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月に入って雨ばかりの日が続いた。おかげで家の中は湿っぽくて、布団乾燥機を毎週使ったりしている。庭の紫陽花は鮮やかな色で咲いているが、家の中は日中でも薄暗い。ログが水分を目一杯吸って、時々大きな音で割れている。冬場の乾燥したときにも時折生じるが、今年の梅雨はいつも以上に烈しい。ポルターガーイストのようだから、始めてきた人は驚くだろうと思う。
・ドアが閉まらない、窓が開かないと、この時期はいろいろ不都合なことが起こるが、湿度によって木が膨張と収縮をくりかえすのは、しごく当然のことだ。だから、よっぽど不便や不安を感じなければ、何もしないことにしている。
・とはいえ、日照不足は極端で、ソーラー式で人が近づくと点灯する夜間照明がまったくつかなくなってしまった。実は最近買い換えたばかりなのだが、夜、帰宅してもついてくれない。で、ソーラーの場所を一日中日の当たるところに変えることにした。
・日照不足の影響は、近所の田んぼにも出ている。稲の葉がまだらに黄色くなって、小さな虫がびっしりついている。いもち病なのだろうか? ここ数日は、太陽が出るようになったから、持ち直すのだろうが、何年か前にあった米不足の再来を思いだしてしまった。
・例年なら連休明けぐらいに形がはっきりする農鳥が6月になってもあらわれなかった。いつまでも富士山に雪が降ったせいだが、夏の登山が解禁される7月1日にあわせて、あまり聞いたことがない雪かきもやったようだ。7月の半ばになっても、富士山には雪が沢山残り、農鳥が「ひよこ」程度に見えた。もちろん、こんなによく晴れた日は数えるほどである。農鳥が田植えどきにあらわれない年は天候不順で凶作。気象庁の「今年は猛暑」などという長期予報より、よっぽど信憑性のある、昔からの言い伝えだ。
・こんな季節になっても、山には食べ物が乏しいのか。あるいは里に出ることが習慣になってしまったのか。猿の群れが付近を徘徊するのをよく見かけるようになった。ぼくは仕事で留守をしていたが、一度はわが家に押しかけて、木を揺すり、屋根を飛びまわり、おもけに白樺で作った犬の首をもぎ落としていった。本物の犬とまちがえたのだろうか。3匹が襲撃され、2匹は修復したが1匹はダメ。白樺は油分が多いせいか、腐るのも早い。コルクのようなすかすか状態で、釘がささらないほどだから、いずれまたバラバラになってしまうだろうと思う。
・雨ばかりの7月とはいえ、ここ数日、やっと夏らしい天気になり始めた。東京に行くと熱風のような暑さにうんざりするが、河口湖では、太陽の日差しが懐かしい。もう終わりに近いラベンダーがよく匂う。すっかり湿っぽくなった家を開け放って、湿気を飛ばしている。
・秋に出版予定の本『ライフスタイルとアイデンティティ』の初稿が届いた。世界思想社の校正は例によって、細かくて厳しい。逐一、悩みながら直していくと、とても数日で片づけることはできない量だ。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。