2019年4月29日月曜日

今年のMLB

 

・今年のMLBはイチローの引退セレモニーから始まった。イチローは去年開幕して間もなく、メジャーのロースターから外されて、チームに帯同するけれども試合には出ないという中途半端の立場になった。引退させずにおいて、日本でやる開幕ゲームを引退セレモニーにして盛り上げる。そんな演出は去年からわかっていたが、そのテレビ中継も、メディアの反応もあきれるほどのバカ騒ぎだった。救いはイチローが国民栄誉賞を辞退したことだが、なぜそうしたのかは、よくわからない。政治に利用されたくなかったのか、松井程度の選手が先にもらったことに対する反発か。あるいはパイオニアの野茂がもらっていないのに、自分がもらうわけにはいかないということなのか。

・イチローが辞めたマリナーズには菊池雄星が入った。そこそこのピッチングをしているのに、勝ち星に恵まれない試合が続いた。父親が亡くなっても帰国せずにがんばって、やっと一つ勝ったが、このこともまた、メディアは美談として大騒ぎした。今年は無理をせずに使うという球団の方針のようだ。マリナーズは主力を放出して、若返りをはかったが、出だし好調で優勝争いになればフル回転ということになるかもしれない。ムダ球が多くて中盤で100球近くなってしまうのが気になる。

・しかし、四球の多さではダルビッシュが一番だろう。スピードはあるし勢いもある。球種も豊富だから力でねじ伏せる投球ができるはずなのに、四球を連発して長打を浴びている。身体よりは精神面が問題で、投げる時にいろいろ考えすぎているのではないかと思う。力はあるのに自滅する試合を何度も見せられてきたから、彼の試合が見たくない気がしていたが、今年はNHKも見限ったのか、ほとんど中継をしていない。ピンチになっても動じないで飄々として投げる。そんな野茂のビデオでも見たらどうかと思う。

・対照的に田中将大はコントロールがいい。きわどい所にぴしゃりと投げて三振を取る。だから終盤に来ても球数が少ない。ただしヤンキースはレギュラーの多くが故障者リスト入りしていて、好投しても勝てない試合がいくつかあった。球に威力がないせいか失投してホームランを浴びることも少なくない。彼が投げる試合をもっと見たいのだが、どういうわけかデイゲームに投げて、中継が明け方なんてことが多いようだ。

・そんな中で一番好調なのが前田だろう。すでに三勝してドジャースの勝ち頭になっている。しかし、NHKは前田の試合をほとんど中継していない。それは去年も一昨年もそうだった。なぜ無視するのか。地味で話題性に乏しいから視聴率が上がらないのかもしれないが、前田が登板しているのに日本人選手の出ない試合を中継したりするから、担当者が前田嫌いではないかと勘ぐりたくなってしまう。

・日本人の誰もが待ち望んでいる大谷翔平は、まだ復帰していない。ただし復帰間近と言うことで練習風景が連日報道されている。去年の今頃は投げて打って大活躍で、メディアは大騒ぎだった。さて今年はどうか。DHで打つだけのシーズンだが、去年の成績を越えられるのだろうか。実はぼくは6月初めにアメリカに行く予定で、シアトルで見ることにしている。菊地対大谷とはいかないかもしれないが、彼が打つ姿を楽しみにしている。

・というわけで、今年もMLBを追いかけているが、シーズンオフの動向に強い疑問も感じた。ハーパーやマチャドといった選手が長期間で高額な年俸をもらう契約をした反面、何人かの選手が契約できずに浪人生活に入ってしまっているのである。それは去年もあって、年齢的にピークを過ぎた選手が敬遠される傾向がますます強くなっている。確かに、不良債権化した高額年俸の選手を抱える球団は少なくない。しかし、スター選手を引き留めたり、よそから引き抜いたりするのには、高額な年俸を払う必要がある。そんな露骨なマネーゲームを見させられると、うんざりして興ざめしてしまう。実力以上の年俸格差は、現在のアメリカ、そして日本の実社会を反映、というよりは先導するもののように見える。

・もう一つ気になるのは、故障する選手が多いことである。投手のトミー・ジョン手術は当たり前だし、野手もあちこち損傷させている。投手の球速競争やフライボールの流行で、ホームランばかり狙う傾向が怪我を増やしているのではないかと危惧している。やたら筋肉をつければいいというものではないだろう。イチローは大きな怪我をせずに選手生活を終えた。日頃の体調管理や試合前の入念なストレッチなどは他の選手が驚き、あきれるほどだったようだ。体格もほとんど変わらなかった。記録などより見習って欲しいところだと思う。

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