2002年1月13日日曜日

Travis"The Invisible Band" "Good Feeling" "The Man Who",Stereophonics "Just Enough Education to Perform"

 

travis1.jpeg・去年の『フジ・ロック』に行った息子から「Travisi知ってるか?いいよ、親父気にいると思うよ」と言われた。Travisは聴いたことがない。「知らないな」と言って、たいした関心も示さないでいると、「『レディへ』好きなんやろ、だったら気にいると思うわ」とさらに勧めてきた。息子は確か、ちょっと前までヘヴィメタ好きだったはずで、部屋から聞こえてくる音は、ぼくには気に入らないものが多かった。「もうちょっとましなもの聴けよ」などと言っても、全然耳を貸さなかったし、リビング・ルームにあるぼくのCDにもほとんど関心を示さなかった。どうやら音楽の好みが変わってきたようだ。そんな気がした。実は変わってきたなと感じたのはそれだけではない。


・子供たちと離れて暮らすようになってもうすぐ2年になる。兄弟仲が良くなかったから、別れるときに、強制的に2人暮らしをさせた。一緒に暮らしているときは、お互いまったく無視という状態だったから、このままではいけないと感じた。抵抗されたが、2人が別々に暮らせるほどの援助をする気はない。渋々納得しての新生活だった。


・そうなると、当然、長男が戸主になるわけで、さまざまな手続きなどに責任を持たなければならないし、親からの仕送りの負担も気になりはじめたようだ。次男の相変わらずの甘ったれぶりを見ると、お互い責任分担をしてとは言うけれども、自覚のちがいは歴然としている。そんなところが、音楽や映画の好み等にもあらわれはじめている。これはおもしろいな、と思った。

travis2.jpeg・ Travisのデビューは97年で、一年おきにアルバムを発表して、いままで3枚。聴いた感じは悪くなかった。静かだし、メロディもいい。何より好感を持ったのは、アコースティック・ギターやバンジョー、あるいはハーモニカなどがつかわれていて、フォークやカントリーの雰囲気が強い点だった。デビュー・アルバム"Good Feeling"の1曲目は"All I want to do is Rock"という題名で「やりたいのはロックだけ/別の日には別のことをやっているかもしれないけれど/今日は、どこにも行かずに、とにかくロック」という内容だ。しかし、サウンドは決してギンギンのロックではない。


・Travisはイギリスのバンドだ。ぼくは最近の新しい傾向には疎いから、確かなことはわからないのだが、割と気になっている RadioheadとStereophonicsもやっぱりイギリスで、三つのバンドにはいくつかの共通点があると思った。これが最近の傾向だとすると、アメリカとイギリスのちがいがものすごくはっきりしてきて、

ぼくの関心は、ますますイギリスに向いてしまうということになる。

stereophonics3.jpeg・共通点の一つは、まずメロディ重視、これはビートルズ以来の一つの伝統なのかもしれないが、とりわけ特徴的で、なかでもTravisは一番の売り物にしているように感じた。次は、サウンドの工夫。一番はっきりしているのはRadioheadで、これはよくいえば実験的、しかしへたをすると精神錯乱的なごたまぜ。三つのバンドのなかでは「プログレ風」といったところだろう。Stereophonicsはロックだ。一歩間違うと、うるさすぎてぼくには聴けないものになってしまうが、そのぎりぎりのところで、耳を傾けたくなるものになっている。で、Travisはカントリー。これも一歩行き過ぎると単なるイージーなポップという印象を受けかねないが、そうならないところに、うまくとどまっている。


・三番目はことば。三つのバンドとも、それほどたいそうなことを唄っているわけではない。ラブソングが多いし、青年期特有の自我やアイデンティティの悩みも多い。しかし、それぞれに、おもしろい表現もあって、ことばを大事にしていることはよくわかる。


travis3.jpeg ヤー、日記さん/どうしたのって?
行間では調子いいのにって
心配ない/助けがむかってるところだ
文は空に浮いていて、道の途中なんだ
大丈夫/行間では調子がいいんだから(Travis "Dear Diary")

・詳しくふれなかったが、Stereophonicsの新しいアルバム"Just Enough Education to Perform"もなかなかいい。U2のボノほどセクシーではないけれど、ケリー・ジョーンズのハスキーな声は、たぶん若い人のなかでは一番だろう。それを生かす、ちょっと抑えたサウンドになっているのがとっても効果的だと思った。

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