・NHKBSのアナログ・ハイビジョンが9月末で終了する。独自開発もデジタルに負けてとうとう消滅というわけだ。デジタル・チューナーがあるから不都合はないが、アナログの画面の良さを感じていたから、ちょっと残念だ。ぼくは、デジタルののっぺりした画面は好きではない。ハイビジョンでもアナログは、近づいて見ると細かな画素の集合であることがよくわかる。ディジタルはその情報を省略するから、一見きれいに見えても、深みがない。両方を見比べていると、そのちがいがよくわかる。だから、液晶大画面のテレビなどは、できれば買いたくないものだと思っている。
・現在見ているハイビジョン・テレビを買ったのは98年だ。もう10年近くなるが、その時の印象をこの欄でも書いている。NHKと民放が共同で実験放送をやっていて、まだまだ手探りの番組づくりの段階だったことがよくわかる。BSのデジタル放送が始まった
2001年にBSチューナーを買った。各民放が放送を開始したからだ。山間部の難視聴地域にあるわが家では、地上波はざらざらで色なしといった画面で、見るものがあまりなかった。この欄には、その時の様子も残されている。
・BS放送については、それ以降も何度か取り上げているが、放送内容もずいぶん充実してきているし、地上波の番組も放送しているので、最近では地上波は民放のニュースぐらいしか見なくなった。どうせバラエティ番組ばかりで何の不満もなかったのだが、肝心のBSチューナーが壊れてしまった。で、仕方ないから電気屋に行くと、地デジとBS、そしてCSも見られるものがあった。というよりは、それしかなかったといった方が正確だろう。
・デジタル化は地上波でも進んでいて、4年後の2011年にはアナログ放送が廃止されるようだ。大画面の液晶テレビが一般的になってきたが、普及は予想ほどではないらしい。古いテレビでもチューナーを買えば見ることができるとか、そのチューナーを格安で売るような行政指導があったとか、いろいろ話題になっている。地デジはもちろん、ケイタイでもカーナビでも見ることができるから、地上波がますます身近なものになるのかもしれない。
・ところが、わが家はやっぱり地デジでも視聴できない地域ということになっている。いずれにしてもアンテナをつけ替える必要があるし、CS
も今のBSアンテナではダメなようで、用のないものが多いとは思ったが、BSが見られなければ不便なので、チューナーを買いかえることにした。
・例によってテレビやビデオとの接続は煩雑で、反応がない、音しかでないといったことがあって、イライラしながらあれこれつなぎ直して、やっと見ることができると、CSもちゃんと見える。へエーと思ったが、ほとんどが有料で、しかも特に見たいものはない。MTVは昔ほどおもしろくないし、
MLBを全中継といったって、野茂がいなければ、どうしても見なければということもない。映画はWowowでさえ、最近は何日も見なかったりもする。
・NHKは受信料の不払いや、チャンネル数の削減要請などがあって、BS放送にかなりの力を入れている。実際、わが家ではほとんどの時間、NHKBSに繋がっている。ここのところは、見逃した番組の再放送が多いし、意欲的な番組も目につく。
・たとえば小田実の追悼番組として、彼がベルリンを訪れた『世界・わが心の旅「ベルリン
生と死の推積」』。先週のコラムにも書いたように、『何でも見てやろう』を読みなおしていたので、いっそう興味深く見た。ナチの収容所ではベルリン陥落の直前まで処刑がおこなわれ、しかも、処刑をするとその家族に処刑費の請求が行われていたそうだ。唖然とする話で、彼はそのことを涙ぐみながら話した。
・The Chieftansのコンサートで紹介した"Santiago"をなぞるような番組もあった。毎回楽しみに見ている「世界ふれあい街歩き」が地中海に近いフランスのモンペリエ、ピレネー山脈の東にあるトゥールーズ、スペイン北部の古都レオン、そしてサンティアーゴと続けて放送した。数百キロから千キロを超える道のりを歩いて、ヨーロッパ中からさまざまな人びとがやってくる。出会った人たちの話を聞いていると、宗教的というよりは、じぶんを見つめ直す旅という意味合いが強かった。
・旅番組を見ていると、たまらなく、じぶんも出かけたくなる。しかし、次はどこに行こうかでは夢中になれても、いつ?になると困ってしまう。2週間ほどの休みがとれるのは夏休み以外には難しいし、夏休みは飛行機もホテルも高すぎるからだ。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。