・相変わらず、AOLへのジャンク・メールはひどい。ほとんどがアメリカからのもので、アドレスの変更をするか、AOLをやめてしまうかどうか迷っている。対照的に大学宛のメールには怪しいものは少なくなった。携帯メールにはアドレスの工夫が功を奏したのかへんなメールはまったく来ない。前回も書いたが、ほとんど用なしでほったらかしてあるから、オフ・モードのままで何日もといったことがしょっちゅうある。必要になるのはだれかと会う約束をしたときとか、パートナーと出かけたときにする居場所の確認。あるいは子どもとの時折のやりとりぐらいだ。ぼくにとっては、そんな存在感のない携帯だが、ちょっと前にとんでもないめにあった。
・パートナーと二人で遠距離ドライブをしていた時のことである。彼女の携帯がアダムス・ファミリーの音楽を鳴らした。ところが、電話に出るともう切れている。例によってワン切りかと思ったが、電話番号を見てびっくり。何とわが家からかかってきているのだ。いったいどういうことか。二人で考えこんでしまった。いま、わが家には誰もいないはずで、そこからかかってくるということは、誰かが侵入したということ。しかし、たとえそうだとしても、彼女の携帯番号を知っていなければ電話は鳴らない。そうすると、「留守電にしてきたから、それをチェックすれば『お急ぎの方は………へ』で番号がわかる」と彼女。彼女はもうすっかり、泥棒に入られたと思いこんでしまっている。「どこから入ったんだろう」「鍵はかけたし、窓はどこも二重ガラスで、そう簡単には割れないはず」そんな彼女のことばを聞きながら、はっと気がついた。「あなたねぇ、電話に留守電中の転送をセットしているんじゃないの。」ところが「絶対そんなことはない」と彼女。「じゃー、なぜ泥棒がわざわざ、携帯に電話をしてくるの?」「近所にいるかどうか、確かめてるんじゃない?」「………」
・時間はちょうどお昼。実はアダムス・ファミリーが鳴るまでは、昼飯何を食べようかという話をしていたのだ。とにかくぼくは空腹だ。で、車を停めてラーメン屋に入った。ぼくは冷やしラーメンを注文してがつがつと食べたが、彼女はちっとも箸がすすまない。温かいラーメンだから、麺がどんどんのびてしまう。もったいないからそののびた麺を、ぼくが食べた。「近所のKさんに見に行ってもらうわ。」彼女は携帯で、Kさんにことの次第を話す。しばらくすると、Kさんから別に変わった様子はないという連絡が来る。窓から中を見ても、人がいる気配はなかったようだ。「でもどこかに隠れているのかもしれないし、外からは見えないところにいるのかもしれない。」不安は少しも解消されない。で、ドライブは取りやめて、急遽帰ることにした。
・宿泊予定を携帯でキャンセルし、Kさんにも「帰る」という連絡を入れる。泥棒が入ったとしたら、何を盗るか。現金はないし、モノは持っていかないだろう。そうすると心配になるのは預金通帳。「ハンコは一緒?」とぼくが聞くと、「そうだ」と彼女。そういう話になると、また新たな心配で頭は一杯になる。で、連絡して、引きだしをストップしてもらう手続きをする。もちろん携帯だが、あちこちとたらい回しにされる。車は高速道路を突っ走っているから、途中でつながらなくなってしまったりもする。ため息、イライラ。何回も電話して、やっと手続き完了。やれやれ………。
・都内の渋滞に巻きこまれたり、道を間違えてうろうろしたりして、やっとわが家に戻ったときは、もう暗くなっていた。ぼくは車に入れてある登山用のステッキ、彼女は折り畳み傘を手に持って玄関の扉を開けて中に入る。明かりをつけて用心深く中へ………。居間にもキッチンにも風呂場にもいない。ゲストルーム、2階の書斎、それから寝室とすべてを確認して、誰も侵入していないことを確信した。特に荒らされた様子もない。やっと、ほっと一息。
・留守電になっている電話を確認すると、携帯にかかってきた時間に一件入っていた。やっぱり転送のセットをしていたのか、と思ったが、パートナーは記憶にないという。翌日にNTTで調べてもらうと、転送以外には考えられないという。マニュアルをみながら確認すると、転送のセットがしてあった。やれやれ………。
・電話に限らず、いろいろ便利な機能がついていて、これはいい、おもしろいとセッとしてみることが多い。覚えていれば、どうということのない機能だが、いったん忘れてしまうと、とんでもない不安を呼び込んでしまう。歳のせいか、最近、二人とも物忘れが激しい。何かを思いついて居間から2階の書斎に行く。階段を上がりながら、何をしに来たのか迷ってしまう。書斎を見回して下に戻る。すぐには思い出せない。で、しばらくすると、ハッと思い出す。そんなことが日常的だから、特に必要でもない便利な機能はセッとしないこと。それが今回の珍事件の教訓である。
・携帯について奇妙なケースをもう一つ。これもドライブ中のことだ。運転しているぼくの携帯が珍しく鳴った。運転中だからとパートナーに渡したのだが、どうしたらいいのかわからないからと何もしない。もう長時間の運転でくたびれていたこともあって、ぼくはかっとして口喧嘩になった。それで家につくまで二人は無言。着いてから携帯をチェックすると、何とパートナーからの電話だった。「あなたからだよ」「どうして?」パートナーの携帯もチェックすると、同じ時間に発信した記録が残っている。二人が車に同乗していて、一方がもう一方に電話をした。受けた携帯は確かに鳴ったし、記録にもそう残っている。しかし、実際には、そんな電話はしていない。この怪の理由はいまだに突きとめられていない。
・ぼくにとってやっぱり携帯は、無用の長物、というよりはやっかいなものでしかない。そんなことを再確認した二つの事件だった。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。