2024年7月1日月曜日

国会が終わり、都知事選が始まったけれど………

 

国会が終わり、都知事選が始まった。政治資金規正法改正だけの国会だったが、それも結局ザル法のままだった。円安が止まらず、貿易収支も赤字で、実質賃金は減り続けているというのに、ほとんど対応策がとれないままに、国会が終わったのである。岸田政権の支持率はずっと下がり続けていて、調査によっては17%という数字になっている。本来なら倒れていて当然の数字だが、当の首相は全く気にしていないようだ。

一番の要因はメディアの批判の甘さだろう。政権が支持されていないこと、政治資金規正法が手ぬるいと非難されていることを、世論調査を根拠に指摘しても、新聞が自ら、厳しく批判することはどこからも起こらなかった。自民党は最近の選挙でほぼ全敗している。世論調査でもその点ははっきりしていて、政権交代を希望、あるいは予測する人は半数を超えている。ただし、立憲民主党が政権奪取に向けて本腰を入れているわけではないから、衆議院選挙をしても、自民党が下野するところまでは行かないだろう。

そんな曖昧な状況はメディアにとっては好都合だということかも知れない。政府に頭を押さえられたNHKは言うまでもなく、民放はスポンサーと電通頼りだし、大手の新聞社だって、基本的には政権交代を望んではいないのである。日本は一体どこまで落ちるのか。改善策を見つけられない八方ふさがりの状態なのに、政治家も官僚も、そしてメディアも、自己保全のことしか考えていない。そんな態度や姿勢ばかりが目立つのである。

都知事選は小池百合子が3選をめざしている.蓮舫が立候補して二人の争いになっているが、調査では小池が圧倒しているようだ。大きな失政はないとは言え、先の選挙で公約した7つのゼロの多くは実現していない。神宮外苑の開発問題もあるし、何より学歴詐称の一件もある。しかしここでもまた、メディアはこのような点について強い批判を浴びせてはいない。フリーのジャーナリストを締め出した記者会見が当たり前になっていて、そこでは小池がいやがる質問は、ほとんど出ないようだ。非難を浴びせられる都内の街頭演説は避けて、八丈島や奥多摩に出かけている。集まる人は少ないが、テレビのニュースではトップに報道するから、それでも効果は絶大だろう。

都知事選には56人が立候補したようだ。中にはヌードのポスターを貼ったりする人もいて、一体何のためにと疑ってしまう。売名行為なのか、YouTubeやInstagramでのアクセス数を狙っているのか。そう言えば、衆議院議員の補選では他候補の邪魔をして逮捕された候補者もいて、YouTubeではかなりのアクセス数を獲得したようだ。こんな話ばかり耳にすると、もう世も末だと思わざるを得ない。どうせ誰が何をやったって、日本はもう経済的に復活などしない。だったら今だけ金だけ自分だけ。面白おかしく楽しくやろう。他人を傷つけたって構わない。そんな空気は何より最近のテレビにも溢れている。


目次 2024

7月

1日 国会が終わり、都知事選が始まったけれど………  

6月

24日 ケネディ・センター・オナーをYouTubeで見る 

17日 観光スポットに異変あり! 

10日 見事な伐採作業!  

3日 とんだ1泊旅行だった  

5月

27日 田村紀雄監修『郡上村に電話がつながって50年』クロスカルチャー出版  

20日 SNSはもうやめた  

13日 ポール・オースターを偲ぶ  

6日 いろいろと忙しい日々  

4月

29日 地震対応に見るこの国のお粗末さ  

22日 散々な一日  

15日 エドワード・E.サイード 『オスロからイラクへ』『遠い場所の記憶 自伝』  

8日 大谷騒動とメディア  

1日 ライブの記録はいつからOKになったのか 

3月

25日 春よ来い! 

18日 株だけが高いのはなぜ?  

11日 「山を歩く」は意外なこと 

4日 深澤遊『枯木ワンダーランド』築地書館  

2月

26日 TVにもの申す市民ネットワークを  

19日 小澤征爾逝く  

12日 原木入手と倒木騒ぎ  

5日 国政を改革する法律は国会議員には作れない  

1月

29日 災害対応のお粗末さに想うこと  

22日 中村文則『列』(講談社) 

15日 お正月に見た映画  

8日 ビリー・ジョエルが東京ドームでやるそうだ  

1日 また一つ歳をとった