2005年7月19日火曜日

ネット予約の便利さと不安

 ネットでの買い物が当たり前になって、クレジット・カードの情報を提供することに抵抗感がなくなってきた。と思っていたら、アメリカでカード情報が盗まれる事件が起きた。VISAやMASTERは世界共通だから、当然、日本にも害は及ぶ。特に海外旅行をして買い物をした人は気をつけるようにと言われて、とたんに不安になった。3月にハワイに行っているし、海外のサイトで買い物もしている。さっそく連絡して、カード番号を変更してもらうことにした。


今のところ、送られてくる支払いの明細書に不審なところはないから、たぶん大丈夫だと思うが、しかし、不安が完全に消えたわけではない。高額な商品の購入はもちろんだが、外での食事やスーパー、あるいはガソリン・スタンドまで、僕はほとんどカードで払うことにしている。そうすると、店によってサインを求められたり、求められなかったりする。最初のうちは「サインはいいの?」と尋ねることもあったが、最近は慣れて、聞くこともなくなった。しかし、どこかでちょっと、不安に感じてもいた。


アメリカから知人の家族が訪ねてきて、カードが話題になった。そこで指摘されたのは、カード社会になってからの日米の時間差だった。アメリカではカードの不正な利用、悪用は日常茶飯事だから、覚えのない支払いにはクレームをつければ、全額保証される。きちんとチェックをして、不審な点があれば問い合わせをし、おかしければそのように主張する。それができれば、何も不安に感じることはない。そんなふうにきっぱり言われてしまった。確かにそのとおりなのだが、どこかにやっぱり不安感が残るのは、使い慣れていないせいなのだろうか。
夏にイギリス旅行を考えていて、大半は旅行社で手配してもらったのだが、一部に予約のできないものがある。小さな町のホテルやローカルの飛行機などである。バックパックで旅行した20代や30代の頃には、宿の予約などは一切せずに出かけたのだが、最近は、出かける前に旅程を組んで、予約できるものはすべてすませておくことにしている。パック旅行をする気はないが、体力にも気力にも自信がなくなっているから、やっぱり安全志向ということになる。


で、まず、ネットでイギリスからアイルランドに飛ぶ飛行機の予約をすることにした。そうしたら、最終の確認を電話でやれという。僕は自信がないからパートナーに頼んだのだが、出てきたオペレーターが地名を知らないと言う。スペルを言え、と言ってきたりもしたようだ。「アイルランドのコーク、Cork!」「何でこんな事わからないの?」といったやりとりをしていたが、どうも、地元とは関係ないところでやっているようだ、ということがわかってきた。何より、発音にくせがあって聞き取りにくいという。ひょっとしたらインドあたりに予約センターがあるのかもしれない。そう考えはじめたら、信用しかねる気がして、結局、予約はやめることにした。ネットの時代だから、どこにつながり、誰と交渉しているのか、場所はまったくわからない。ニセのサイトでペテンにかけることを「フィッシング」というが、これでは、よほど慎重にやらないと、どこで引っかかるかわかったものではない。そんな状況を実感した体験だった。


次にしたのは、目的地のホテルを探し、値段や空き室状況や評判をチェックしてメールを出すことだった。しかし、なかなか返事がこない。来ても、すでに満杯だというのやら、連休中だから3泊以上でないとだめといったものばかり。それでもあきらめずにいくつか出しているうちに、やっとOKの返事が来た。しかし、確定させるためにはクレジット・カードの番号を知らせろという。支払いを請求するのは宿泊したあとで、今はただ予約が本当であることを確認したいのだという。あちらにすればもっともな話で、勝手にキャンセルなどされたらたまらないだろう。不安な気持ちを感じながら書き込んでメールで送ることにした。


イギリスと日本は夏の間は時差が8時間ある。だから昼間メールを出すと、翌日の朝には返事が届くことになる。予約確認のメールが届いたのだが、念のためにとやっぱり電話をすることにした。ひとつはセント・アイブスというブリテン島の南西の端、半島の突端にあるリゾート地だ。日本の民芸運動の影響を受けたバーナード・リーチやルーシー・リーが陶芸をする場所として選んだ土地である。もうひとつはコッツウォルズのバイブリー。ウィリアム・モリスゆかりの地で、古いイギリスが残された場所だ。ここのお城のようなマナ・ハウスに予約した。


と言うわけで、目下、旅の準備を楽しんでいる。ネットは、あれこれ面倒なことや不安はあるが、必要な情報があっという間に見つけられるし、コンタクトもとれる。旅の経験者のページなどもかなりあって、探し始めると時間のたつのを忘れてしまう。旅程をあれこれ考えて、もうすでに何回も模擬旅行をしてしまった。旅のおもしろさは、まず、プランを立てて、あれこれ思いをめぐらすことにある。ネットはその楽しさを何倍にも増幅させてくれるから、ついつい夢中になるが、こんな調子でやっていると、出発前にくたびれてしまうことになりかねない。 

日時:2005年7月19日

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。