2000年10月9日月曜日

AOL、NTT、Amazon、そしてMS

 

  • 僕は、家ではAOLをプロバイダーにしている。電話回線ということもあるが、とにかく遅くて、イライラすることが多い。ほかに代えようと何度も思ったが、メール・アドレスの変更をしたくないことが主な理由で、京都に住んでいる頃から、AOL一筋である。すっきりしたアドレスはなかなか捨てがたいのだ。
  • AOLは世界でもっとも巨大なプロバイダーである。しかし、僕が使いはじめた頃は日本に進出したばかりで、アメリカで一番といった程度の認識しかなかった。山梨県に引っ越したときに近くにアクセス・ポイントがなかったから、やめようと思ったが、TCP/IP接続でメールはつづけてきた。僕が公にしているメール・アドレスは大学のものだから、AOLは完全にプライベートなもので、やりとりするメールは少なかったのだが。最近アメリカからジャンク・メールが無数に舞いこんでくるようになった。アダルト・サイト、金儲け、ショッピングなどで、毎回接続するたびに気分が悪い。最近は開けもしないで即、削除。原因は確かめていないが、NTTとの提携以後だから、やっぱりそのせいか、と勝手に決めつけている。前回も書いたが、NTTには本当に腹が立っているのだ。
  • 僕の家の電話は以前から、0088とマイ・ラインの契約をしている。その前は0077だったのだが、電話を買いかえたときに、いちいち押さなくても自動的に安い回線を使う機能が付いていたから0088にした。だからこのサービスは、0077からだともうずいぶん長い期間利用していたことになる。ところが、NTTから先日マイライン契約の確認書類が届けられてきた。こちらでは契約したつもりはないから抗議をしたら、書類上は契約したことになっているという。そんなはずはないと見直したら、非常に紛らわしい、というよりは、NTTに否応なしに契約してしまうような書式になっていることに改めて気がついた。市内通話だけNTTにしたつもりだが、書類は、すべてがNTTになるように巧妙につくられていた。
  • こういった手続きはわが家ではパートナーの役割になっていて、電話でさんざやりとりをして解約をした。そうしたらすぐに新聞に、NTTのマイ・ライン契約の問題が記事になった。そのつもりがないのに契約したことになってしまった人からの苦情が殺到しているという内容だった。サービスが悪いくせに、横柄なやり方を、一方的に押しつけてくる。NTTのお役所体質には、本当に腹が立つ。NTTなんてなくなってしまえ!と声を大にして言いたい。
  • そんなNTTがAOLと提携したから、僕はいやな気がしていた。で、ジャンク・メールの増加である。いったい何が原因なのかわからないが、ぼくはどうしてもNTTのせいにしたい気分である。
  • そうしたら、今度はAOLがAmazon.comと提携というニュースが飛び込んできた。Amazonは最近日本で開店したこともあって、僕はよく本やCDを注文しているのだが、NTTとつながりを持ったと思うと、これもやめたくなってしまった。
  • オンライン・ショッピングの覇権争いは、アメリカではAOLとマイクロソフトの一騎打ちになっているらしい。有力だが経営状態がよくないオンライン・ショップを傘下に入れるための奪い合いが熾烈なのだ。AOLはAmazon.comに1億ドルを出資して、強者連合で業界トップの地位をさらに固める計画なのだという。朝日新聞の記事によれば、AOLの接続会員は全世界で3千万人、アマゾンの昨年の買い物客が2100万人。総計で5千万人を固定客として囲いこもうという狙いなのだそうだ。
    ネットショッピングはAOLとマイクロソフト陣営の主戦場になっており、本人確認の利便性などで客や業者の囲い込みが激化。将来的に利用者の多い方が業者などから有利な条件で手数料を取れると期待されているため、マ社陣営がパソコン基本ソフト「ウィンドウズ」で新規客を獲得し、AOL時婦負はアマゾンのような有力企業と関係を強めて対抗している。(朝日新聞、2001年7月25日)
  • コンピュータやインターネットはベンチャー企業の可能性のある世界だったはずだが、巨大企業が合併してますます強大化する傾向にあるようだ。それによって、簡単に利用できる状況が生まれるのかもしれないが、利用者個々の選択の余地は少なくなってしまう。たとえば、マイクロソフトの「オフィース」は、世界中の誰もがそれを持っていて、使っていることを露骨に前提にしている。ぼくのところにやってくるメールに添付された文書もワードのファイルであることが多いが、そのことを指摘しても、テキスト・ファイルという書式を認識していない人が少なくない。それが必ずしも初心者ではないから、ソフトは「オフィース」しか使わない人が増えたということなのだろう。これでは、日本独特の製品だったワープロ専用機と変わらない。
  • 多様性の衰退はまちがいなく、コンピュータの世界を硬直させる。日本で一人勝ちしているのが、国営企業の体質がぬけないNTTであることを考えると、このような状況はいっそう薄暗く見えてしまう。僕はDSLが使えるようになったら、AOLともNTTともおさらばしようと思っている。もちろん、マイクロソフトとはこれからもできるだけ無縁にと思っている。ついでに、アマゾンもやめようかと考えているのだが、洋書の求めやすさはまだまだ、ほかのネット書店を圧倒しているから、悩んでしまう。
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    unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。