2001年3月5日月曜日

スネイル・メールで「ほんやら洞通信」

  • 勤務先の東経大から国分寺駅に行く途中に「ほんやら洞」という喫茶店がある。フォーク・シンガーの中山ラビがやっている店で、ぼくは彼女とは高校時代からの友人である。電車で通勤していないからめったに行かないが、60年代のサブ・カルチャーの雰囲気そのままに、客層も個性的な人が多い。東経大の教員にも常連がいるようだ。
  • 「ほんやら洞」は最初京都に作られた。もう30年近く前のことだ。御所の北側で同志社大学の並び。近くには出町という古い商店街があり、加茂川と高野川が合流して鴨川になるところには三角州もある。ここに広島県岩国市の米軍基地前に反戦喫茶「ほびっと」を作った連中が、自分たちのたまり場として喫茶店を作った。詩の朗読会やフォーク・ソングのコンサート、あるいは政治的な問題をテーマにした集会などが開かれたが、ここはぼくにとっても大学院生の頃の行きつけの店だった。
  • 最初からのメンバーで長いことマスターをやっていた甲斐さんは、持ち前のだらしなさを理由にここを追い出され、木屋町に「八文字屋」という飲み屋を開いた。こっちはこれまた持ち前のプレイボーイと有名人好きが幸いして、話題の店として紹介されたり、常連が数多くついたりして、意外にもつぶれることなく繁盛してきたようだ。そんな力量が見直されたのか「ほんやら洞」の経営が難しくなって、甲斐さんがマスターとして戻ることになった。
  • ぼくは去年から勤務先が変わって、今年は引っ越しもしたから、「ほんやら洞」についてのそんな話は風の噂に聞いた程度だった。「ほんやら洞」にはもう10年以上も行ったことがなかったし、外で酒を飲むことは好きではないから、「八文字屋」にも開店当初以来、顔を出すこともなかった。そんなご無沙汰状態だったが、「ほんやら洞通信007」が郵便(スネイル・メール)で送られてきた。
  • 内容は80頁もあって、15人ほどの人が原稿を寄せている。ほとんどが連載で、やっぱり有名人や一風変わった人が多い。それぞれおもしろいが、ぼくにはやっぱり甲斐さんの日記「カイ日乗」がおもしろかったし、昔をふりかえる「ほんやら洞・思い出すまま」が懐かしかった。というよりも、日記の中に懐かしい名前が次々でて、いまだにそんなつきあいしているんだ、と思ってしまった。もうほとんど忘れかけた世界が目の前に再現される感じ………。
    最後の最後に、今日2度目の早川正洋さん、マサヨさんとくる。例にバカ話。なぜ我々がカイさんをカイさんと呼び、尊敬に似た気分をもっているかと。ちょっと、となりの客に絡むというか、小声で、バカ呼ばわりというか、バトウしていた。変わらぬご仁だ。
  • 早川さん!! 懐かしいね。生きてたのか。でもぼくは会いたくないね。彼は京都「ほんやら洞」の初代店長で、やめた後に国分寺「ほんやら洞」を作った人だが、そんな名前がほかにもずらずら。やっぱり、これからも「八文字屋」や「ほんやら洞」に行くのはやめとこう。でも「ほんやら洞通信」を読むのはなかなかおもしろい。二つの店の掛け持ちで甲斐さんは大奮闘のようだ。「二兎を追うものは一兎も得ず」というから心配だが、どうか体をこわさずにうまくやってほしいと願うばかりである。
  • ついでにもう一つ、どういうわけか京都のフォーク・シンガー古川豪が10月に東京の国立でコンサートをやるらしい。その誘いの通知が手紙で届いた。その他にもEmailでは中川五郎がコンサートのお知らせを送ってくれている。ぼくは河口湖に住んで田舎暮らしをしているから、一人でいることの心地よさを感じるようになって、ますます出不精になってしまった。だから東京に出かけてはいても、コンサートに行く時間はとりにくいし、とる気にならない。つくづく、毎日数十人、あるいは百人を超える人と会っている甲斐さんとは対照的な生活だな、と感じた。
  • 「ほんやら洞通信」は一部400円。興味のある方は(〒602-0832京都市上京区寺町西入ル大原口町229ほんやら洞)にお問い合わせください。
  • 0 件のコメント:

    コメントを投稿

    unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。