・台湾旅行の後半は東海岸を台東と花蓮に宿泊して北上するコースをたどった。東側は大都市が並ぶ西側と違って開発が遅れている。山脈が迫って平地が少ないせいだろうが、そのために原住民(台湾ではこれが正式な呼称)が多く住んでいる。その代表が台東市だった。今は廃線になった旧台東駅には木彫りのアミ族の像があって、ここから新台東駅まで線路が長い遊歩道として作られている。暑かったが、そこを途中まで歩いてみた。
・アミ族はDifangの歌で知られている。アトランタ・オリンピックのプロモーション・ソングとして無断借用されたことがきっかけになって世に紹介され、CDも何枚か作られた。どことなく沖縄の音楽にも似た独特の世界を持った歌だ。彼は既に死んでしまったが、台東を目指したのにはアミ族の歌が生で聴けるかもとという期待があった。それはかなわなかったが、旧駅舎では若者たち数人が伝統的な音楽に合わせて踊りの練習をしているところを見かけたし、夜にはロックやラップの野外コンサートもあった。後にも先にも台湾で音楽を聴いたのはこの時だけだった。
・東部を訪れたもう一つの目的は大理石の太魯閣(タロコ)峡谷を歩くことだった。タクシーを一日チャーターしての贅沢な行程だったが、その景観は今まで見たこともないすごさ、美しさだった。もともと海でできた珊瑚礁が厚い石灰岩の層を作り、それが大理石に変成し、台湾島が大陸のプレートに衝突した時に隆起したもので、氷河ではなく雨によって削られて深い峡谷になったもののようだ。何千万年という時間が作り出した絶景だが、地殻変動のすごさを実感させる景観で、これに比べたら、大震災で数メートルずれたなどというのがいかに小さなものであるかがわかる。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。