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2021年6月7日月曜日

Travis "10 songs"


・相変わらず、Amazonで探しても、目ぼしい新譜が見当たらない。そんなふうに思っていたら、トラビスがコロナ感染といったニュースが目に入った。しかし、読んで見ると「トラビス・ジャパン」というジャニーズ所属のグループだった。何だ!と思ったが、「トラビス・ジャパン」という名前が気になって、ウィキペディアで調べることにした。トラビスの名の由来は振り付け師のトラヴィス・ペインで、このグループは歌って踊るアイドル・グループらしかった。いずれにしろ、"Travis"とは関係ない、僕には無縁の存在だった。

・"Travis"はスコットランドのグラスゴー出身のグループで1996年のデビュー以来9枚のアルバムを出している。僕はそのすべてのアルバムを持っていて、イギリスのミュージシャンでは、"stereophonics" 同様、今でも気になるバンドである。既に書いてくり返しになるが、このバンドの名はヴィム・ヴェンダースが監督をした『パリ・テキサス』(1985)に登場する主人公の名前に由来する。家出をした妻を幼い息子とともに探してまわる男の話である。そのトラヴィスを演じたのはハリー・ディーン・スタントンで、死の直前に撮った『ラッキー』2017)を3年ほど前に見た。さらについでに言うと、「トラヴィス」は『タクシー・ドライバー』(1976)でロバート・デ・ニーロが演じた主人公の名前でもあった。

10songs.jpg・それはともかく、Amazonで"Travis"を検索すると、昨年"10 songs"という名のアルバムを出していたことがわかった。今年最初のCD購入である。"10 songs"という何ともそっけないタイトルだが、彼らのアルバムには、これまでにも"12 memories"といった名前もあった。前作の"Every thing at once"からは4年ぶりである。聴いた感想はというと、いつもながらのサウンドで、前作とまとめて聴いたらどのアルバムかわからないほどで、目新しさは感じないが、悪くはなかった。YouTubeにはアルバムに修められた曲のほとんどがビデオ・クリップになっている。

・歌は全曲ラブソングだが、面白い、しゃれたフレーズがいくつもあった。

「サヨナラもハローも言いたくないし、窓辺で手を振る君も見たくないんだ」
(”Waiting at the window')
「君は夢見る人生を過ごしてきたけど、それを実現させようとはしなかった」
('Butterflies')
「リハーサルするより失敗の方がいい。それで人生が逆転しても、シングルテイクなんだ」
('A million hearts')
「去っていく時に思う、ずっと愛していたのかと、心を開いてありのままを話したのかと」
('A ghost')
「隠そうと思えばできるけど、それで何かが変わるわけではない」
('All fall down')
「幸せを感じるのは夢を見ている時だけ、何もない夢を」
('Kissing in th wind')
「窓ガラスについた三つの滴が一つになって落ちていく。恐れも、悔やみも、恥ずかしさもなく」
('No love lost')

・ロックにしてはおとなしく、外にではなく、内に向かって沈潜する。どれも同じような曲だけど、聴いていて心地よい。何を主張しているわけではないけれど、所々に、心に触れるフレーズがある。そんな歌を集めたアルバムを、同じメンバーで25年も出し続けている。ウェールズ出身のStereophonicsとは対照的なサウンドだが、どちらにも感じる心地よさは、アイルランドのミュージシャンとも共通した、ケルトの魂から来るのかもしれない。

2020年3月30日月曜日

外出自粛でネットで映画

 

・東京オリンピックが延期になった途端に感染者が急増して、都知事が都内への移動を自粛と言い始めた。何か怪しい。感染者数を意図的に操作しているのではないかと疑ってしまう。お彼岸の3連休には高速道路の渋滞が久しぶりにひどかったようだ。僕の住む河口湖でも他府県ナンバーの車が多かった。そんな状態をほったらかしにしておいて、延期決定後の態度豹変である。最初にオリンピックありき。現金の給付ではなく、観光券や牛肉券、魚券などといったニュースを耳にすると、この国は本当にもうダメなのだとつくづく思う。

amazon1.jpg ・とは言え、人ごみに出るのは極力避けて、週一回のスーパーでの買い物だけにしている。もちろん外出はほかにもしているが、それは山歩きだったり、自転車での湖一周だったりするから、ウィルス菌に感染する心配はほとんどない、だろうと思っている。で、多くなったのは午後の数時間をネットでの映画鑑賞に費やすことだった。Amazonでの映画鑑賞は今までもやっていて、目ぼしいものはほとんど見てしまっていたから、探すのにちょっと苦労をした。最初はよく知っている俳優のものということで、 マイケル・ダグラス, ロバート・デニーロ, モーガン・フリーマンが出ている『ラストベガス』を見た。誰もがもう年寄りになっていて、病気持ちやら孤独な暮らしやらをしている。悪ガキ時代の仲間が久しぶりに集まってラスベガス旅行に出かけるという話だった。そこから芋づる式に見たのは、老人が主役の映画だった。「じいさん」になった自分にとっては、おもしろいものが次々見つかった。

amazon2.jpg ・モーガン・フリーマンの『最高の人生のはじめ方』は友達の家を借りた作家が、そこで隣家の子供たちと仲よくなっていく話だった。生きる気力の萎えた老人が子供とのかかわりによって再生する。そんな話はほかにもあって、ビル・マーレイが主演する『ヴィンセントが教えてくれたこと』も、隣家に引っ越してきた母子家庭の少年との関係がテーマだった。そんなふうにして見ていくと、老人の尊厳死(『92歳のパリジェンヌ』)や認知症や癌(『ロング,ロングバケーション』)、一人暮らし(『ラッキー』)をテーマにしたものが結構あって、退屈しなかった。どんな映画も、自分だったらどうするかと言ったことを思いながら見た。さて次は何を見るか。見られる作品はたくさんあるが、つまらなくて途中でやめてしまうものも少なくない。

・コロナ・ウィルス騒ぎがなければ、今ごろはMLBが始まって、DAZNで大谷やダルビッシュや田中、そして前田や菊池の投げる試合を観ていたはずだった。今年は秋山や筒香などもいて、忙しかったはずなのに、いつ開幕になるのか未だにわからない。日本の野球もサッカーもF!も同じだから、DAZNなどスポーツ中継を売り物にするところは大変だろうと思う。ぼくもDAZNは休止していてMLBが開幕するまで再開するつもりはない。その分つまらないから、やっぱり映画ということになる。

・さてコロナ・ウィルスだが、いったいいつになったら終息するのだろうか。ヨーロッパやアメリカは大変なことになっている。今は夏のオーストラリアや赤道周辺の国でも流行しているから、暖かくなったら感染力が衰えるということはないのかもしれない。薬が開発されたとしても、インフルエンザでは毎年世界で数万人もの人が亡くなっているから、完全な終息ということはないのだろうと思う。

・いずれにしても、世界中に蔓延したウィルスによってはっきりしたのは、各国の政治的リーダーの力量や立ち位置の違いだ。ウィルスに対応するには雑念があってはいけないと警告した専門家がいた。日本のリーダーは、自らの悪行を隠すことやオリンピックありきといった雑念ばかりで行動している。安倍や小池や森を見ていると、政治家こそがウィルスだと言いたくなる。どこまで行ったらすでに感染してしまっている支持者が陰性になるのだろうか。

2018年5月28日月曜日

最近見た映画

 

『モリのいる場所』
『ラッキー』
『ペンタゴン・ペーパーズ』
『ウィンストン・チャーチル』

・ここのところよく映画館に出かけている。もっぱら甲府で、メジャーな映画は「東宝シネマ」、マイナーなものは「シアターセントラルB館」だ。いつ行っても見ている客は僕等以外に数人だったのだが、『モリのいる場所』は珍しく20名以上いて、笑い声や話し声が聞こえた。

mori1.jpg・『モリのいる場所』は画家の熊谷守一のたった一日の生活を描いたものだ。演じるのは山崎努でその妻役は樹木希林。老夫婦の一日は朝食で始まり、昼食を挟んで夕食で終わるが、出入りする人の数は多い。出版社の編集者、カメラマン、若い画家たち、そして旅館の看板を書いてもらいに来た人などだ。そんな忙しいやりとりの中でモリはお構いなく、毎日の日課をこなす。
・彼が出かける場所は庭のあちこちで、そこで蟻や蝶やメダカを飽きもせず眺めている。彼はもう30年以上、家から出たことがないという。そんな大事な庭が近くに立った高層マンションで陽があたらなくなってしまう。家の塀にはマンション反対を訴える張り紙がいくつも並んでいる。しかし、夕御飯は、その現場で働く人たちを呼んでのにぎやかなすき焼きパーティだった。
・熊谷守一は文化勲章を辞退している。映画にはこれ以上来客が増えては困ると電話で断るシーンがある。盛りだくさんの話題を、小宇宙を巡るモリの日課と対照させて一日の物語にした。話としてはおもしろい。そんな感想を持った。

lucky.jpg・『ラッキー』は『パリ・テキサス』でトラビス役を演じたハリー・ディーン・スタントンが死ぬ一年前に撮った映画である。90歳を超えた老人が主人公である点で『モリのいる場所』と似ているし、毎日する事が同じだというのも共通していた。ただし、ラッキーは一人暮らしで、一日の大半を出かけて過ごしている。朝昼晩、同じ所に出かけて、顔なじみの人とおきまりのやりとりをする。家に帰って一人になってする事は、自分の人生を振り返ることと、もうすぐやってくる「死」について考える事だ。
・ラッキーはヘビースモーカーでしょっちゅうたばこを吸っている。やせ衰えた風貌は明らかに癌に犯されたもので、スタントン自身もこの映画を撮った一年後に肺がんで死んでいる。映画にはスタントン自身の体験にもとづく話も描かれていて、ラッキーはスタントン自身のように思えてきた。まさに遺作と呼べるものだろう。

pentagon.jpg ・『ペンタゴン・ペーパーズ』は、ベトナム戦争についての最高機密文書を巡る政府とメディアの戦いを描いている。監督はスピルバーグで、メディアとの戦いに明け暮れるトランプ大統領の存在に危機感を持って作られたようだ。この機密文書はベトナム戦争とトンキン湾事件に関して作られた政府報告書だった。その執筆者の一人であるダニエル・エルズバーグが全文をコピーしてニューヨーク・タイムズに渡した。
・ただし、映画の舞台はワシントン・ポストで女社主役のメリル・ストリープと編集主幹役のトム・ハンクスで、社運と報道の自由をかけた政府との戦いが描かれている。ワシントン・ポストはこの戦いに勝利した後、「ウォーターゲート事件」を暴露してニクソン大統領を辞任に追い込む働きもした。トランプを追い詰めて止めさせよ、というスピルバーグのメディアに対する叱咤激励のメッセージのように感じたが、日本のメディアの弱腰さを思い知らされる内容でもあった。

Churchill.jpg・『ウィンストン・チャーチル』の原題は"Darkest Hour"でチャーチルの名はない。『ペンタゴン・ペーパーズ』の原題も"The Post"で機密文書ではない。題名はその作品をもっとも良く表象するものだが、原題のままでは日本人には何の映画かよくわからないだろうと思う。原題と邦題の違いは時に奇妙な感じをもってしまうこともあるが、この二作は賢明な名づけだと思った。
・台頭するヒトラーのドイツがフランスに攻め込んで、加勢するイギリス軍が苦境に立たされている。イギリス議会はその苦難に対処するためにヒトラーに批判的なチャーチルを首相に選んだ。徹底抗戦を主張するチャーチルと、あくまで和平交渉で解決すべきだとする勢力とのせめぎ合いがこの映画の主題になっている。
・この映画では日本人のメイクアップ・アーティストがアカデミーを受賞した。しかし僕にはチャーチル役はフルシチョフのように見えた。また、映画を見ながら、カズオ・イシグロの『日の名残』の執事が、和平交渉派の貴族政治家に仕えたことなども思い出した。そのせいか、チャーチルを英雄視した国威発揚映画のように感じられた。

・最近、テレビやパソコンでも映画をよく見るようになった。暇になったおかげで、今のところ「毎日が日曜日」を満喫している。それにつけても、「働かせ改革」は企業の側に立ったひどい法案だと思う。