・テレビがオリンピックやパラリンピックばかりやっているから、Abemaで大谷の試合を見たり、Amazonで映画を観ることが多くなった。何本も見た映画の中で主題歌が二つ気になった。映画のエンディングはほとんど見ずにやめてしまうのだが、「いい歌だな!」と思って二つとも最後まで聴き、誰の何という歌なのかをネットで確認した。
・一つ目はクリント・イーストウッドが監督主演する『運び屋』で、2019年に公開された彼の最新作だった。クリント・イーストウッドは91歳でなお現役の監督兼役者だが、この映画の主人公も90歳を過ぎたコカインの運び屋だった。園芸家としての仕事がうまくいかず、家族とも不仲になった老人が、それとは知らずにコカインの運び屋になって、何度も成功させる。老人が運び屋とは思わない警察のまごつきや、疎遠になった妻の最後につきあう様子などがあって、いい映画だと思った。
・その最後に流れたのはトビー・キースの「Don't let the Old Man in」で、切々と歌う低音の歌声に聴き入った。ベテランのカントリー・ミュージシャンのようだが、僕は知らなかった。ウィキペディアで調べると、愛国的な内容の歌もいくつか作っていて、トランプの大統領就任式にも招かれて歌ったようだった。YouTubeで他の歌も聴いてみたが、確かにそんな感じの歌が多かった。だからCDを買う気にはならなかったが、「Don't let the Old Man in」は歌詞もなかなかいいと思って、YouTubeでくり返し聴いている。
もう少し生きたいから この年寄りを呼びに来ないでくれ
ドアをノックしたって 呼ばれるままにはならない
自分の人生にいつかは終わりが来ることはわかっているんだから
・もう一つはアメリカ初の女性連邦最高裁判事だったルース・ベイダー・ギンズバーグを主人公にした『ビリーブ 未来への大逆転』で、主題歌はケシャが歌う「Here Comes the Change」だった。ぼくはケシャについても何も知らなかったが、奇抜なメイクなどで、日本でも人気があるようだ。
・この歌は映画のために作られたもので、彼女はオファーをもらった時の気持ちを「自分はふさわしくないと思った。作曲はとても個人的なプロセスで、大体は自分自身が体験したことからインスピレーションが来る。だから、誰か他の人の人生についての曲で、それもルース・ベイダー・ギンズバーグ判事っていうことで、ちょっとおじけづいてしまった」が、「生涯をかけてたゆむことなく、また速度を緩めることもなく平等のために闘ってきたギンズバーグ判事に敬意を表するために私ができることをやりたいと思ったし、私も声を上げたいと思った」と語っている。
・ギンズバーグ判事は昨年87歳で亡くなって、トランプ大統領は選挙間近にもかかわらず、その後任に保守派の女性を任命した。ギンズバーグの人生がアメリカの法律にある性差別を指摘し、改善するために戦ってきたものであることは、映画でもよくわかった。大学に女性用トイレがなかったこと、弁護士として女性を雇う法律事務所がなかったことなど、この映画は「性別」を当たり前とする社会ヘの挑戦がテーマで、題名も「On the Basis of Sex」だが、邦題には、そんな意味が考慮されていなかった。『ビリーブ 未来への大逆転』では、何のことかわからないが、日本人にはこの方が訴求力があるのだろうか。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。