2005年7月5日火曜日

Warren ZevonとPete Yorn

 

zevon2.jpg・ウォーレン・ジヴォンは70年代後半にデビューしたミュージシャンだが、僕は全然知らなかった。ジャクソン・ブラウンと同世代のようだ。そのジヴォンが2003年に肺ガンで死んで、翌年にその追悼盤が作られた。享年56歳、また僕と同じ年齢だ。僕はたまたまディランのCDを検索していて、これを見つけた。"Enjoy Every Sandwich"。参加しているのはディランの他にスプリングスティーン、ジャクソン・ブラウン、ドン・ヘンリー、スティーブ・アール、ライ・クーダー、ボニー・レイト、ザ・ウォールフラワーズなどそうそうたる人たちで、僕はジヴォンが誰かわからぬままに買った。
・スプリングスティーンが歌う前にジボンのことを話しているが、そこでグレイトということばを3回もくりかえして、ソング・ライターとしての実力を讃えている。彼の歌った"My rides here"は聞き覚えがあると思ったら、9.11の追悼番組でも歌われたものだった。これだけのメンバーが集まったこととあわせて、確かにすごい人なんだろうということはわかった。それぞれが歌っている曲はジボンのものだが、なるほどいいものがある。特に、ディランの歌った"Mutineer"(反逆者)はじっくり聞き惚れてしまう感じだった。息子のジェイコブ(ザ・ウォールフラワーズ)も歌っているから、ジヴォンとディランは家族ぐるみのつきあいだったのかもしれない。そんなことを勝手に想像しながら聴いた。

zevon1.jpg・ジヴォンは余命が3ヶ月だと宣告されてから、最後のアルバム"The Wind"を作っている。グラミー賞のフォーク部門で最優秀アルバムに選ばれているが、これにも大勢の人の協力があったようだ。ディランの「天国の扉」がおさめられ、"Disiorder in the house"ではスプリングスティーンが加わっている。笑い声もして楽しげだが、それだけにいっそう、最後の命をふりしぼって作ったことがわかる。そう思って聴くせいもあるけれども、じーんとしてしまう。

影が落ちて 僕は息が絶える
ほんの少しだけでいいから、君の心にぼくを残しておいて
僕がいなくなっても、君を愛さなくなったなんてわけじゃない
ほんの少しだけでいいから、君の心にぼくを残しておいて
"Keep me in your heart"

yorn1.jpg・追悼盤で初めて聴いたピート・ヨーンが気になった。amazonで調べたら、有望な若手と書いてあった。で、さっそく2枚、デビュー・アルバムの"musicforthemorningafter"とDay I forget"購入した。ピートとジヴォンはずいぶん違う。ジヴォンはしわがれ声でいかにもアメリカ人らしい歌い方をする、オーソドックスなフォーク・シンガーだが、ピートにはイギリスの香りがする。最近のCold PlayやTravis、あるいはRadio Headに共通するサウンドや歌い方を感じる。ライナーノートを読むとモリッシーに影響されたようだ。
yorn2.jpg・最近のアメリカの音楽事情は、ラップ以外はほとんど話題にもならないが、フォークのジャンルにも若い世代が育っている。新しい傾向を吸収しながら、上の世代とのつながりもある。そんなことを改めて感じさせるミュージシャンだ。


時間はあったのに 彼女は彼に会わなかった
で、間違いは 彼女が彼を必要としていたことだ
他に救いの手はなかったから 彼と彼女は連絡を取り合った
「君の息子のことはわかった」と彼は言った
子どもの話を聞いて 急に歳とったように感じた
やることがいっぱい でも、時間はある
"So much work"

springsteen.jpg・ついでに、というわけではないが、ブルース・スプリングスティーンの新しいアルバムも出た。"Devil & Dust"。ソロで生ギターだから"the ghost of tom joad"以来の静かでじっくり聴かせるものになっている。DVDが付録していて、CDと裏表で一枚。初めて見た形だが、ケースの形もおもしろい。貧しい者、敗れた者へのシンパシー。アメリカにロック・ミュージシャン出身の大統領が生まれるとすれば、間違いなくスプリングスティーンがその第一候補だろう。聴きながらふと、そんなことを思った。
 

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