2002年7月1日月曜日

携帯その後

  • 携帯を使いはじめてから3カ月がすぎた。で、どうかというと、電話はかかってこないし、メールも来ない。充電を忘れるし、持って出かけることも忘れる。もうほとんど不要品になっている。
  • もちろん、はじめから電話をするために買ったのではない。誰にも番号を教えていないし、自分からかけることもほとんどない。一番の理由は大学に届くメールのチェックで、PDA(手帳)につないで使うことが目的だった。しかし、これが何ともやっかいなことになった。
  • 授業がはじまると学生に課題を出しはじめた。メールで提出させるのだが、今年度は「書き方表現法」でDTPソフトの「PageMaker」を使うことにした。文章の練習だけでなく、それを新聞や雑誌の紙(誌)面のようにレイアウトする練習をしてもらおうと思ったからだ。
  • 文章は人に読ませるものだから、当然、書く内容や文体、あるいはことばの使い方だけでなく、見た目にも気を配る必要がある。題名をどうつけるか、どのくらいの大きさのどんな種類の文字を使うか、写真やイラストは必要かどうか、縦書き、横書き、罫線、余白と、これがなかなか大変なのである。
  • 文章論で、このようなことまで教える人は少ないが、実際に新聞や雑誌の仕事をしはじめれば、それを無視しては記事は書けない。昔のように本文や見出し、あるいは罫線などを切り張りしたり、活字を拾って版組みした時代とちがって、今はどこでも、パソコンでやっている。ジャーナリストになるのはなかなかむずかしいが、なりたいと希望する学生は少なくない。だったらやっぱり、経験させてみる必要はあると思っている。
  • そんな理由で、「書き方表現法」を担当し始めたときからこれをやりたかったのだが、これができる機種はマッキントッシュで、大学でそれが使える教室には、登録した学生を収容することはできなかった。だから、希望者だけ募って補習という形でやったりしてきたのだが、去年パソコン教室のウィンドウズが機種を入れかえたのを期に「PageMaker」をいれてくれるように要望して、今年度から授業で使えるようになった。
  • ウィンドウズは久しぶりでやりにくいこともあったが、今年は運良くTA(ティーチング・アシスタント)もつけてもらった。よくわかっている院生で、ずいぶん役に立って順調にいったから、頁のレイアウトをして印刷して提出というだけでなく、PDFにしてホームページで紹介することにした。で、ぼくのところにメールに添付して提出。
  • 受講者は30人で、毎週手順通りに作業をこなす学生は半分ほど。一週遅れが数人いて、時たま顔を出してはだいぶ遅れて提出するものがまた数人。残りは、もうあきらめたのや、最初からとるつもりのない者たち。提出された課題は研究室に戻って処理するのだが、どうしても、遅れて出す学生が毎週いる。
  • 携帯でやっかいなことになったのが、この遅れて出された課題だった。PDFのファイルは数百キロから1メガを超えるものになる。携帯で大学のサーバーにアクセスしたときにこれが届いていると、ひとつのファイルにつき10分も20分もかかってしまう。100キロを超えるものはダウンロードしないという設定にしても、どういうわけか拾ってしまう。
  • こんなことが何度かあって、メールをチェックするのは大学か自宅のパソコンだけにしたのだが、そうなると、もう携帯を使う必要はほとんどない。たまに人と会う時や、家族への連絡に時折つかうだけで、用のないものをポケットに入れておくのがだんだん面倒になってしまった。で、そのうち忘れて出かけることになり、特に困らないから、持たないのが普通になってしまった。
  • こんな経験から思うのは、<携帯>というのは必要だから持つというものではなくて、<携帯的な関係>を作りたいから必要になるし、そのような関係にはまってしまえば、もうなくてはならないものになる、ということだ。で、ぼくにはその<携帯的な関係>が必要には思えないし、面白そうにも感じられなかったということだ。
  • ついでに、PDAについても一言。アメリカでは携帯機能のついたものが売り出されているが、日本では一体型はない。いちいちコードでつなぐ面倒と遅いスピード、高い接続料金。それに老眼が進んで見えにくい画面にもちょっと嫌気がさしている。小型のノート・パソコンもまだまだ中途半端で、これと思うような道具にはなれそうもない。システム手帳にもどそうかな、などと考えたりするが、すでに半年すぎた2002年のカレンダーや日付入り予定表、あるいはメモ用紙などを買うのもあほらしい。
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    unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。