2005年8月9日火曜日

ジャンクでステレオ探し

 

・少し前からステレオの調子が悪くなった。イコライザーの電源が入ったり、入らなくなったりし始めたのだ。昔からの習慣で、ちょっとたたいてみるとライトがついた。そんなことを数日くりかえしているうちに、たたく回数や強さが必要になってきた。上からではダメで、横から、あるいはひっくりかえして裏からと、だんだんエスカレートした。たたきながら、壊れるのは時間の問題だと思った。しかし、聞こえるようにするためにはたたくしかなかった。ねじをはずして中を見たが、どこが悪いのか見当もつかなかった。
・もっとも、何年も前からぼちぼち寿命になるかもとは感じていた。サンスイのシステム・コンポで、京都の寺町の電気街で買ったものだが、すでに15年ほどたっている。もっているCDは1000枚をこえたが、オーディオ・マニアではないから、音には十分満足してきた。特に河口湖に越してからは野中の1軒屋だから、マンション暮らしでは考えつかなかいほどの大きな音も出せる。それに、ログハウスで傾斜の強い屋根が幸いしたのか、音の響きがものすごくいい。高級オーディオ装置などは必要ないと思っていた。
・とは言え、なしではすまないから、代替品を探さなければならない。ネットで価格コムをのぞくと、4,5万円でそれなりのアンプ(CD+ラジオ・チューナー)は手に入りそうだとわかった。しかし、ついでにとMcintoshやAccuphaseといったメーカーの製品を見たのがいけなかった。一桁違う。しかも音は全然違うといったコメントがたくさん書き込まれてある。「この際、思い切って!」と、ついつい考えてしまう。スピーカーの配置まで想像し始めると、もうたまらない。一方で、イコライザーはたたいても、たたいても、なかなかいうことを聞いてくれなくなっていく。Mcintoshか Accuphaseか、迷うな……。
・しかし、「いやいや、もったいない」という声が水を差す。喫茶店を開くのならともかく、一人で聴くのに数十万円の投資は浪費以外の何ものでもない。スピーカーやらCDプレイヤーなどそろえたら、軽く百万円をこえてしまう。そう思うと、確かにそのとおり。ぼくは高級品を集めてにんまりするようなマニアではない。それでは、中古品はどうか。Yahooのオークションをのぞくことにした。そうすると、あるはあるは、さまざまなメーカーのさまざまな機種がつぎつぎと出てきた。McintoshやAccuphaseも半値やそれ以下の値段で並んでいる。けれども、一番気になったのは、もう倒産したサンスイの製品が異常に多かったことだ。Sansuiなら、いま聴いているステレオと同じだ、と思ったら、妙に親近感が湧いてきた。
・中古品の世界では、Sansuiは別格らしい。会社がつぶれて新製品がないせいもあるようだが、根強い人気は何より、その性能にあるらしい。10年も前に製造されたものでも、最高級でしかも限定モデルだったりすると10万円もしたりする。たとえばAU-X111MOS VINTAGE。もう20年も前に発売されたもので、その時の値段が33万円だったから、骨董品扱いのようである。へエー、と驚いたが、これはもちろんパス。大きさや重さ、品数の多さからAU-607のシリーズがいいと思った。しかし、これにもいくつも種類がある。値段も数百円から数万円まであって、説明を読んだだけでは違いがよくわからない。完動品とか美品と書いてあっても果たしてどれだけ信用できるものかどうか。保証なしで返品お断りが多いから、数千円のものでも即決というわけにはいかない。で、ここでまた思案することになる。
・買い物に出かけたついでに「HARD OFF」をのぞいてみた。そうしたら、オークションで見たのと同じものがジャンク品として売られていた。12000円。ジャンクにしてはかなり高いが、特に問題はないと書いてある。同じ機種で8000円の方はヴォリュームにガリありとか、左右のバランスに難ありと書いてある。だったら高い方かと思ったが、保証はないというから買わずに帰ってきた。それでまたYahooオークションを一眺め。そしてまた思案……。
・信用できないとは言ってもマックのpsプリンターだって、いま使っているPowerPCだって、壊れて困ってネットで買って、それぞれ快調に働いている。新品なら数十万円のものをそれぞれ3万円程度で買ったのだ。そう考えたら、迷うことはないと思い始めてきた。
・結局、「HARD OFF」で買ったのだが、コードやケーブルを接続して音を出してビックリした。音が全然違う。ヴォリュームをあげても割れないし、絞ってもクリアに聞こえてくる。スピーカーもCDもラジオ・チューナーもレコード・プレーヤーも、まるで新しくしたかのようだから、うれしくなってしまった。もちろん、年代物だからいつ壊れてもおかしくない。しかし、この値段なら、1年ももてばおつりが来る。というわけで、いつにもまして大きなボリュームで聴いている。もうほとんど聴かなくなっていたレコードなども引っ張り出してかけると、これもまたなかなかいい。だったら同じものをCDで買ったりしなければよかった、などと思ったりしたが、それはipodのためだったと思い出した。

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