2009年5月4日月曜日

連休はどこにも行かずに

・今年の連休は、長くとれば16日間にもなったところがあるようだ。仕事が暇になったせいかなと思うが、どうだろうか。海外旅行も2週間ならゆっくりできるし、飛行機代ももったいなくない気がする。燃料も安くなって余分なお金を取られなくてすむようになった。他に長い休みがとれない人には、またとないチャンスだったはずだ。ところが、突然の「豚インフルエンザ」騒ぎである。

・新種のインフルエンザは、警戒してきた鳥ではなく豚で、アジアではなくメキシコだった。だからあまり気にしていなかったのだが、あっという間に大きな騒ぎになった。成田空港では、国内にウィルスを入れないために警戒を厳しくしたから、せっかくの旅行に不安がつきまとったり、長時間待たされて検査を受けたりさせられている。旅行をあきらめた人も多いのだろうと思う。移動が手軽に頻繁になった時代には、病気もあっという間に世界中に広がる。そんなことを目の当たりにした。

・国内では高速料金が1000円になって、どこも渋滞で大変だったようだ。安くなったからといって、何百キロも車を走らせてどこがおもしろいんだろうと思うし、ガソリン代はかかるのだが、テレビのニュースでは、儲けたと言う人のコメントを何度も見た。行きたいところに行くのではなく、できるだけ遠くに行く。そんなドライブの楽しみ方があってもいいとは思うが、渋滞や混雑を我慢してまですることではないだろう。いったい何が儲かったのかと首をひねったのは僕だけなのだろうか。
・旅行会社は定額給付金で旅行できる旅を知恵を絞って企画して、連休前の新聞には、その広告が連日何頁も載っていた。確かに安いし、国からもらったお金だから、首相が言うようにぱっと使うのもいいのかもしれない。けれども、そのお金は結局、国の借金になって国民に跳ね返ってくる。拒否してやろうかと思ったが、つけは後からしっかり回ってくる。そう思うといまいましい金だが、いったいいつ給付されるのだろうか。

・大学で教えていると毎年思うのだが、ゴールデン・ウィークは少しもうれしくない。4月に新学期が始まって、やっと調子が出たところで小休止になるから、かえって邪魔くさい。もう1ヶ月後なら、ちょうどくたびれたところでホッとするのに、といつも文句を言ってしまう。
・文部科学省の指導で大学の授業は半期15回、通年なら30回やらなければならなくなった。以前から15週や30週だったのだが、祭日があれば当然授業回数も減ったし、試験期間も1回や2回として数えられたから、実際には12回程度が普通だった。それが、きっちり15とか30回やるように学事歴を組まなければならなくなったのである。

・大学は授業を受ける以上に、自分で勉強するところだ、と僕はずっと思ってきたし、今でもそう思っている。ところが学生たちは、授業にさえ出ていれば勉強していると考えるようになっている。それは錯覚で、自分でやらなければ何も身につかないよ、と学生には繰りかえすのだが、文科省の発想は学生と一緒で、学生の態度をますます受け身にするだけなのである。
・だから夏休みがえらく短くなった。入試の多様化で授業のない2月や3月もずるずると仕事が入るから、まとまった仕事もできないし、長期の旅行もできなくなってしまった。そうやってだらだら働かせる一方で、研究成果を要求したって、いいものができるわけはない。そんなわけで、連休中はたまった仕事の片づけで、あっという間に過ぎてしまった。

・忌野清志郎が死んだ。高田渡に続いて、骨のある数少ない日本人のミュージシャンがまた一人、いなくなってしまった。もう日本人で聴きたいミュージシャンはほとんどいない。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。