日

秋の風景




  • 夏休みを河口湖で過ごしたあとも、毎月一回4〜5日ほど訪れている。今年はいつまでも暖かいが、それでも、来るたびに陽の光や空気や景色が変わっていくのがわかる。で、11月の初旬はと言うと、山の上だけだが、ご覧のような見事な紅葉だった。場所は太宰治の「富士には月見草が似合う」で有名な御坂峠の茶屋のあたり。今は河口湖と御坂の間は長いトンネルで一走りだが、昔はカーブの多い細い道を越えなければならなかった。残念ながらこの日は富士山が隠れていたが、紅葉の向こうに湖という風景はやっぱり美しかった。




  • 家のログと屋根の隙間にミツバチが巣を作っていた。たまたま見たテレビで、野生の日本ミツバチだということを知って、8月から気になってよく見ていたのだが、飽きないのは巣を襲うスズメバチとの闘いだった。からだの小ささを何匹もで力を合わせてカバーする。そのチームワークの見事さに口を上げていつまでも見とれていた。
  • そのミツバチが何匹も家の中で死んでいた。どこかに中に入る道でもあるのだろうが、探してもよくわからなかった。夏に比べたら、ほんのわずかになったが、ハチはまだ飛び回っている。穴をふさごうか、来年もまた見物しようか、迷っている。

  • ハチに代わってやってきたのがかわいいお客様。伊藤家のヒビキ君はまだ8カ月でもうすぐハイハイをしはじめるところだ。これからがやんちゃな盛りで、目が離せないが、また這った、立った、歩いた、喋ったとかわいい時でもある。
  • ぼくは久しぶりに彼をだっこして「高い高い!」をやったために、二の腕が筋肉痛になり、笑顔に応えて、不断使わない顔の筋肉を使ったためか、帰ったあとはぐったり疲れてしまった。

  • 疲れたと言えば薪割り。ストーブに使う薪はやっぱり自力で調達と意気込んで、チェーンソウも買ったのだが、赤松や杉の倒木はとてつもなく重い。それを30cmほどに切って、今度は鉈でまっぷたつ。これがまたなかなか大変で、節のあるやつはなかなか割れてくれない。朝から始めて気がついたらもうお昼、などという日を、結局は毎日過ごしてしまった。ところが、苦労してつくった薪も、いざ燃やしてみると、一晩で一山も使ってしまう。上に写っている薪の山もせいぜい4日分といったところで、来年住み始めたらやっぱり灯油ということになるのかな、と思うと、ストーブや鉈やチェーンソウが恨めしくなる。
  • 火と言えば、カミさんは七輪を使った陶芸に夢中だった。七輪に炭を詰めてその上に陶器を置く。上からアルミ箔や一斗缶で覆いをして、ドライヤーで風を送る。そうすると、土が見る見る真っ赤に焼けてくる。それを新聞紙にくるんで還元。焚き火の灰をまぶすと、ところどころガラス質になっていたりして、なかなかのものだった。ちなみに七輪は1200円で調達したものである。



  • あとは付近の散歩。ぼくは毎朝、新聞を湖畔のコンビニまで買いに行ったのだが、いつも霧がかかっていて、霜も降りていた。しかし、太陽が高くなり始めると霧も晴れて雲一つない青空。パラグライダーが気持ちよさそうに舞っていた。稲刈りの済んだ田んぼ、近隣の集落には火の見梯子(?)と半鐘、そして樅の木になった赤い実。ぼくは子どもの頃に食べたことを思い出して、たまらなく懐かしかった。
  • 次に行くときはもう初冬、今度はどんな風と陽の光と風景が待っているのだろうか。
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    unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。