Buena Vista Social Club
Force Vomit"The Furniture goes up"
猪頭2000
Fiona Apple"When The Pawn"
・『ストリートの歌』(鈴木裕之)を読んでアフリカのレゲーに興味を持ったが、その後も、関心は世界中を飛び回っている。台湾、シンガポール、インドネシア、そしてキューバ。けっして伝統的な民族音楽に目覚めたわけではない。国や民族や文化の違いを超えて、素直にいいとか、おもしろいと思える音楽に出会っているからだ。とはいえ、自分で見つけだしたわけでもない。学生に教えてもらったもの、集めてもらったものが最近続けて手に入ったのである。
・はじめは「猪頭2000」。大学院の留学生に貸してもらったが、台湾では有名なバンドのようだ。僕は依然に本から仕入れた「黒名単工作室」を聴いて、台湾の音楽状況のおもしろさを知ったが、今一番影響力のあるグループだという「猪頭」も、聴いていていくつか共通点を感じた。一つはあらゆる音楽が入っていること。悪く言えばごった煮だが、ありあまるエネルギーが発散されていて、けっして悪い感じはしなかった。台湾は総統選挙などで揺れているし、人々の関心も強くて熱くなっているが。ことばがわからなくて残念だが、そんな様子がサウンドからもよくわかる気がした。
・もう一つはシンガポールの音楽。これは短期間のフィールド・ワークに出かけた院生がおみやげにもってきてくれた。楽しみにしていたのだが、音楽ではなく寸劇や語りで英語だから今ひとつよくわからなかった。かなり政治的な内容のようだし、ボブ・ディランの"Mr. Tambourine Man"をもじったような"Mr. Trampoline Man"といった題名の作品もあるのだが歌詞カードがないから、これももう一つよくわからなかった。シンガポールは英語が公用語だが、Singlishと呼ばれるような独特のものだという。ひょっとしたら歌詞がわかっても理解できなかったかもしれない。彼からはインドネシアの反体制的なロック・バンド "Slunk"のテープももらった。このグループはテレビでも取り上げられていて、日本でコンサートもやったようだ。社会が近代化に向けて変容する過程には、必ず「アイデンティティ」を問うおもしろい音楽が生まれる。僕の持論を確認することの出来たバンドである。
・"Buena Vista Social Club"はキューバの音楽である。それをRy Cooderが集めてCDにした。今もキューバで生きつづけている音楽を集めてレコードにすること。ライ・クーダーはそれを宝探しだという。キューバでは音楽は川のように流れていて、それがさまざまに人びとと関わりあっている。そのことを記録するためにこのCDをつくったようだ。僕はキューバの音楽には関心がなかったし、興味もなかったが、明るさの中に哀愁があってなかなかいいと思った。と同時にどこかでくり返し聴いたような懐かしさも感じた。戦後の歌謡曲によくあった〜ブルースという題名の曲である。日本人にととってブルースとはアメリカの黒人の音楽ではなく、カリブ海だったのだということをあらためて確認した気がした。ちなみに、このCDに参加したミュージシャンも近々日本の各地でコンサート・ツアをやるようだ。
・最後はアメリカの白人女性シンガー・ソング・ライターのFiona Apple。"When The Pawn"は彼女の二枚目のアルバムである。僕はそのデビュー盤"Tidal"で歌い方も曲も歌詞もアラニス・モリセットに似ていて、その独自性をこれからどうやって出していくかが問題だと書いた。それほど変わったとも思わないが、彼女の世界が一層はっきりしたように感じられた。ちなみに彼女も日本でコンサートをやるようだ。しかしアラニスで懲りているから僕は行かない。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。