2010年9月20日月曜日

アナログ、デジタル、有線、無線

・テレビ画面の上下に、アナログ放送の終了を告げるテロップが常時流れるようになった。何とも邪魔くさいから、見えないように画面調整すると、今度は字幕が読めなくなってしまったりする。まったく迷惑な話で、ますます地上波を避けるようになった

・すでに何度も書いてきたが、我が家は難視聴地域にあって、アナログの電波も届きにくかった。それはデジタル化しても同じで、アンテナを立てても見えない可能性の方が高いという。総務省はすでに、難視聴地域用にBSのチャンネルを使った地デジ放送を開始しているが、地域の選定は遅々として進んでいないようだ。やることをやらないでおいて、国民にはさっさと対応するよう請求する。だから邪魔なテロップを見るたびに腹が立ってしまう。

・そもそも、この地デジ化の方法は、将来の多様な電波利用の可能性を考えて決められたものではない。デジタル化にあたって最も考慮されたのは、既存の放送局の既得権を守ることだったようだ。だから多額の費用がかかり、国民に負担も強いている反面で、インターネットやケータイ電話に周波数を割り当てるという、将来的な可能性にはあまり目が向けられることがなかった。国会でほとんど議論されずに決められ、新聞もテレビも既得権のために、ほとんど問題にしてこなかった。こういう姿勢は、何も電波行政に限ったことではないが、ボーダレスにグローバル化したネットの現状は、狭い世界の既得権など無意味にしてしまうほど進んでもいるのである。

・3週間アメリカとカナダを旅行している間に見られなくて気になったテレビ番組が二つあった。NHKの「龍馬伝」と「ゲゲゲの女房」(パートナーのみ)である。ポートランドの友人宅でそのことを言うと、日本のテレビはほとんどネットで見ることができるという返事で、喜ぶやら驚くやらしてしまった。で、出発後に放映した二つの番組を、しっかり見たのである。これはもちろん、アメリカだから可能だったというものではない。ブロードバンドでネットに接続してれば、日本でも、そして世界のどこにいても可能なサービスで、契約などしなくても接続することのできるサイトがいくつも存在するのである。ちなみに、「龍馬伝」には韓国語の字幕がついていた。

・我が家はまだISDNという化石のような回線を使ってネットに接続している。だからネットでテレビというわけにはいかないのだが、アメリカでの経験で、日本の地デジ化がいかに意味のないものであるかということが、はっきりわかった気がした。電波のデジタル化は、テレビやラジオ、電話やネットといった既存の区別を無意味化する。それぞれが融合した形で、どのように進化するかが、今後の方向なのだとすれば、テレビの地デジ化が、きわめて古くさい発想の元におこなわれたものであることがわかるはずである。何年もたたないうちにテレビの地デジが廃止されるといったことが起こったとしたら、その責任はいったい誰が取るのだろうか。

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