2002年7月29日月曜日

暑中見舞い

 

・今年は河口湖も例年になく蒸し暑く感じます。昼は、素麺や冷麺が食べたくなります。相変わらず、富士吉田のうどん屋巡りをしていますが、頼むのはもっぱら、冷やしうどん。店屋によって違いますが、大根おろしとわさびに天かす、それにゆでキャベツが定番です。冷たいうどんはいっそう硬くて歯ごたえがありますが、店によって微妙に感触が違うので、同じ店ではなくて新しいところに行くようにしてきました。しかし、気に入った店がいくつかできましたから、そろそろなじみの店に固定しようかと思っています。


・今年の土用の丑の日は20日。しかし土曜日で混雑が予想されましたから、鰻は21日に食べに行きました。河口湖駅前の川津屋さんで、ここには引っ越して以来、時折通っています。350円のうどんと違って2000円ですが、それでも東京で食べるよりは安くて、何よりおいしいです。お茶をつぎにきてはいろいろ世間話をするおばあちゃんがいて、フィリピン人のダリーさんと2歳の息子の海人(かいと)君がいます。


・21日の夕方に行くと「昨日は品切れになって、大変だった。予約のほかに飛び込みのお客さんがはいったから」とダリーさん。しかし21 日は客も数人。忙しいのは悪いことではないけれど、何も同じ日に苦労して食べなくてもいいのにと思ってしまいました。何しろここの鰻は、客の注文を受けてから、水槽で生きているのをつかまえ、さばいて、串にさして、蒸して、焙るのです。誰も客がいなくても、食べられるまで30分はかかります。


・ときどき、観光客と一緒になりますが、いつまでたっても出てこない鰻に、ソワソワ、ハラハラしている様子に出会います。電車やバスの時間を気にしているのでしょうが、鰻重が吉野屋みたいにすぐでてくると思っていたのでしょうか。もっとも、東京で鰻屋にはいっても30分はかからないように思います。おそらく最初から串にさして、蒸してあるのでしょう。しかし、これでは鰻のおいしさは半減です。ぼくは川津屋に行くときには、いつでも、家から電話で注文して出かけることにしています。これだと、ほとんど待ち時間なしで食べられます。

forest18-1.jpeg・仕事は22日で終わりました。授業はとっくに終わっていたのですが、会議の連続、パーティ、それに研究室の引っ越しなどで、蒸し暑い東京に行くこともしばしばでした。段ボール箱をもった拍子にちょっとギックリ腰になりかかりましたが、軽くて助かりました。夏休み明けには研究室が1.5倍の広さになります。3部屋を2部屋に改造するからで、広くなるのは歓迎ですが、鍵型になるので使い方には工夫が必要になります。


・で、休みに入って1週間。今は翻訳の最終チェックをする毎日です。お盆までには何とか仕上げてしまおうと、がんばっているところです。直すところはほとんど表記の統一なのですが、いくつか笑ってしまうような誤訳がありました。


・アドルノのポピュラー音楽批判についての部分で「ブッシュマンの祭日」と訳したところがあって、アドルノが野蛮な行動の象徴として使っているのだとはやとちりしました。しかし、実は「バスマン(運転手)の休日」だったのです。ポピュラー音楽を野蛮なものと切りすてるのはアドルノがよくすることですが、ここでの意味はバスの運転手が休日にもまた、車を運転して過ごすということで、働くことと余暇を過ごすことのあいだに、何のちがいもないという主張だったのです。


・こういうのは、一度訳してしまうと自分では気づきにくいミスで、編集者のていねいな校正に感謝するばかりです。翻訳は夜なべ仕事で、時には眠い目をこすって一日に1段落だけやっておしまい、なんてこともよくあります。調子のいいとき、悪いときなどもあって、訳文にばらつきもでてしまいます。ミスを指摘されるのは気分のいいものではありませんが、見つけてもらわないと、後でもっと困ることになってしまいます。


・そんなわけで、原稿の読み直しは念入りに。そのためというのではありませんが、テラスに置く椅子を買いました。カナダ製で、組みたてなければならなかったのですが、見た瞬間に気に入って衝動買いしてしまいました。組みたててしばらくは居間に置いて使っていたのですが、大きすぎて邪魔になるので、外に出すことにしました。白木にヤスリをかけて、ニスを塗って、今はもっぱらそこに座って訳の点検作業をしています。ちなみに、この椅子の名は「ゴシップ・チェア」。二人用で、あいだに小さなテーブルがついていますから、おしゃべり好きの人が二人座ったら、いつまでも話が終わらないかもしれません。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。