2021年11月29日月曜日

AmazonはもうCDを売る気がないようだ

 Amazonのトップ・ページがAmazon Basicsという名称になって、書籍とCDの欄がなくなってしまった。最近あまり買わないせいもあるのかもしれないが、その他の欄にも見つからないから、お目当てのものを検索して探さなければならなくなった。対照的に、プライム会員なら本は読み放題だし音楽は聴き放題だという知らせがやたら目立つようになった。ところが、そこでは読みたいものも聴きたいものも、ほとんど見つからない。そう言えば、あなたにお勧めの本やCDとか、新刊本やニュー・アルバムを知らせてくることもなくなった。Amazonは本とCDを売る店として始まったのに、もう初心を忘れてしまったのかと思いたくなった。

僕はインターネットを1995年から始めている。最初は大学の研究室でしか使えなかったが、すでにAmazonは本とCDを売る店を構えていて、洋書や洋楽を手に入れるのに重宝した。特に英語の専門書は、洋書専門店から注文して1ヶ月以上待たなければ届かなかったし、円レートも高く設定されていて、ずいぶん高額なものになっていた。それが、その時々のレートで買えて、航空便で注文すれば1週間とかからずに届くようになった。同じことはCDにも言えたから、大学から毎年付与される研究費の多くが、Amazonでの本とCDの購入に使われることになった。

そんなふうにしてAmazonを四半世紀に渡って使い続けてきたが、AmazonはGAFAとして世界有数の企業に成長した。ぼくも最近では、本やCDだけでなく、探し物を検索してはありとあらゆるものを買うようになり、コロナ禍以後は特にその傾向が強くなった。Amazonは客の購入履歴に基づいて、それぞれページを作るようになっているから、本やCDが目立たなくなったのは、大学をやめてから、僕があまり買わなくなったせいなのかもしれない。しかしそれにしても、本とCDは目立たなすぎる。

ここにはもちろん、書籍もCDも売れない時代になったということもあるだろう。モノそのものではなくデータで購入することが当たり前になったこともあるが、それ以上に本もCDも売れなくなっている。ごく一部のベストセラー作家や人気のミュージシャンを除けば、文筆業や音楽活動だけで生計を立てることが難しくなっている。コロナ禍で講演会やライブ活動もできなくなったから、文化的な衰退はこれからますます顕著になるだろう。

Amazonは一部の売れ筋だけではなく、街では見つけることが難しいレアなものでも見つけられることが売り物だった。「ロングテール効果」などと言われて、僕もずいぶん便利に使ってきた。スマホの普及で、その効果自体はますます一般的になっているようだが、Amazon自体の方針は、逆に売れ筋のものに特化させるという方向に変わっているのかもしれない。Amazonのトップ・ページの変更は、何よりそんな違和感を持たせるものだった。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。